子宮摘出手術の付き添いを、独り身なので「便利屋」に頼もうと思ったけれど

 前回は、ヒトリ者で親戚とは絶縁、友人も少ない夢子でも手術・入院は可能なのか? というテーマで語ったよな。だがヒトリ者のあなたは安心していい。結論から言うと、そうした人らの付き添いがなくとも手術・入院は可能だ!

 そう、手術・入院には病気の体ひとつあればいい! 来るべき日に備え、いよいよ具体的に準備する時期がやってきたと考えた夢子は、鼻歌まじりに剃毛するのだった。夢子は体毛を見られるのがものすごく恥ずかしいらしい。日本では陰毛がないほうがむしろ驚かれるぞ、という俺のアドバイスは届かなかった。ヤツはこう言い張る。

「私が見られるのが嫌なんだから綺麗にするの!」

 剃刀を操りながら、夢子はふと思い出したように俺にこう言った。

「あ、そういえばさ。子宮がいなくなったら私、女じゃなくなると思う?」

 この言葉に俺はショックを受けた。

「まさかお前そんな血迷い事、信じてるわけじゃないよな?」

「思ってないよ。けどあまりにも世間がそう言ってるのを耳にするから、子宮自身はどう思ってるのか、知りたい」

子宮に女性性は宿っていない!
 俺は答えた。

「『女』ってのはなぁ、世間さまにならせてもらって『なる』もんじゃねえ。AV男優でも勃起しない時期を半年くらい経験する者もいる。心は女でも体が男に生まれついた者もいる。みんな必死で『男』や『女』やってんだよ。ならせてもらうんじゃねぇ、『やる』んだ。子宮がなきゃ女でいられないなら、女なんかやめちまえ!」

 さらに俺はこうも言った。

「俺は、お前の皮膚の一部が陥入してできた袋、ただの窪みだぞ。俺にお前の女性性は宿ってない!」

 剃毛の時とは違い、どうやらこの言葉は夢子の心にクリーンヒットしたらしい。

「たしかに!」夢子は大きく頷いた。そして何度も何度も「うん、そうだよね、その通りだ!」とつぶやくのだった。

 もし、これを読んでいるあなたにも「子宮がなくなったら女じゃない」という考えがあるならば、そんな考えは即刻捨てることをアドバイスしたい。

私に付き添いはいらない
 入院情報は友人のキャリーにごく簡単に伝えてあり、その時彼女は手術中の待機係になることを申し出てくれていた。だがそのありがたい申し出を夢子は断った。

 夢子の言い分はこうだった。大変なのは手術の確約を得るところまで。術中、医療スタッフはそりゃ大変だろう。けど、私はその間ぐうぐう寝ているだけだ。こんな楽なことはない。もしイレギュラー事態発生で、腹腔鏡手術を開腹手術に変更するだの死ぬだのしても、病院側に全部判断を任せると言ってあるから、私に付き添いはいらないのだ。

「そうは言っても、本当は誰か待機してたほうがいいんだぞ」とキャリーはなおも言ってくれたのだったが、夢子は頑固だった。自分は身寄りもいないし、死んでも誰も困らない存在だ。そんな人間のために、世界的企業のエグゼクティブであるキャリーを何時間も拘束するなんてできない。便利屋さんを頼んでも一時間6,000円かかる、キャリーの時給は6,000円どころではないでしょう! ダメダメダメ、そんな、もったいなすぎる‼

 俺は思う。この夢子の考え方には大いに歪みがある、と。1時間いくら稼げるかで人の価値は決まらない。人間というのは、何かの部品のじゃないんだ。こんな世知辛い時代ではあるがな、本来、人間は死んだら「ハイ火葬しましょう」では済まない。

 あとな、貧乏人根性丸出しで何でも時給で計算する癖は、エレガントじゃないからやめてほしい。夢子、お前、吝嗇(ドケチ)がすぎるぞ。時給で働いた時期が長すぎた弊害だなぁ。それにヤツが自分のことをまったく愛せてないのも心配だ。痛みが多すぎる自分の体にうんざりしてることも一因だろうな、うむ、すまん。これは俺にも責任がある。

 そのへんのセルフ・イメージが改善されて、考え方の歪みが矯正されることを俺は願ってるぜ。今回の手術はそもそも自分への敬意、信頼性、自信を取り戻す旅だもんな。

 夢子の決心は揺るがないように見えたが、結果として、ヤツはキャリーに待機係をお願いすることにした。それは、ネット上の見知らぬ友人からもたらされた助言のおかげだった。

 その人のことは、夢子は本名もどこに住んでいるかも、実際の性別すら知らない。ただ、ネット上の掲示板でここ数年、お互いの存在を認識しあっている、それだけの関係だ。ネット上の名前を「みみせん」というその人と言葉を交わしたことはここ数年で一、二度あっただろうか、なかっただろうか。それすらはっきり覚えていない。夢子はみみせんさんのオリジナリティとユーモアに溢れた書き込みが好きだった。

 その掲示板に夢子が「今度手術することになった」とだけ書き込んだ時のことである。みみせんさんは、自分も手術して退院してきたばかりだ、知りたいことがあれば聞いてくれと親切にメッセージをくれたのである。

 夢子は待機係問題について聞いてみた。

「友人が手術中の待機を申し出てくれているのですが、申し訳ないので断りました。みみせんさんはどう思いますか?」

便利屋に術中待機してもらった女性
 みみせんさんからのお返事にはこう書かれていた。

「どの科に入院ですか? それによって多少異なるかもしれないので……」

 なるほどと思い「女性科です」と答えると驚かれた。

「みちばたさん(夢子のハンドルネーム)、女性だったんですか! 私も女性科で手術・入院したんですよ」

 そう、夢子はネット上で男性だと思われていた。よくあることだ。夢子だってみみせんさんのことは男性かもしれないと思っていたが、みみせんさんの手術も子宮摘出だったとのことだから、きっと女性なのだろう。

 何度かのやり取りを経て、以下のことが判明した。みみせんさんも単身女性で出産未経験のひとり暮らし。近親者はみな遠方であるために、夢子も検討した便利屋さんを雇って術中待機してもらったのだそうだ。

 みみせんさんには、

「術後のパンツはへそに当たらないほうがいい」
「ベッドにS字フックをかけてて収納するといい」
「術後トイレに行っても沁みることはない」

そして、

「付き添いはお願いしたほうがいい」

など現場からの貴重な情報を教えてもらった。みみせんさんの言葉に夢子は説得力を感じた。それは見知らぬ人に対してのみ感じる種類の説得力だった。

これがシンクロニシティか!?
 さらにみみせんさんはこうも言った。

「知らない者同士だから寄り添えることもある」

 これは俺もたしかにそう思う。知人・友人には言いたくないことでも、たとえばバーでひとりで飲んでいる時に偶然隣あった見知らぬ人には言えてしまう、ということはあるもんだ。

 昨今、人と人の繋がりは希薄になったと言われる。たしかにそうかもしれない、夢子は家族との縁もなく、友人も少ない。地域や職場のコミュニティにも属していない。

 だが現代では、ネットなどを通して、今までなかった繋がり方が可能になってきている。その新しい人との繋がり方を心得ているか否かで、現代社会をサバイブできるかどうかが、決まってくるのかもしれない。

 みみせんさんも夢子と同じような状況にあり、似たような不安・心配と向き合ってきたのだ。夢子には「こんな経験しているのは私だけだろう」という不遜な思いがあったから、自分のように便利屋さんを検討し、実際に利用した人がいたことに驚いた。それ以上に不思議なのは、タイミングまでほぼ同じだったことだ。

 カール・ユングという心理学者によると、何かが起こる時、同じようなことは地球上のいろんな場所で同時に発生しているのだそうだ。インターネットはユングが言うところの集合的無意識そのもののような場所だから、みみせんさんと夢子の手術のタイミングが近かったのも当然なのかもしれない。

 自分の少ない繋がりの中だけでも、自分と同じ経験をしている人がいた。みんな語りたがらないから情報としては表面には出てこないし、絶対数としてはまだ少ないのかもしれないが、日本中で今もひとりっきりで子宮摘出に挑んでいる女性がきっとたくさんいる。夢子は確信した。

 ということは、夢子はひとりだけどひとりじゃないのかもしれない。

 夢子の祖母の時代、女性は結婚する相手も自分の意思で選べなかった。そういう時代だったのだからそれがいいとか悪いとか言いたいんじゃない。

自分の運命を自分でコントロールする
 だが、夢子の祖母に限っては、結婚を激しく悔い、しょっちゅう愚痴っていた。

「祝言の時、角隠しをつけた自分が大きく見える気がして、ずっと背を屈めて縮こまってたのよ。その時は、おじいさんより背が高く見えたらいけないと思ってたの。けど今思うともっと背筋を伸ばして堂々としてればよかった。あんなジジイに遠慮する必要なんて何もなかったのに!」

 何十年も過去の記憶でフレッシュに悔しがれる祖母の様子からは、結婚生活がどれほど苦労の連続だったかうかがい知れるのだった。この一件から、人生を変えるような出来事を人任せにしてろくなことはないと夢子は信じるようになった。自分のこれまでの経験からも、そう思う。

 祖母のような「女の波乱万丈人生」を再現しては現代に生きている意味がない。

 昔は、子宮摘出のための病院探しから入院、手術、リカバリーの工程を女性本人がたったひとりで実行することは不可能だっただろう。だけど今は21世紀だ。きっとやれる。ひとりでも大丈夫、自分の運命は自分でコントロールできる。

 安心と希望はあると夢子は思った。

早めの閉経だけど、楽になった。46歳で閉経した久美子さんの充実した毎日

「セックスに関する話は苦手なの」――久美子さん(53歳・芸能事務所マネージャー・未婚)はインタビュー開始早々にそう切り出した。更年期の症状や心境、そして性生活について話を聞かせてもらうこのインタビューだが、久美子さんは性生活のことは詳しく話せない、ということだ。

 中学・高校の頃、いわゆる性の目覚めと言われる時期でも、仲の良い友達ともセックスに関する話をすることは一切なかったという。そうなった背景はおそらく幼い頃からの母の徹底的な教育が影響しているのではないかと久美子さんは自身を分析する――。

◎性に関する情報を完全にシャットアウトされていた少女時代

――お母様はどのような教育方針をお持ちだったんでしょう?

「たとえば家族でドラマを観ているとするでしょ? キスシーンになったとしたらすぐに『お風呂に入ってきなさい』って言うタイプ。あとね、家にある雑誌類で性に関する情報が載っているページは、子供が手に取る前に母がすべて切り取っていました」

――事前に全部ですか!?

「そう、徹底して。小さい頃は『お母さん、ここになんかこぼしたからページを破ったのかなぁ』とぼんやり考えていたんだけど……成長するにつれ知恵がつくから目次で確認するようになるの。それで『あぁそういうことか』と」

――性に関する情報を遮断されていたんですね。そうされることに疑問を感じたりは?

「まったく。5歳下の弟がいるんだけど、彼が思春期に入る頃には私も母と一緒に新聞や雑誌のそういう記事をせっせと切り取ってた。弟の目に入ったら大変だ、って(笑)。だから弟もいまだにそういうことにあんまり知識がないかも……」

――まさか! 弟さんは40代で会社にお勤めなんですよね。もう十分知り尽くしていらっしゃるかと。

「でも彼女もいたことないし、同僚との付き合いもないから……。私自身も、中学3年まで子供はどうやってできるのか詳細を知らなったし」

――中学で性教育の時間があったかと……。

「セックスについて自分は完璧に理解しているつもりだったから、なぜか。だからあまり真剣に聞いてなかったのかも。とにかく裸で抱き合いさえすれば子供ができると思ってたんです。でも中学3年生のときかな、誰かが『初体験は痛いらしい』って話してるのを小耳にはさんだのね。それで疑問がわいたの、抱き合うだけなのになんで痛いの?って」

――当時はインターネットもないですからね、自分でササっとは調べられない。

「そう。で、そのときは女友達に詳細を聞いて真実を知ったのね。あのときぐらいかなぁ、そういう話を自分からしたのは。だからいまでもその手の会話は苦手。セックスに関する専門用語っていうんですか? そういうのもあまり知らないから話もはずまない」

――これまで男性と交際されたことはありますか?

「はい、もちろんありますよ~」

――それは肉体関係のあるお付き合い?

「ええ、そうです」

――今はお付き合いしている方はいらっしゃらない?

「……ふふふ(笑)。いませんけど、そうですね、ときめきはあるので、その話はまた後で」

――では話を変えて。閉経が早かったと事前におうかがいしていますが。

「10年前。43歳のときです」

――たしかに平均閉経年齢より少し早いですね。

「私、それまでは生理が順調で一日たりとも遅れたことはなかったの。生理痛は酷いタイプだったけど。それで43歳で止まったときは、おかしいなと。その頃は彼もいなくて妊娠の可能性はない。それなら思い当たるのはただひとつ。当時、うちの事務所主催で初めて舞台を企画することになり、仕事がめちゃくちゃ忙しかったということ」

――仕事のストレスで生理周期が乱れたと思われたんですね。

「そう思ってすぐに婦人科に行きました。そしたら『子宮筋腫があるから、すぐ切りましょう。子宮も全摘出しましょう』と言われたの。『その年じゃもう子供を産むこともないでしょ?』って言われて」

――なんて乱暴な! 医者にあるまじき暴言です。

「ね~。いま思い出しても腹が立ちます。その人、界隈では有名なお医者さんだったのに……でもホント暴言だらけだった。あとね、エイズ検査も強引に勧められたから『必要ないです、大丈夫です』って断ったら、『過信しちゃだめだ、実はこのエリアのご婦人方の7割はエイズなんです』って言いだしたり……もう言ってることがめちゃくちゃ」

――いきなり子宮の全摘出しか方法がないと言われたら、ショックですよね。

「その頃はまだ結婚して子供産んで、ということも考えていたし。だから頭が真っ白になって。母のアドバイスで実家の近くでセカンドオピニオンを取ることになり、今度は女医さんがいる婦人科に行ったんです」

――そこではどんな診断でしたか?

「前の病院で言われたことを先生に話して血液検査をしたら、『まだホルモンいっぱいあるし、子供だってバンバン産めるから子宮とっちゃう必要なんてないですよ』って言われたんですよ」

――43歳でバンバン産めるっていうのもまた極端ですが……。そこでは女性ホルモンの値を調べたんですね。子宮筋腫はエコーでチェックを?

「その病院は血液検査だけでエコーはやらなかったんです。血液検査の結果をチェックして数値に問題はなかったから、生理が止まったのは仕事のストレスで、気持ちの問題だと。もっと私生活でワクワクすること、たとえば社交ダンスとか始めるといいですよ、って勧められました(笑)」

――う~ん。なんだかその先生はその先生でちょっと診断が安易というか……。子宮筋腫ってほかの病院で言われたのにエコーもしないってどうなんでしょうね。

「たしかに。でも前の病院で子宮全摘出と言われてショックだったから、そのときの私には心強く感じてしまいました。それで先生の提案で漢方治療をしてみようという話になったんです」

――更年期治療で出される漢方だと、加味逍遥散が代表的なようですが。

「たぶんそれです! 漢方を言われた通りに服用したら、すぐに生理が来ました」

◎完全に生理がこなくなった45歳のとき、運命の出会い

 漢方薬を決められた通りにきちんと飲むと生理が来る。飲み忘れてしまうと、生理は来ない。その繰り返しで約1年が経った頃、漢方を飲まなくても時折、生理が来るようになった。しかし以前のようなぴったり28日周期ではなく、20日で出血したり、数ヵ月はまったく出血がなかったりと不規則。なのに生理痛は以前と変わらずにあったという。そして45歳になった頃にはまったく出血することもなくなった。

――そのときの心境は憶えていらっしゃいますか?

「もう、生理が終わったなら終わったでいいかな、と思うようになっていました。結婚や出産を完全に諦めたわけではなかったけど……すっぱりと諦めきれない感じは残りつつ、でもどこかで無理しなくてもいいやという思いもあって。結局、漢方は飲まなくなったんです」

――子供を望まれている場合は、揺らぎますよね。

「でもその頃にね、私の人生においてすごく大きな出会いがあって」

――あら! ついに“ときめき”の男性の登場でしょうか?

「男性は男性でも、大衆演劇の花形役者さんなんだけど(笑)。でも大衆演劇と出会ったことで人生が大きく変わりました。なんといっても止まってた生理がまた来ちゃったんだから!」

――なんと!! そんなことがあるんですね~。

「その頃はもう生理が止まってから1年近く経っていたんですけど。とある人気劇団を観に行って、花形役者さんが舞台の上にいるのを観た瞬間にすごく胸がときめいて。『なんて素敵なの。この人大好きっ』って舞台観ている間中、ドキドキが止まらない状態に」

――まさかその日に生理が……

「観劇した翌日に出血(笑)。通常の生理みたいに何日かは出血が続きました」

――女性ホルモンが活性化したんでしょうか。以前インタビューした悠子さんという女性も「好きな男性とのデート直後に女性ホルモン値があがった」とお話してくださったんですね。医学的な見解からするとそれはあり得ないと言われるかもしれませんが、やっぱりあるんですよね、そういうこと。私たちは自分の体でそれを感じるというか。

「ときめきを取り戻したら生理がきた……そういう経験した人は少なくないんじゃないかな? 私を大衆劇団観劇に誘ってくれた友達に、生理がまたきちゃった話をしたのね。そしたら彼女『そんなの全然珍しい話じゃないよ、大衆演劇ファンの間じゃよく聞く話』ってあっさりと(笑)」

――わ、じゃあ大衆演劇ファンの間では日常なんだ(笑)。

「私が出会った劇団は大阪の劇団で。東京にくるのは一年に一度とかその程度。で、その次の年も彼を観に行ったら、また生理が翌日に再開したので驚きました。でも、そのときは出血も少量で2日程度と短かった。それ以降は体も刺激に慣れちゃったのか、彼を観ても心のときめきは変わらないんだけど出血することはなくなりました」

――それでも変わらず大衆演劇通いは続いていたわけですよね?

「もちろん。そうこうするうちにほかに好きな劇団もできたりして。新たに好きになったのは健康ランドでもお芝居する劇団。そうすると、芝居のついでにやっぱりお風呂に入っていきたいじゃない? 生理がないといつでもお風呂に入れるし、煩わしくなくっていいかなぁとさえ思うようになりました。生理ってないほうが楽だなぁって」

――生理に対してどんどん気持ちが変わっていったと。

「それで……たしか46歳頃かな。住んでいる自治体の子宮がん検診を受けたときに、女性ホルモンの値が下がっていると告げられて。『おそらく以前はかなり大きな子宮筋腫がありましたね』とも言われたの」

――女性ホルモンが減少すると筋腫は小さくなりますからね。でもやっぱり久美子さんの体には筋腫があったんですね。最初の暴言吐きのお医者さん、そこは正しかった。

「そうみたい。それでその子宮がん検診で診てくれたお医者さんに『いまならホルモン治療をすれば数値を戻せますがどうしますか?』って聞かれたんだけど……もう生理は必要ないってそのとき自分の中ではっきりと思うことができたんです。ホルモン治療をして筋腫がまた大きくなるのも嫌だったし」

――43歳で生理がほぼなくなったときに更年期症状は出なかった?

「いま思えば、43歳の頃にホットフラッシュが少しあったように思います。でも軽いものでした」

――女性は閉経後に骨密度がガクっと減少します。そうすると骨粗鬆、そして骨折が心配になってきますが……その対策はなにかとられてますか?

「最近ようやく気にするようになって。いまはカルシウムの錠剤を飲んでます。でもその程度ですね。これからしっかりと考えていきたいです」

生理のことを話すのは、今日の体調を話すのと同じ感覚
――46歳の頃って、同年代のお友達とかはまだ生理ありますよね? お友達に生理がないことは話せましたか?

「訊かれなくても自分から普通に『私、生理終わったよ』と話してました。43歳で生理がいったん止まったときも、みんなに話しましたし。そこになんのためらいもなかったです」

――「私だけ生理がないなんて恥ずかしい」とかそういう思いは?

「まったくないですよ~。あるときね、高校の頃の先輩と会っていて。私が『生理終わったよ』って話しだしたら、その先輩が『そんな話を人にしていいの? 私、もし今なくなったとしても夫には言えない』ってあっちがおろおろしてた。先輩、女だわ~ってちょっと笑っちゃったけど」

――閉経を好きな人に知られたくない心理の人はいらっしゃるようですね。あの、もしもの話ですけれど。久美子さんは、その頃に憧れの大衆演劇の役者さんに生理どうこうなんて話題を訊かれたとしても話せました?

「話せます。その花形役者さんにではないけど、憧れの人に自ら話したこともありますよ、閉経について。46歳頃に」

――その男性というのは?

「私が小さな頃から憧れていたある大物歌手の方と、40代に入ってから一緒にお仕事をするようになったんですね。そのお仕事は今も続いてるんだけど……。その方から『結婚しないの?』って訊かれたことがあったの。そこで私『いや~、私、もう生理ないですしね~子供産めないし』みたいな話をしました。彼も特に驚いた様子もなく『あぁ、そう』と。お互い仕事をする上での体調確認みたいな会話っていうか、そんな感じだった。生理について話しちゃいけない、恥ずかしいっていう意識はまったくないんです、私」

――それは若い頃からでしょうか?

「中学ぐらいからずーっとそう。男子の前でも、今日生理だから水泳休むね、と普通に話してた」

――思春期の男子は、どぎまぎしていたと思いますよ(笑)。

「え、それはどうして?」

――彼らにとっては、生理=セックスというか、生理=性的なものとして認識しているというか。性教育が行き届かないせいなのか、そういう誤解をしている男子、多いと思います。生理=性的なものでも下ネタでもなんでもなく、女性なら当たり前にあるものの話なんですけどね。そこを勘違いしたまま大人になってしまったおじさんは、「生理」というだけで、ものすごく好色な顔をするというか……。

「あ~多いですね、そういう人。私、下ネタは苦手ですが生理の話は平気。だって単なる体の仕組みですから」

――そうですよね。小学校の教育で、生理=性的なものではない、と男子にもしっかり教えてほしいなぁと思ってるんですけれど。

◎50代――これからの恋愛観

――今後、現実の、つまりリアルな男性を好きになりたいなと考えたりします?

「どうかな……小さい頃からずっとテレビの中の人に夢中になっていたし。リアルの男性とお付き合いしていた頃も、一番好きなのは芸能人だったんですよね、結局。きっとそこは変わらないと思う、今後も」

――年上の方にこういう言い方は失礼かもしれませんが、久美子さんは可愛らしいお顔だちで小柄だし、いかにも日本男性の好みそうな外見かなと思うんです。その気になればリアルな男性との恋もすぐに叶いそうですよね。

「う~ん。正直、同世代の男性には興味ないかな。ほら、よく男性が『オバサンはいや、若い女の子にしか興味ない』って話してるじゃないですか。あれ、女性も同じですから。私だってオジサンは嫌です、って言いたくなる! 若いほうがいいに決まってる!」

――じゃあ同世代の男性とセックスは……

「想像しただけでオエ~ってなっちゃう(笑)。考えてみたら、一般の男性のことを好きになったのってもう十年以上前が最後。でもね、私は今の状態ですごく楽しいし幸せだから満足してるんです。お気に入りの劇団の公演があるときは、半年ぐらい前からドキドキし始めて、エステや歯のホワイトニング、美容院と忙しいし充実してます」

――大衆演劇って、たしか舞台の終わりにお気に入りの俳優さんとツーショットを撮れるんですよね?

「そう! その瞬間のためにちょっとでも綺麗になりたいって思ってるから、半年前からあちこち行って磨かなきゃならなくって」

――そんなに夢中なものがあること、なんだか羨ましく思えてきました。久美子さんは生理のある・なしについてのこだわりなんてホントに一切なさそうですね。

「うん、でも閉経が早いからこそ、女であることを忘れちゃダメだとは思ってます。生理がなくなると、子宮という臓器がるあることを意識しなくなる。用のない臓器になっちゃうから。そうするとやっぱり自分の中でも外見的なことをサボる気持ちが出てきたというか……。私の場合、ちょうどそんな頃に大衆演劇と出会えた。やっぱり好きな人がいること、ドキドキすることっていうのは人生ですごく大事なことだと思うんです。私はきっと一生大衆演劇のファン。お気に入りの花形役者さんがたとえハゲても太っても、彼のことをずっと愛し続ける自信があります」

――今日は楽しいお話をありがとうございました。

~取材を終えて~

 取材中、愛する花形役者さんと久美子さんのツーショットを何枚も見せてもらった。そこに写る久美子さんははにかんだ様子でほんとうにまるで少女のような可憐さ! ちまたでよく言われる<閉経=女じゃなくなる>なんてくだらない説を木っ端みじんに吹き飛ばすような、心の充実がにじみ出た笑顔だった(ちなみに、花形役者さんは驚きの美しさであった)。

 最近ではNHKの人気アナウンサーである有働由美子氏(48)が、自ら司会を務める『あさイチ』で、40歳で更年期症状が始まりホルモン剤を服用したことを明らかにしている。有働アナはホルモン治療を行ったことで「逆に肌の調子が前より良くなり、本当に私の場合はすべての不調が改善されましたね」と語っており、現在も服用を継続しているそうだ。更年期は45歳から55歳までとされてはいるが、40代に入れば女性ホルモンはぐんと減少し始める。いつ閉経や更年期症状が出ても不思議ではないのだ。この事実を知っておくと、どこかに不調が出たときに「更年期かも?」とすぐに疑うことができ、まっすぐに婦人科のドアを叩くことができる。精神科や整形外科に遠回りして時間やお金の無駄遣いをしなくてすむのだ。女性の皆さん、どうか覚えておいてください。「40代前半で更年期の症状が出るわけはない」という思い込みは危険だということを。

「パパ活専門」を謳う出会い系サイトもエッチありきのお誘いばかり…やらせない女性は晒される

 近年良く聞く「パパ活」。お小遣いがほしい女性が、男性(パパ)とデートすることで、食事などをおごってもらったり、経済的な支援を受けることを指す言葉です。パパ活は援助交際と違って、「肉体関係ないことが前提」とされており、食事をするだけで数万円もらっているという女性もいるそうです。しかし実際、食事を一緒にするだけの女性に数万円払うパパって、そんなにたくさんいるものでしょうか。

 以前、私は出会い系サイトに登録していた時、男性ユーザーから「月100万円渡すのでその代わりに、セックスできますか」という旨の連絡が届いたことがありました。不気味に感じたのでフェードアウトしましたが、出会い系サイトで出会った男性と体の関係を持ち、その対価としてお金を得ていた女性から、お金を援助してくれるハズだった男性に“やり逃げ”されてしまったという話を聞いたこともあります。

▼出会い系サイトで「100万円援助します」という男性に、それでも会いたくなかった「怖すぎる要望」
▼出会い系サイトで男性から「セックス1回で3万円」もらっていた女性、やり逃げされても「泣き寝入り」

 あらためて単純な疑問として、ネットで知り合った女性に、デートするだけで数万円を渡す男性って、どれくらいいるんでしょうか? Twitterには「パパ活をしてます」「数名のパパを掛け持ちしてます」と名乗る女性アカウントもあるので、ひょっとしたら実在しているのかもしれませんが、決して多くはないのではないでしょうか。

パパ活専門の出会い系サイトに登録
 パパ活という言葉がメディアに取り上げられている影響もあってか、出会い系サイトには「パパ活専門」を名乗るマッチングサイトも増えてきました。私も出会い系サイトと同様、興味本位でそのサイトに登録したことがあります。

 18歳以上は登録できない(身分証明書を写メで提出したりする)など、システムはほぼ出会い系サイトと同じなのですが、そのサイトの特徴は、男性ユーザーの情報が年収ごとにランク付けされていることでした。男性は源泉徴収票などを提出しているそうでプロフィールを見れば年収がわかる仕組みになっていました。

 パラパラと男性ユーザーを見ていくと、1000万円以上の年収の男性もいれば、1億近い年収の男性もいました(本当かな?)。職業は会社の社長など重役を名乗っている男性が多かったです。年収も役職も高めとあって、年齢は40代~50代がメインのようでした。恋愛やセックスありだったら、個人的には「ナシ」判定する男性ばかりだったのですが、セックスなしのパパ候補としては(お金を持っているようですし)「アリ」なのかもしれません。

「大人の関係」を望む男性に遭遇
 男性から届いたメッセージは、「はじめまして。プロフィールを見て、気になって連絡しました」という当たり障りのないメッセージから、「頑張っている女性を応援したいです」という、なんだか胡散臭いメッセージまで。

 特に気になるメッセージもなかったのでスルーしていたのですが、ある男性から「マンガ、好きなんですね」というメッセージが届きました。私はプロフィールに「マンガが好き」と書いていたので、それへの反応です。「どんなマンガが好きなんですか?」「☓☓☓がオススメですよ」「今度読んでみます!」いったやりとりがしばらく続きました。

 その男性は40代の既婚者、職業は勤務医で年収は1000万円超とのこと。「本当に医者かわからないけど、“お金くれるなら”会ってみてもいいかもしれない」と思い始めた時、男性から「お会い出来たらいいですね」とのメッセージが。私が「機会があったら」と返すと、男性が本音を明かしました。

「正直に言ってしまうと、僕は大人の関係(いわば肉体関係)になれる人を探しています」

 代わりに金銭を渡すともありました。でも私がそれを望んでいなかったため、お断り。会ってから肉体関係を迫ってトラブルになるよりは、事前にきっちり交渉しておくという良識がある方だったので、すんなり引き下がってくれてよかったです。ただ、メッセージの口調など、出会い系サイトの男性と比べると紳士的な印象を受けましたが、言っていることは同じなんですよね……。男女共にセックスの相手を探しているマッチングサイトよりも、表向きはセックスなしを謳っているサイトなだけに、こじれたらヤバそうです。

 その後も、何度か“大人の関係”を求める男性ユーザーに遭遇しました。食事だけで経済的な支援をするという男性は少数。結局のところ、パパ活も売買春なんですよね。

膣キュンは本当にある! セックスやオナニーとは違った最高すぎる快感

「胸キュン」の類義語として、「膣キュン」という言葉があります。男性に対して性的な魅力を感じた時に使われることが多いようなのですが……実際に本当に膣がキュンキュンした経験、感じたことありませんか?

◎本当に膣がキュンキュンする「膣キュン」とは?

 私が初めて膣キュンし始めたのは、数年前。久しぶりに出来た彼氏とのセックスを悶々と思い出していると、突如、膣から子宮が「きゅう~~」っとする感覚に襲われました。性器にはまったく触れていないのに、想像だけで! 膣だけでなく、身体全体がふわふわする感覚にも襲われました。なんにもしていないのに、エロ想像だけでなんだか気持ちいい……! それが私の初膣キュン体験でした。

 膣キュンと聞くと、セックス中にしていると思われがちですが、ガチで膣がキュンキュンする膣キュンは、私の場合「最高だったセックスを思い出してキュン」、「その最高だった相手とのセックス妄想でキュン」パターンがほとんどです。妄想力もある程度必要なのでしょうか。

 しかも、膣キュンは回数を重ねていくと、仕事中にもできるようになります……(仕事しろ)! 私の場合、デスクワークだからできるのかもしれませんが。

◎膣キュンは実体験が影響している?

 膣キュンは控えめに言って最高です。わたしは結構好きです。セックスやオナニーとはまた違った快感があります。良かったセックスを思い出していくと、子宮や膣が徐々にきゅ~っとなって、行き過ぎると少し苦しいくらい。でも、身体がふわふわして、なんだか幸せな気分になるんですよ。実際は不明ですが、「女性ホルモン、めっちゃ出てる~~!」って感じもします。

 経験談ですが、私が膣キュンできるようになったタイミングは「最高なセックスを経験した後」でした。まずは最高すぎたセックスを思い出すことからはじめてみては。ぜひ、未経験の女性には試してほしい……! ちなみに私の場合は、実体験に付随したものでないとキュンキュンしません。たとえば、イケメン俳優とのセックス妄想では膣キュンできません。そう考えると、膣キュンはある程度、実体験が関係しているのかもしれません。

 ちょっと前までは、「想像だけで膣キュンしているとか、わりとヤバイやつなのかも」と心配していたんですが、身近な女性も「膣キュンしてる!」と話していました(安心)。全然おかしなことではないので、ぜひぜひ未経験の人はチャレンジしてみては。

女性の中イキ、「したことがない」のではなく「気付いていない」だけの可能性?

こんにちは。ポルチオ・ボルシチ・ポルチーニ……全部大好き、大根 蘭です。

 中イキしたことありますか? 「イク」といっても刺激する場所は代表的スポットは「クリトリス」「Gスポット」と「ポルチオ」とあります。「中イキ」というのは一般的には、膣の奥・子宮口付近にあるコリッとした突起物のポルチオを刺激されてイクことを指します。それぞれイク感覚は違いますが、ポルチオで感じるオーガズムは「セックスでの最高の快感や強い幸福感が得られる」と言われているほど深~~い快感を体感できるスポットだと思っています。是非、体感していただきたい快感スポットです!

▼ポルチオ刺激で中イキの最高潮!? 深い快感を知る

 「クリトリスの愛撫では何度もイクのに、中イキしたことがない」という意見を聞くことは多く、先日、友人女性とセックス話に花を咲かせていたときも同じ言葉を耳にしました。中イキの素晴らしさを懇々と語っていた私に対して「いいなぁ~。私はこのまま中イキを知らずに生きていくのだろうか」と嘆いておりました。しかし、話を聞いているうちにふと思ったんですよね。「それって、中イキしてない?」と。

◎クリイキの延長線上…だと思っている女性多し

 リサーチしたころ、友人と同じように中イキしている(可能性がある)のに「したことがない」と思っている方々が結構いるんですよね。中でも、中イキをクリイキの感覚と同じような感覚と認識している方、もしくは中イキをしていても「あの不思議な感覚は、中イキとは違うはず」と思い込んでしまっている方が多いように見受けられました。

 私が友人女性に思った「それって、中イキしてない?」と思った理由も、彼女が「中イキではないんだけど」話していた内容が、<膣内に何かが押し寄せてくる感覚><思わず足の指やお尻にギュッと力が入った><すごく気持ちいいけど、とてつもない疲労感><イクッ! という感覚ではなかった>という感想だったため、まさにそれが、中イキではないかと感じたからです。彼女のように中イキでも「イクッ!」的感覚になるはずと思っていることが、中イキに気付いていないだけでは? という方もいるように思うんです。

 クリイキと中イキの感覚は似て非なるもの。私の場合、クリイキはカラダの緊張感、そして解放とともに「イクッ!」(ビクンッ)というわかりやすい反応が出ることが多いかと思います。それに比べ、中イキは「なんかクル~!」と徐々に迫ってくる感覚です。

 ちなみに相手男性の感想を思い出すと、クリイキ後は「すごい締めつけてくる」という言葉で、中イキ後「すごい吸い込まれる」と言われたことがあります。クリイキは“ビクンッ!”と痙攣による締め付け、中イキは“ギュー!”っと絞られている感覚に近いのかもしれません。

◎中イキしていることを自覚するには?

 経験豊富な男性とのセックスでは、挿入中にポルチオ刺激でオーガズムを得た場合は、膣内の動きや愛液の分泌の様子などで、「今、中イキしたな」と相手もわかるといいます。そういう相手に「今のが、中イキだよ」と教えてもらえれば納得出来るのかもしれませんが、自分ではどうすればわかるの? と思いますよね。

 もちろんカラダの反応は個人差があると思いますが、私の場合の詳細は、「イク直前は力み、イッた瞬間に脱力」「膣内が収縮(ヒクヒク)」「体が火照って、額に汗」という3ステップが訪れます。

▼女性が「イク」瞬間に訪れるカラダの変化って実際どんな具合なの?

 中イキでも同じような現象が起きますが、クリイキ時よりも膣内のヒクヒク度合いも大きく、いつもより長いこと収縮している気がします。ちなみに、イク瞬間は、頭が真っ白になって「アンアン」騒ぐというよりはうめき声に近いときもあれば、叫びに近いときもありますが、クリイキのそれとは確実に違います。

 もうひとつ大きな違いは、私はいつもクリイキしたあと、少し落ち着いたらまたネクストラウンドに突入できるのですが、中イキ後はノックアウト。「もう無理です……」としばらくベッドの上で放心状態であることが多いように思います。私自身、はじめての中イキ体験は、訪れる快感からイッたあとも、まさに「不思議な感覚」だったと思います。

◎「気持ちいい」を脳が覚えること

 今までもお伝えしてきたように、膣内はたくさん「性感帯」と言われる場所がありますが、本来、膣は奥にいくほど鈍感な場所です。リラックスした精神状態で触れられたり刺激を受けて「気持ちいい」と感じることで「性感帯」に変えていく場所なんです。

▼膣は鈍感な場所である。Gスット・ポルチオで最初から「イク~」とならない理由

 つまり、自分が性感帯と感じるのも「イッた」と感じるのも自分の脳次第ということ。極端な話、「快感」と感じることで迷走神経などを通して中イキのオーガズムを得ることができます。反対に、どれだけリラックスして最高のテクニックを受けても、自分の脳が「気持ちいい」と気付かなければ、快感に変わることもオーガズムを感じることはない、ということです。目安としましては……、

*快感の強い高まりを感じる

*呼吸が荒くなる、または一瞬呼吸が止まったりする

*手足や腹部、尻などに強い緊張を感じる(力が入る)

 この3つを感じたら「イッた」と自覚し、その刺激やカラダの変化を脳が覚えておくことが重要ポイントです。クリイキとは違う、感じたことのない感覚を「今まで経験したことのない、不思議な感覚」でスルーするのではなく、カラダや膣内の反応をに気付き、記憶することは中イキの快感に気付くステップなのかもしれませんよ~。

女性の中イキ、「したことがない」のではなく「気付いていない」だけの可能性?

こんにちは。ポルチオ・ボルシチ・ポルチーニ……全部大好き、大根 蘭です。

 中イキしたことありますか? 「イク」といっても刺激する場所は代表的スポットは「クリトリス」「Gスポット」と「ポルチオ」とあります。「中イキ」というのは一般的には、膣の奥・子宮口付近にあるコリッとした突起物のポルチオを刺激されてイクことを指します。それぞれイク感覚は違いますが、ポルチオで感じるオーガズムは「セックスでの最高の快感や強い幸福感が得られる」と言われているほど深~~い快感を体感できるスポットだと思っています。是非、体感していただきたい快感スポットです!

▼ポルチオ刺激で中イキの最高潮!? 深い快感を知る

 「クリトリスの愛撫では何度もイクのに、中イキしたことがない」という意見を聞くことは多く、先日、友人女性とセックス話に花を咲かせていたときも同じ言葉を耳にしました。中イキの素晴らしさを懇々と語っていた私に対して「いいなぁ~。私はこのまま中イキを知らずに生きていくのだろうか」と嘆いておりました。しかし、話を聞いているうちにふと思ったんですよね。「それって、中イキしてない?」と。

◎クリイキの延長線上…だと思っている女性多し

 リサーチしたころ、友人と同じように中イキしている(可能性がある)のに「したことがない」と思っている方々が結構いるんですよね。中でも、中イキをクリイキの感覚と同じような感覚と認識している方、もしくは中イキをしていても「あの不思議な感覚は、中イキとは違うはず」と思い込んでしまっている方が多いように見受けられました。

 私が友人女性に思った「それって、中イキしてない?」と思った理由も、彼女が「中イキではないんだけど」話していた内容が、<膣内に何かが押し寄せてくる感覚><思わず足の指やお尻にギュッと力が入った><すごく気持ちいいけど、とてつもない疲労感><イクッ! という感覚ではなかった>という感想だったため、まさにそれが、中イキではないかと感じたからです。彼女のように中イキでも「イクッ!」的感覚になるはずと思っていることが、中イキに気付いていないだけでは? という方もいるように思うんです。

 クリイキと中イキの感覚は似て非なるもの。私の場合、クリイキはカラダの緊張感、そして解放とともに「イクッ!」(ビクンッ)というわかりやすい反応が出ることが多いかと思います。それに比べ、中イキは「なんかクル~!」と徐々に迫ってくる感覚です。

 ちなみに相手男性の感想を思い出すと、クリイキ後は「すごい締めつけてくる」という言葉で、中イキ後「すごい吸い込まれる」と言われたことがあります。クリイキは“ビクンッ!”と痙攣による締め付け、中イキは“ギュー!”っと絞られている感覚に近いのかもしれません。

◎中イキしていることを自覚するには?

 経験豊富な男性とのセックスでは、挿入中にポルチオ刺激でオーガズムを得た場合は、膣内の動きや愛液の分泌の様子などで、「今、中イキしたな」と相手もわかるといいます。そういう相手に「今のが、中イキだよ」と教えてもらえれば納得出来るのかもしれませんが、自分ではどうすればわかるの? と思いますよね。

 もちろんカラダの反応は個人差があると思いますが、私の場合の詳細は、「イク直前は力み、イッた瞬間に脱力」「膣内が収縮(ヒクヒク)」「体が火照って、額に汗」という3ステップが訪れます。

▼女性が「イク」瞬間に訪れるカラダの変化って実際どんな具合なの?

 中イキでも同じような現象が起きますが、クリイキ時よりも膣内のヒクヒク度合いも大きく、いつもより長いこと収縮している気がします。ちなみに、イク瞬間は、頭が真っ白になって「アンアン」騒ぐというよりはうめき声に近いときもあれば、叫びに近いときもありますが、クリイキのそれとは確実に違います。

 もうひとつ大きな違いは、私はいつもクリイキしたあと、少し落ち着いたらまたネクストラウンドに突入できるのですが、中イキ後はノックアウト。「もう無理です……」としばらくベッドの上で放心状態であることが多いように思います。私自身、はじめての中イキ体験は、訪れる快感からイッたあとも、まさに「不思議な感覚」だったと思います。

◎「気持ちいい」を脳が覚えること

 今までもお伝えしてきたように、膣内はたくさん「性感帯」と言われる場所がありますが、本来、膣は奥にいくほど鈍感な場所です。リラックスした精神状態で触れられたり刺激を受けて「気持ちいい」と感じることで「性感帯」に変えていく場所なんです。

▼膣は鈍感な場所である。Gスット・ポルチオで最初から「イク~」とならない理由

 つまり、自分が性感帯と感じるのも「イッた」と感じるのも自分の脳次第ということ。極端な話、「快感」と感じることで迷走神経などを通して中イキのオーガズムを得ることができます。反対に、どれだけリラックスして最高のテクニックを受けても、自分の脳が「気持ちいい」と気付かなければ、快感に変わることもオーガズムを感じることはない、ということです。目安としましては……、

*快感の強い高まりを感じる

*呼吸が荒くなる、または一瞬呼吸が止まったりする

*手足や腹部、尻などに強い緊張を感じる(力が入る)

 この3つを感じたら「イッた」と自覚し、その刺激やカラダの変化を脳が覚えておくことが重要ポイントです。クリイキとは違う、感じたことのない感覚を「今まで経験したことのない、不思議な感覚」でスルーするのではなく、カラダや膣内の反応をに気付き、記憶することは中イキの快感に気付くステップなのかもしれませんよ~。

「ゴムつけない派」男を制し、安心安全なヤリマンでいたいわたしの戦法

「俺、生じゃないとだめなんだよね。ゴムつけると萎えるから」

元ヤリマンでクラブ遊びばかりしていたわたしは、この手の男をごまんと見てきた。 しかも、お持ち帰りが成立してから言うからたちが悪い。いざセックス! 挿入! の瞬間に言う男がほとんどである。

ええっ? このタイミングで!?

まんこはもうよだれたらして濡れ濡れで早くちんこを欲しがっているし、相手のちんこもビンビンに勃っている状態である。

「いや、ゴムつけないと……」

わたしがそう促しても

「ゴムつけたら百パー萎えるけどそれでもいいの?」

まるでセックスできないぞ、と脅すような言葉が返ってくるのだ。

やれやれ、またか…………。

この手の「俺様ゴムつけない派」な無責任男をイヤというほど見てきたわたしは、ただただ呆れるしかない。

そして、強めにこう言い返すのだ。

「ゴムつけないならヤらない」

その瞬間の、落胆した男の顔はなんとも情けないものである。

「じゃあ、せめて(ちんこの)先っぽだけでいいから挿れさせて! 少しだけでいいからお願い」

こんな事を言うあきらめの悪い男は多い事実。何故、そこまで生にこだわるのだろう。

「生セックスしたい」男に私はマイコンドームを差し出す
「生の方が気持ちいいから」

堂々と本音を言う男もいるが、一瞬の快楽のために、性病になったり妊娠したらどうするのだ? と思う。 ましてや相手は好きでもない男。

「ちんこの先っぽだけ挿れるのも危険やねんで? 粘膜の接触だけで性病がうつることもあるんやから」

「俺、性病ないよ? ちゃんと検査したし」

「じゃあ、もしわたしがあったらどうする?(ないけど)クラブで初めて会った相手と生セックスなんて、かなり危険じゃない?」

自分は性病じゃないと主張できても、相手のことなんてわからない。そもそも性病じゃないと言い張っていても本当にないと信じていいかすらわからない。先ほどのようなセリフを言うと、大抵の男性は生セックスを諦めて、財布からいつ買ったかわからない、よれよれのコンドームを取り出すのである。

(生じゃないとダメって言ってたのに、何故財布にゴム?)

とりあえずオプション的に言っているというか、本音は「生じゃないとダメなわけじゃないんだけど、生でヤれたら嬉しいな」くらいに思っているのだろう。

生派男の中には「俺、大体の性病は経験済みだぜ!」と何故かドヤ顔で自慢してくる男もいたっけ……。怖すぎてゴム越しでもセックスを拒否したが。この超無責任な男は「性病になっても薬飲めば治るから平気」とこれまたドヤ顔で言っていたのが未だに印象的である(オエーッ!)。

ちなみにわたしは、男性がよく財布にしのばせて持ち歩いている、財布の摩擦ですりきれそうなぼろぼろのコンドームは決して使わない。

「財布の中のゴムは摩擦で劣化してるから、箱から出したてのコンドーム使って」

と、ドヤ顔してわたしは新品の箱から取り出したマイコンドームを男に差し出す。

大抵の男は、「なんだ、この女ヤベェ……」といった苦笑いをひくひく浮かべる。

あれだけ生じゃないと勃たないと宣言していた男が、しぶしぶとゴムをつける後ろ姿はまるで試合に完敗したかのような哀愁を背負ってなんだか情けない。

(C)緑丘まこ
コンジローマにクラミジア! 生派男から性病をうつされた友人たち
生セックスの要望以外にも、九割以上の男性がフェラチオやキス、時にはクンニをしたいと求める。

その際も、わたしの説教がはじまるのだ。

「いやいやいや、キスもフェラも粘膜同士の接触だから! ゴムつけてセックスしててもキスやフェラしてたら生セックスするくらいリスクあるから。わたしはヤリマンだけど、ヤリマンだからこそ気をつけてる。あなたも気をつけた方がいいよ」

男はドン引きするが、かまわない。一瞬の快楽より安全安心なセックスを心がけたい。

わたしの友人も、過去に生派男に押され、その場の雰囲気を壊さないため生セックスしてしまった人が何人もいる。クラブでの出会いにもかかわらず。

その結果……

友人A子は「なんか、あそこにぶつぶつができてん。どうしよう……(涙)」と訴えてきた。

わたしに泣きそうになりながら相談した直後、婦人科に行ったA子は、ショックなことを医師に告げられたという。

「尖圭コンジローマですね。これは、切らなきゃいけないかもしれません」

切……切る!? 安易に生セックスして、性病に感染して、まんこを切る? 正確には尖圭コンジローマは、発症すると性器や肛門あたりにいぼができ、その部分を手術で切除しなければならないというのだ。初期段階であると、クリームで治療できる場合もあるというが、どちらにせよおそろしい……。しかも、治療をしても四人に一人がその後再発するという厄介な性病である。

「相手が性器の先っぽを、生でわたしのあそこに何度もこすりつけてきて、少し挿れてきて断れなかってん……。最後はちゃんとゴムつけたのに、まさかこんなことになるなんて……」

A子は落胆していた。

生派男に流され生セックスをしてしまった友人達はクラミジアになるパターンが一番多かった。女性の場合、感染しても自覚症状が出ないことが多く、厄介な性病である。放置しておくと男性は尿道炎や前立腺炎、女性は子宮内膜炎や卵管性不妊症などの重篤な病気に発展することも。

そして、クラミジアなどの性病にかかると、性器が炎症を起こして抵抗力が弱っているため、HIVの感染率が3倍から5倍になるという。

おそろしすぎる。生セックスは本当に危険なのだ。

ピルを服用しているから大丈夫、と自ら生セックスをする女性もいるが、ピルでは性病もHIVも防げない。

性病などを防ぐ方法は、コンドームを着用し、徹底的に粘膜同士の接触を避けることである。コンドームも百パーセントの安全性はない。劣化しているゴムや使用法を誤って使うと破れやすいので要注意である。だから財布の中にあるコンドームは信用できない。

女性は、大抵コンドームを男性任せにしているイメージがある。実際、クラブに一緒に行った友人にマイコンドームを分けてあげて、のちに大感謝されたこともあった。「お持ち帰りされて男の家に行ったらゴムないって言われたから、まこにもらったゴムが役に立ったわ〜」と。

彼氏であっても安易な生セックスはしてはダメ
わたしは、避妊や性病予防を男性任せにして女性に傷ついてほしくない。高校時代、友人の友人が何度も妊娠して中絶したと聞いてショックを受けたことがあった。ない妊娠はもちろん、生セックスが原因で性病にかかって大切なまんこを傷つけてほしくない。

だから、自分を守るために女性にも“マイコンドーム”を是非持つように推奨したい。

恋人だろうと遊びだろうと、生の方が気持ちいいから、とゴムをつけたがらない無責任な男性には是非、「ゴムつけないならヤらない」と強気な姿勢でマイコンドームを差し出そう。もちろん箱に保管していたものを。

わたしの場合、生派な男はコンドームの正しい装着方法も知らなさそうなので、丁寧に装着してあげていた。

【正しいコンドームの扱い方】

・清潔に洗った手で先端をつまんで空気を抜く(破れるのを防ぐため)。
・裏表を確認して装着する!
・必ずペニスの根元まですっぽり隠れるように装着すること(粘膜同士の接触を避けるため)。
・射精したらゴムが外れないようにちんこの根元をおさえながら、すぐにまんこから出す。
・使用後は口を結んで捨てる。再利用は絶対にしないこと!

コンドームを買う時、恥ずかしいと思う女性もいると思うが、堂々としよう。むしろ、リスキーな生セックスをする方が恥なのだから。個人的には、コンビニより薬局で購入する方が値段が安くてオススメである。

わたしは生じゃないならいいや、と断られたことは一度もないが、もし断られたとしたらそれはそれでいいのだ。 望まない妊娠、性病やHIV感染のリスクを背負ってまで生セックスなんてする必要ない。 そして生セックスをするしないは、男女の連帯責任であるとわたしは思っている。

高校時代、友人の友人は「生じゃないと彼氏が嫌がるの」といやいや生セックスをした挙句、妊娠して中絶したが、その場合も男女ふたりの責任であるとわたしは思う。コンドームは女性も買えるのだから。なのに何度も生セックスを繰り返しては妊娠→中絶していたという話を聞いて正直呆れていたし、胸がかなり痛んだ。望んでいてもなかなか授からない人もいるのに。命をなんだと思っているんだ。

だから絶対に絶対にリスクのある生セックスなんてしてはいけない。 ピルを服用している場合も、事前に婦人科、泌尿器科でお互い性病の検査をした上で生セックスをすることをオススメする。自覚症状のない性病もあるのだから。

……と今回はかなり真面目に語ってしまった。 驚くかもしれないが、連日のように違う女性とヤりまくる男性(いわゆるヤリチン)の中には、生セックスのリスクを意識して必ずコンドームを装着する人も多い。

ヤリマン・ヤリチン=性病持ちではないのだ。

わたしがヤリマン全盛期だった頃、「そんなに不特定多数とヤりまくってたら病気こわいわ~」と言ってきた友人がいたが、そういう彼女の方が、結婚する予定もない歴代の彼氏全員と生セックスをしてきた、と言うから驚く。

例えば、彼氏が実際遊び人のタイプに見えなくて彼氏の元カノが遊び人で性病持ちだったらどうするのだろう?

考えすぎだ、という人もいるかもしれないが、大切な事だからそれくらい神経質になるくらいがちょうどいい。彼氏だから、安全という保証はない。

これを機に、声を大にして言いたい。

是非、女性の方も持ちませんか? 自分を守るマイコンドーム。

子宮摘出手術をひとりで受けて、ひとりで退院する。解決すべき課題と医療の進歩

前回は夢子がなんとか子宮摘出手術の予約をもぎ取り、それを祝う子宮摘出パーティを開いてもらったところまで語ったな。

 手術すること自体が決まったのはもちろん、病院が決まって俺はホッとした。それさえ決まれば、無駄な悩みが減るからだ。夢子のやつ、手術は怖くないらしいんだが、入院に関しては必要ないことまであれこれ心配していた。

 入院が決まる前から夢子が恐怖していたことの中でも、代表格は”同室の入院患者にいじめられるのではないか”ということだった。夢子は収入が少ないので、一番リーズナブル価格である大部屋に入院する。5人くらいはルームメイトがいるのだろうか? 夢子には恐怖でしかなかった。やつには根拠のない確信があった。

(私は、同室のレディースに、いじめられる)

 入院関連の不安としては、思い悩んでもどうにもならないことNo.1だとわかってはいても、夢子はクヨクヨし続けた。

 夢子はもともと、1日のうち数時間はひとりっきりで過ごさないと情緒不安定になる体質だ。これは鬱とは関係ない。あまり知られていないかもしれないが、そういう体質の人間は社会に一定数、存在する。生まれついた脳の仕組みでそうなるらしい。

 そんな体質の者であっても、人と交流することは可能だ。ただ、夢子は半年に及ぶ病院探しで弱体化していると自覚していた。普段の体質に輪をかけて内向的傾向が強くなっている上に、鬱やパニックが出やすくなっている。それなのに24時間、人間と共同生活が送れるわけがない。この考えはまだ理解できるんだが、一足跳びに「いじめられる」と思ってしまうのはちょっとアレだなぁ。ま、コンディションがよくないってことだな。

◎快適な入院生活が送れるパジャマとは?

 もう少し具体的な懸案事項もあった。寝間着である。

 入院の時は、看護師さんが患者のケアをしやすいよう前開きのパジャマ、もしくは浴衣のようなものでないといけないという。夢子は前開きのパジャマを持っていない。そういえば、近年そういうタイプのものをあまり見かけない気がする。資金も乏しいことだしネットで安く買おうと、入院先が決まる前からパジャマを検索していた。しかし前開きで低価格なパジャマはほとんどなかった。ボタン代が上乗せされ割高になるからか、安いパジャマは全部スウェットのような形をしている。不況はこんなところにも影響を及ぼすのか。

 ネットショップヘビーユーザーの夢子宅には、頻繁に宅配便配達がある。昨今では、朝早くや寝る間際の配達は珍しくない。そういう場合、ひとり暮らしでは寝間着のまま荷物を受け取ることになる。配達員にパジャマパジャマした格好で応対するのはさすがに気が引けるのだが、お手頃かつ前開きなものは花柄やフリルがついていて「どうも! パジャマのままです!」という主張が強い。

 買ったものを入院の時にだけ着るのは、お金がもったいない。シンプルかつ前開きで安いパジャマはないのか! と探してもシンプルであればあるほど1万円以上する。この現象はパジャマ・パラドックスとでも言うべきか。検索し始めてから4時間くらいは平気で過ぎていた。成果なしである。

◎手術後にすぐ洗濯できるのか?

 この件はいったん脇に置こうと決めるも、違う心配が立ち上がってくる。ブラジャー問題である。ノーブラのパジャマ姿で洗面所に行く際に、乳首が透けてしまうのはイヤだった。だがせっかくパジャマを前開きにしても、その下に着けているブラが後ろ開きでは意味がない。とすると、ブラも前開きのものを購入するべきか? 恐る恐る検索しても想像通りだ。こちらは軽く1万円くらいはする。気がつくと検索を始めてからすでに6時間くらいは経過していた。

 ダメだこいつ、不安すぎて完全に正気を失っている。Googleは不安を解消してはくれないぞ!

 パジャマ、ブラなどについてひとしきり思いを馳せれば避けて通れないのは、そう、洗濯案件である。仮にパジャマとブラを調達できたとしよう。高額だからそれぞれ1セットのみだ。しかし手術後、出血やその他体液で着ているものは思いのほか汚れるかもしれない。入院は2週間の予定だが、洗濯なしで過ごすのは無理なのでは。

 ご存じの通り、夢子には身寄りがない。洗濯もすべてセルフだ。コインランドリーはあるような気がする。だが、手術後すぐにランドリーする気力が自分にあるだろうか。

(あっても、パジャマ1組と下着だけ洗って乾燥するのはお金がもったいないなぁ。あっ、洗濯中は何を着ればいいの? なるべく出費は減らしたいけど、やっぱ1セットずつじゃ無理……?  ああっ私にお金さえあれば!)

 夢子の悩みは尽きない。そこで気づいたが、自分の不安の本質はパジャマやブラのことではなく、お金のことなのかもしれない。パジャマもブラもこれ以上検索しても仕方ない。

そう考えるも、心配事は休むことなく心に去来する。

 夢子が住んでいるのはアパートの2階だ。エレベータなどなく、部屋へと続く急勾配の階段は暗く狭い。コンクリートを流し込んだだけのそれは、俺たちには凶器でしかない代物だ。体調不良だとなんでもない段差でもつまづくものだ。それは夢子も多々経験しているし、すでにこの階段からも何度か落っこちている。今のところ骨折せずに済んでいるので自身の骨密度に感謝する日々だが、手術後はどうだろう? 退院後の落ちた筋力で、この違法建築ぎりぎりの階段を自力で登ることは果たして可能なのか。

 夢子は身震いした。やつの脳裏では今、階段から落ちたまま動けず冷たいコンクリートに横たわる蒼白な女と、地面にゆっくり広がる紅色のコントラストの見事な動画が絶賛上映中だ。それが終わると別アングルでもう一回、お次はばっちりスローモーションで……などと動画はさまざまなバリエーションで展開していく。

◎「親族がいない問題」をどうするか

 脳内ムービーで現実逃避しても、重大な問題がまだ残っている。先ほども言ったように、夢子には頼れる者はいない。そもそもそんな人間でも手術・入院させてもらえるのだろうか?

 支配的かつ虐待的な両親とは物理的・精神的な距離を置かないかぎり、自分の生活が崩壊してしまうので連絡を絶っている。入院のために彼らと再び繋がりを持つつもりはない。

 手術中の緊急事態に備え、親族などが病院で待機する慣習があることを、夢子は漫画で読んで知っていた。やつは人生に役立つ知識はだいたい漫画から得ている。もし「手術中待機係」が絶対必要ならば、便利屋さんにでもお願いするしかないと思った。相場は1時間6000円。手術中ずっと待機してもらうとなると高額になるから、本気でイヤだが仕方ない。

「待機係」案件はこのようにクリアできたとしても、さらに気がかりなのが「親族による同意書サイン」問題だった。

 以前読んだ漫画『グーグーだって猫である』(大島由美子)には、大きな女性科疾患を患った未婚の主人公が入院と手術を経た後、治療を続けながら営む日常生活が描かれている。90年代に描かれた本作では、主人公の手術の際、遠くに住む親戚に出向いてもらって同意のサインをしてもらわなければならなかった。「この制度はなんとかならないのか」と書いてあったと記憶している。

◎入院中のQOLは心配なさそう!

 入院先が決まってしまえば、着るものやコインランドリーの値段、同意書サインの件などは、病院に聞けば済む。パジャマ等々の件でハゲそうなほど気をもんでいた夢子の精神的負担も、少しは軽くなるだろう。

 問い合わせの結果、病院には寝間着とタオルのレンタル制度があることが判明した。レンタルは平日のみ、1日数百円とのこと。夢子の入院期間のうち、平日は10日ほどだ。毎日レンタルしても合計5000~6000円、前開きのパジャマを1着買うより安いではないか。これなら洗濯する元気がなくても大丈夫、コインランドリー代まで浮く! すばらしい制度だ!

 しかも写真で見ると、パジャマの前身ごろは甚平のように二重になっている。これならブラなしでも乳首は透けない! 前開きのブラも買わなくて済む!

 きっと自分だけではなく、これまでに入院した多くの人たちも、パジャマやブラ、洗濯問題に頭を悩ませてきたのだろう。そんな人々が病院に意見を言ってくれたから、このように便利な制度が今は存在するのだ。先人のみなさん、ありがとう。入院前の不安を抱えていたのは、私ひとりじゃなかった、そう思うと、少し心強かった。

 もうひとつ気がかりなことがあった。子宮内膜症などの手術の際、Rを投与する病院が少なからずあると聞いていた。10年ほど前に提案され、最近でもピルの代替薬として勧められたが断ったあのRだ。

 Rのせいで骨量が低下したところにアパートの階段から落ちたら、今度こそ骨折してしまう可能性大だ。ひとり暮らしの女性が骨折から寝たきりになり孤独死する、この国に蔓延するケースに自分がなるかどうかの瀬戸際である。入院の予約を取る際に、医師にこういった。

「私は鬱ですし、ひとり暮らしで骨量低下もすごく心配なので、手術前のRはなしでお願いできませんか」

 恐怖から夢子の眉間にはくっきりとしわが刻まれていた。事前の検診で、医師はすでに子宮の動きを確認していた。これなら内視鏡で摘出できるし、卵巣も腫れていないからきっと複雑な手術にはならないだろうという結果だった。医師は言った。

「そうですか……癒着もありませんし、ご本人がRなしを希望するということでしたらなしにしましょう」

 こりゃ、言ってよかったなぁ、おい! 話のわかる先生でよかったぜ。しかし、何も言わなかったらやっぱりRを投与されていたのか。そう考えるとちょっと怖いな。

◎長年ピルを服用してきた甲斐が!

 癒着がないと言われた時、夢子は誇らしさに胸がはちきれそうだった。

(そりゃそうよ、腹腔内の炎症や癒着を最小限に留めるため、私は10年以上も前から根性で毎日ピルを服用してきたんですもの!)

 子宮内膜症の治療薬としては未認可だった昔から、地を這い泥水をすする思いでピルを確保し、家族を含めた周囲にバレないよう服用してきた。その積年の努力は、今日という日を迎えるためにあったんだ。この瞬間、これまでの苦労が報われたようで夢子はじーんと感動していた。

 手術の予約の時には、付き添いが必要か否かもまっさきに確認した。

「私は身寄りがないので、手術中に待機してくれる付き添い人はいません。手術同意書にサインしてくれる者もいないのですが、大丈夫でしょうか」

「いるにこしたことはないのですが、無理な場合はいなくても大丈夫ですよ」

 医師は手術同意書親戚の署名・押印の欄に、鉛筆でさっと×印を書き込んでくれた。

(ありがたい、病院の制度が進化して未婚・身寄りのない者にも優しい制度になっている!)

 夢子は心底ほっとしながら署名捺印した。医療が10年前とあまり変わっていない、と憤慨したことは記憶に新しいが、変化している点もあってよかったなぁ。

◎人生と体のコントロールを取り戻す

 とはいえ、「何かがあった際の緊急連絡先は必要」とのことだった。

「友人に重荷を背負わせることはしたくないので、もし手術中に何かがあっても私は病院の判断に従います。手術中に死んだ場合のこともすべて委ねます。だからこの連絡先は形式的に書き込むだけにさせてください」

 夢子は何度も念を押してから、友人・キャリーの携帯番号を書類に書き込んだ。

「死んだ場合」と夢子が言った時、医師は少し困った顔をした。こんな時に口にするにはたしかに縁起でもないことかもしれないが、自分のような独り者が死に関して意思を明確にしないままでは、人に迷惑をかけてしまうかもしれない。

 それに、夢子はこれまでずっと希死念慮とともに生きてきた。うっかりビルから飛び降りたり、衝動的に電車のホームに飛び込んだりしないよう注意する日常だったので、「死」については考え慣れている。どう死にたいかを意識して生きてきたからこそ、よりよく生きるための手術することを今回選んだのだ。このまま人生を無駄にして腐ってしまっては、自殺を我慢し続けてきた甲斐がないってもんだ。

 精一杯努力して人生と体のコントロールを取り戻す。そのプロセスの途中で(たとえば手術中などに)死んでしまっても、それはむしろ前向きなことだと解釈しているから後悔はしない、と言い切れる。夢子は、体調に関しては結果にコミットするつもりはく、努力したというプロセスが大切だと考えている。どんな結果になろうと、我々は受け入れる所存だ。

子宮摘出手術をひとりで受けて、ひとりで退院する。解決すべき課題と医療の進歩

前回は夢子がなんとか子宮摘出手術の予約をもぎ取り、それを祝う子宮摘出パーティを開いてもらったところまで語ったな。

 手術すること自体が決まったのはもちろん、病院が決まって俺はホッとした。それさえ決まれば、無駄な悩みが減るからだ。夢子のやつ、手術は怖くないらしいんだが、入院に関しては必要ないことまであれこれ心配していた。

 入院が決まる前から夢子が恐怖していたことの中でも、代表格は”同室の入院患者にいじめられるのではないか”ということだった。夢子は収入が少ないので、一番リーズナブル価格である大部屋に入院する。5人くらいはルームメイトがいるのだろうか? 夢子には恐怖でしかなかった。やつには根拠のない確信があった。

(私は、同室のレディースに、いじめられる)

 入院関連の不安としては、思い悩んでもどうにもならないことNo.1だとわかってはいても、夢子はクヨクヨし続けた。

 夢子はもともと、1日のうち数時間はひとりっきりで過ごさないと情緒不安定になる体質だ。これは鬱とは関係ない。あまり知られていないかもしれないが、そういう体質の人間は社会に一定数、存在する。生まれついた脳の仕組みでそうなるらしい。

 そんな体質の者であっても、人と交流することは可能だ。ただ、夢子は半年に及ぶ病院探しで弱体化していると自覚していた。普段の体質に輪をかけて内向的傾向が強くなっている上に、鬱やパニックが出やすくなっている。それなのに24時間、人間と共同生活が送れるわけがない。この考えはまだ理解できるんだが、一足跳びに「いじめられる」と思ってしまうのはちょっとアレだなぁ。ま、コンディションがよくないってことだな。

◎快適な入院生活が送れるパジャマとは?

 もう少し具体的な懸案事項もあった。寝間着である。

 入院の時は、看護師さんが患者のケアをしやすいよう前開きのパジャマ、もしくは浴衣のようなものでないといけないという。夢子は前開きのパジャマを持っていない。そういえば、近年そういうタイプのものをあまり見かけない気がする。資金も乏しいことだしネットで安く買おうと、入院先が決まる前からパジャマを検索していた。しかし前開きで低価格なパジャマはほとんどなかった。ボタン代が上乗せされ割高になるからか、安いパジャマは全部スウェットのような形をしている。不況はこんなところにも影響を及ぼすのか。

 ネットショップヘビーユーザーの夢子宅には、頻繁に宅配便配達がある。昨今では、朝早くや寝る間際の配達は珍しくない。そういう場合、ひとり暮らしでは寝間着のまま荷物を受け取ることになる。配達員にパジャマパジャマした格好で応対するのはさすがに気が引けるのだが、お手頃かつ前開きなものは花柄やフリルがついていて「どうも! パジャマのままです!」という主張が強い。

 買ったものを入院の時にだけ着るのは、お金がもったいない。シンプルかつ前開きで安いパジャマはないのか! と探してもシンプルであればあるほど1万円以上する。この現象はパジャマ・パラドックスとでも言うべきか。検索し始めてから4時間くらいは平気で過ぎていた。成果なしである。

◎手術後にすぐ洗濯できるのか?

 この件はいったん脇に置こうと決めるも、違う心配が立ち上がってくる。ブラジャー問題である。ノーブラのパジャマ姿で洗面所に行く際に、乳首が透けてしまうのはイヤだった。だがせっかくパジャマを前開きにしても、その下に着けているブラが後ろ開きでは意味がない。とすると、ブラも前開きのものを購入するべきか? 恐る恐る検索しても想像通りだ。こちらは軽く1万円くらいはする。気がつくと検索を始めてからすでに6時間くらいは経過していた。

 ダメだこいつ、不安すぎて完全に正気を失っている。Googleは不安を解消してはくれないぞ!

 パジャマ、ブラなどについてひとしきり思いを馳せれば避けて通れないのは、そう、洗濯案件である。仮にパジャマとブラを調達できたとしよう。高額だからそれぞれ1セットのみだ。しかし手術後、出血やその他体液で着ているものは思いのほか汚れるかもしれない。入院は2週間の予定だが、洗濯なしで過ごすのは無理なのでは。

 ご存じの通り、夢子には身寄りがない。洗濯もすべてセルフだ。コインランドリーはあるような気がする。だが、手術後すぐにランドリーする気力が自分にあるだろうか。

(あっても、パジャマ1組と下着だけ洗って乾燥するのはお金がもったいないなぁ。あっ、洗濯中は何を着ればいいの? なるべく出費は減らしたいけど、やっぱ1セットずつじゃ無理……?  ああっ私にお金さえあれば!)

 夢子の悩みは尽きない。そこで気づいたが、自分の不安の本質はパジャマやブラのことではなく、お金のことなのかもしれない。パジャマもブラもこれ以上検索しても仕方ない。

そう考えるも、心配事は休むことなく心に去来する。

 夢子が住んでいるのはアパートの2階だ。エレベータなどなく、部屋へと続く急勾配の階段は暗く狭い。コンクリートを流し込んだだけのそれは、俺たちには凶器でしかない代物だ。体調不良だとなんでもない段差でもつまづくものだ。それは夢子も多々経験しているし、すでにこの階段からも何度か落っこちている。今のところ骨折せずに済んでいるので自身の骨密度に感謝する日々だが、手術後はどうだろう? 退院後の落ちた筋力で、この違法建築ぎりぎりの階段を自力で登ることは果たして可能なのか。

 夢子は身震いした。やつの脳裏では今、階段から落ちたまま動けず冷たいコンクリートに横たわる蒼白な女と、地面にゆっくり広がる紅色のコントラストの見事な動画が絶賛上映中だ。それが終わると別アングルでもう一回、お次はばっちりスローモーションで……などと動画はさまざまなバリエーションで展開していく。

◎「親族がいない問題」をどうするか

 脳内ムービーで現実逃避しても、重大な問題がまだ残っている。先ほども言ったように、夢子には頼れる者はいない。そもそもそんな人間でも手術・入院させてもらえるのだろうか?

 支配的かつ虐待的な両親とは物理的・精神的な距離を置かないかぎり、自分の生活が崩壊してしまうので連絡を絶っている。入院のために彼らと再び繋がりを持つつもりはない。

 手術中の緊急事態に備え、親族などが病院で待機する慣習があることを、夢子は漫画で読んで知っていた。やつは人生に役立つ知識はだいたい漫画から得ている。もし「手術中待機係」が絶対必要ならば、便利屋さんにでもお願いするしかないと思った。相場は1時間6000円。手術中ずっと待機してもらうとなると高額になるから、本気でイヤだが仕方ない。

「待機係」案件はこのようにクリアできたとしても、さらに気がかりなのが「親族による同意書サイン」問題だった。

 以前読んだ漫画『グーグーだって猫である』(大島由美子)には、大きな女性科疾患を患った未婚の主人公が入院と手術を経た後、治療を続けながら営む日常生活が描かれている。90年代に描かれた本作では、主人公の手術の際、遠くに住む親戚に出向いてもらって同意のサインをしてもらわなければならなかった。「この制度はなんとかならないのか」と書いてあったと記憶している。

◎入院中のQOLは心配なさそう!

 入院先が決まってしまえば、着るものやコインランドリーの値段、同意書サインの件などは、病院に聞けば済む。パジャマ等々の件でハゲそうなほど気をもんでいた夢子の精神的負担も、少しは軽くなるだろう。

 問い合わせの結果、病院には寝間着とタオルのレンタル制度があることが判明した。レンタルは平日のみ、1日数百円とのこと。夢子の入院期間のうち、平日は10日ほどだ。毎日レンタルしても合計5000~6000円、前開きのパジャマを1着買うより安いではないか。これなら洗濯する元気がなくても大丈夫、コインランドリー代まで浮く! すばらしい制度だ!

 しかも写真で見ると、パジャマの前身ごろは甚平のように二重になっている。これならブラなしでも乳首は透けない! 前開きのブラも買わなくて済む!

 きっと自分だけではなく、これまでに入院した多くの人たちも、パジャマやブラ、洗濯問題に頭を悩ませてきたのだろう。そんな人々が病院に意見を言ってくれたから、このように便利な制度が今は存在するのだ。先人のみなさん、ありがとう。入院前の不安を抱えていたのは、私ひとりじゃなかった、そう思うと、少し心強かった。

 もうひとつ気がかりなことがあった。子宮内膜症などの手術の際、Rを投与する病院が少なからずあると聞いていた。10年ほど前に提案され、最近でもピルの代替薬として勧められたが断ったあのRだ。

 Rのせいで骨量が低下したところにアパートの階段から落ちたら、今度こそ骨折してしまう可能性大だ。ひとり暮らしの女性が骨折から寝たきりになり孤独死する、この国に蔓延するケースに自分がなるかどうかの瀬戸際である。入院の予約を取る際に、医師にこういった。

「私は鬱ですし、ひとり暮らしで骨量低下もすごく心配なので、手術前のRはなしでお願いできませんか」

 恐怖から夢子の眉間にはくっきりとしわが刻まれていた。事前の検診で、医師はすでに子宮の動きを確認していた。これなら内視鏡で摘出できるし、卵巣も腫れていないからきっと複雑な手術にはならないだろうという結果だった。医師は言った。

「そうですか……癒着もありませんし、ご本人がRなしを希望するということでしたらなしにしましょう」

 こりゃ、言ってよかったなぁ、おい! 話のわかる先生でよかったぜ。しかし、何も言わなかったらやっぱりRを投与されていたのか。そう考えるとちょっと怖いな。

◎長年ピルを服用してきた甲斐が!

 癒着がないと言われた時、夢子は誇らしさに胸がはちきれそうだった。

(そりゃそうよ、腹腔内の炎症や癒着を最小限に留めるため、私は10年以上も前から根性で毎日ピルを服用してきたんですもの!)

 子宮内膜症の治療薬としては未認可だった昔から、地を這い泥水をすする思いでピルを確保し、家族を含めた周囲にバレないよう服用してきた。その積年の努力は、今日という日を迎えるためにあったんだ。この瞬間、これまでの苦労が報われたようで夢子はじーんと感動していた。

 手術の予約の時には、付き添いが必要か否かもまっさきに確認した。

「私は身寄りがないので、手術中に待機してくれる付き添い人はいません。手術同意書にサインしてくれる者もいないのですが、大丈夫でしょうか」

「いるにこしたことはないのですが、無理な場合はいなくても大丈夫ですよ」

 医師は手術同意書親戚の署名・押印の欄に、鉛筆でさっと×印を書き込んでくれた。

(ありがたい、病院の制度が進化して未婚・身寄りのない者にも優しい制度になっている!)

 夢子は心底ほっとしながら署名捺印した。医療が10年前とあまり変わっていない、と憤慨したことは記憶に新しいが、変化している点もあってよかったなぁ。

◎人生と体のコントロールを取り戻す

 とはいえ、「何かがあった際の緊急連絡先は必要」とのことだった。

「友人に重荷を背負わせることはしたくないので、もし手術中に何かがあっても私は病院の判断に従います。手術中に死んだ場合のこともすべて委ねます。だからこの連絡先は形式的に書き込むだけにさせてください」

 夢子は何度も念を押してから、友人・キャリーの携帯番号を書類に書き込んだ。

「死んだ場合」と夢子が言った時、医師は少し困った顔をした。こんな時に口にするにはたしかに縁起でもないことかもしれないが、自分のような独り者が死に関して意思を明確にしないままでは、人に迷惑をかけてしまうかもしれない。

 それに、夢子はこれまでずっと希死念慮とともに生きてきた。うっかりビルから飛び降りたり、衝動的に電車のホームに飛び込んだりしないよう注意する日常だったので、「死」については考え慣れている。どう死にたいかを意識して生きてきたからこそ、よりよく生きるための手術することを今回選んだのだ。このまま人生を無駄にして腐ってしまっては、自殺を我慢し続けてきた甲斐がないってもんだ。

 精一杯努力して人生と体のコントロールを取り戻す。そのプロセスの途中で(たとえば手術中などに)死んでしまっても、それはむしろ前向きなことだと解釈しているから後悔はしない、と言い切れる。夢子は、体調に関しては結果にコミットするつもりはく、努力したというプロセスが大切だと考えている。どんな結果になろうと、我々は受け入れる所存だ。

「女性のイキ顔を見るためにセックスしてる」と断言する男性とのセックスが、地獄だった

 こんにちは! 白雪魔夢子です。エッチ目的で出会い系サイトをやるなら、テクニックがある男性と出会いたいものです。でも、テクニックのある男性をプロフィールやコメントから選ぶのってけっこう難しいんですよね……。今回は、白雪がそう思うきっかけになった出来事、E氏(30代中ごろ)とのお話です。

『こんにちは! セフレ探し中のEです。僕の性癖はノーマルですが、女性がイクのを見るのが大好きで、その姿を見たくてエッチしているといっても過言ではありません。なので、魔夢子さんがご希望されるプレイもぜひ一緒にできればと思います』

 このファーストメッセージを見た瞬間、白雪は膣キュンしてしまいました……。『女性のイク姿を見るのが好き』っていうことは、何時間もクンニしてくれたり、優しくマッサージとかしてくれちゃうのかしら!?

 期待に胸を膨らませながら、まずはE氏の写真を確認。キラッキラのシャンデリアが下がった高級感漂う室内で、10人は座れそうな円卓の前に立ってにっこりとほほ笑むスーツ姿のE氏がひとりで映っています。まあ、リッチボーイ。

 しかし、すぐ白雪の頭には「?」が浮かびました。人生経験30年越えの白雪は、すぐにその背景にピーンと来てしまったのです……。これ、集団でお高いレストランを予約して、一番乗りしたE氏がひとりで自撮りしただけじゃね? そういう夜にひとりの写真を撮って、プロフィール画像に使用する人か……。その瞬間、ハイテンションだった気持ちがふっと下がりました。

 ま、まあ、でもね! 自撮り大好き人間だろうと、『高級なものに囲まれている僕』をアピールしている男性だろうと、女の子のイク姿を見るのが好きなら良い! E氏が見栄っ張りボーイだろうと、関係ない! 気持ちいいセックスができればオールオッケー!!! 無理やりそう自分を納得させて、白雪は彼にメッセージを返したのです。

◎英雄(?)は色を好むらしい

 近くのセブンイレブンまで迎えに来てもらい、E氏の車に乗り込みました。車は軽のコンパクトな赤い自動車。やはりE氏はリッチボーイではなかったようです。

 待ち合わせしたのが金曜日だったせいか、E氏はホテルに向かう車内でとにかく仕事が疲れたという話ばかりしていました(ちなみにE氏の仕事は市場の事務らしいです)。

E氏「俺さ、基本的に真面目だから週末は疲れ果てるぐらい働き続けちゃうの」
白雪「そうなんだ、すごいね」
E氏「働ければ働くほど、求めたくなっちゃうんだよね……」
白雪「何を?」
E氏「何をって……わかるでしょ? やっぱさ、英雄色を好むっていうのはよく言ったものだよね」

 英雄……? E氏の服装はユニクロと思われるダウンコート(たしか9980円)に黒いジーンズ。履きつぶしたスニーカー。顔立ちは気のよさそうなお兄ちゃんって感じですが、うっすらと無精ひげが生えていて、全体的に薄汚れています。とはいえ、プライドは高そう。さっきの発言も決して冗談で言ったのではないようなので、ここはツッコまずにスルーが得策でしょう。

 その後もE氏は仕事の激務っぷりをアツく語っていましたが、白雪は話半分に聞き流し、E氏はどんなクンニをするんだろう……とまったく別のことを考えていました。

◎イク姿が好きっていうけどさ…

 ホテルに到着すると、E氏は慣れた様子で浴室に行き、歯ブラシを2本持ってきました。「最初に歯磨きしないとね」と言いながら、白雪に1本渡してきたので、素直に磨き、口をゆすいで振り返った瞬間、E氏にいきなり唇を奪われました。う~、歯磨き粉臭の吐息~。そしていきなりディープキス~!! E氏はディープキスが大好きなのか、それとも『女性をイかせる前戯』としてなのか、私の舌を吸ったり、歯の間を舐めたり、とにかくキスが濃厚です。

 でもね、ちょっとタイムタイム!! エロ漫画の長いディープキスを終えて「ぷはあ!」と息を吸うシーンさながら、息つく間もないキス……死にそうになるからやめて!! 白雪は基本的に鼻が詰まり気味なので、上手に鼻呼吸できないんです。もはや、舌の気持ち良さどころじゃありません。酸素をよこせええ……ぷはあ!!

E氏「腰、くだけてない? 大丈夫? ベッドに行こうね」

 え、腰は全然大丈夫。白雪が一生懸命酸素を吸っていると、E氏に半ば強引にベッドに連れていかれました。そして、ベッドに押し倒されるやいなや、今度は履いていたスカートをめくられ、ストッキングを脱がされます。ちょっと待って。いきなりクンニ!? お風呂に入っていないのに!? と白雪が焦っていると、E氏はパンツの間から指を入れてきました。

E氏「声、我慢しなくていいよ。ホテルなんだから、思いっきり感じていいんだよ」

ベッドでかけてくれる言葉は本当に紳士的なんです。でもね、なんか『これじゃない感』がすごい。だって、悲しいほどに気持ちよくない。ディープキスで腰は砕けないし、手マンで声を出さないのは我慢してるわけじゃない。着衣プレイが好きなのかもしれないけど、個人的にはせめてパンツとスカート脱がせてくれよ……というように、E氏の自己満プレイと白雪のツボは何から何まで噛み合わないんです。

 その後もE氏は、白雪のセーターの上からおっぱいを揉みつつ、パンツの横から手を入れ、あそこをまさぐってくるのですが、興奮を高めていくE氏とは対照的に白雪はどんどん冷静になっていきます。

「私が責めるよ」と攻守交替宣言をしても、E氏は「俺のことはいいの! 女の子が気持ちよくなってるのを見るのが好きなんだから!」と頑なに拒否するのです。違うんだよ、E氏の手マンが痛いから早く終わらせたいんだよ。

E氏「イキそうになったらイクってちゃんと言うんだよ?」
白雪「う、うん……」

 その瞬間、悲劇が起こりました。『エッチの時、女の子の反応を見ながら責めるべし』などと書かれているハウツー記事は山ほどありますが、E氏は私の反応が薄いことには気づいたようで、手マンのスピードを急に早めてきたのです。指が膣に擦れて痛え……もう耐えられない……!!

白雪「い、イキそう」

 今すぐ手を止めてほしい白雪は、自分のテク酔っているE氏に「気持ち良くないどころか痛い」と伝えるよりも、イクふりをしたほうが楽だと判断。E氏のようなゆきずりの相手に教えてあげる義理もねえ! 太ももをぴくぴく震わせ、お尻に力をいれてギュっギュと膣を動かしました。

白雪「ィ、いっちゃった……」

 E氏は満足そうな顔で微笑み、「よくやったね」と芸をした犬をほめるかのように、手マンでべたべたの手で白雪の頭を撫でてきました。あ、あのさ……。今度は私が本気で責めていい? 竿を左手で掴んで、亀頭を右手でごしごしごし~~~!!! ってやすりで削ってもいい?

今回の教訓『イクのを見るのが好き、という男には気をつけろ!』

 なにが『イク姿を見るためにエッチしているといっても過言ではない』だ、ボケが!! お前とセックスした女の子は皆、恐怖で演技するしかなかっただけだよ!! と頭の中で暴言を吐きながら家に帰りました。

 皆さんも出会い系サイトで『イクのを見るのが好き』という男性には気を付けてくださいね。最低でもそういう男に出会ったら「どうやってイカせるの?」と聞いてみてください。「クンニ」と答えたら、ギリセーフ。「手マン」と答えたら、その男は地雷の危険性・大です!