今年は“当たり年”だけに……2018年の「スポーツの伝え方」で期待したいこと

 2018年はスポーツの当たり年。目前に迫った平昌冬季オリンピックから始まり、3月の平昌パラ、6月のサッカーロシアW杯、夏の甲子園第100回記念大会と、ビッグイベントが目白押しだ。だからこそ、スポーツを伝える側に期待したい点や注目メディアについて、3つの視点から探ってみたい。

■卓球界の“広告塔”は誰になる!?

 

 14歳の張本智和が史上最年少で全日本王者になるなど、ますます盛り上がりをみせる日本卓球界。卓球が楽しめるカフェやバーも一気に増えてきた。卓球はここ数年、オリンピックや世界選手権で好成績を収めるなど、日本人が世界で活躍できる競技という立ち位置を確立。“日陰の部活動”の代名詞だった時代がウソのような盛り上がりぶりだ(もちろん、とても喜ばしい)。

 ただ、その日陰だった時代があるからなのか、今ひとつ突き抜けた盛り上がりを手にできていないように思う。そこで重要になってくるのが「卓球の広告塔」の存在だ。

 この「広告塔」には2種類ある。ひとつは、アスリート側=アイコン的選手の台頭だ。数年前まで、卓球界のアイコン的役割を担ってきたのは福原愛だったが、現在は休養中。そこに生まれた待望の新スターが“チョレイ”張本智和、というわけだ。

 そして、もうひとつの広告塔がメディア側の人材。しゃべりのプロが、いかに競技や選手の魅力を広げてくれるかどうか。卓球の場合、この部分でもの足りなさがある。わかりやすくいえば、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「卓球芸人」を企画する際に、リーダーとしてその魅力が語れる人物がまだ見当たらないのだ。

 現在、この立ち位置に最も近いのは、テレビ東京系の卓球中継でパーソナリティを務める福澤朗。そして、らくご卓球クラブを取り仕切る三遊亭小遊三……うーん……若手世代に向けて発信していくには、ちょっと重鎮すぎるのだ。もっと楽しく、ほどよく熱く卓球の魅力について語れる人材が出てくると、卓球界の盛り上がりはいよいよ本物になるのではないだろうか。

 高校野球におけるアンジャッシュ・渡部建、広島カープにおけるチュートリアル・徳井義実、相撲におけるナイツ・塙宣之といったポジションに、卓球では誰が落ち着くのか? そろそろ今年あたり定まってもいい頃合いだと思うので、注目して待ちたい。

 

■LINE NEWSのスポーツインタビュー企画が新しい

 

 スポーツの話題がどんどん増えているからこそ、それを伝えるメディアの数もWEBを中心にどんどん増えている。ただ、正直いって玉石混淆。ページビュー獲得だけを狙った質の悪い記事も多い。また、スポーツ紙、スポーツ雑誌がWEB用に展開する記事やコラムの場合、細かくページが分断されて公開されているものがほとんどで、はっきりいって読みにくい。ページビュー信仰の悪しき弊害だ。

 そんな中、異彩を放っているのが昨年10月からスタートしたLINE NEWSのインタビュー企画。LINE NEWS編集部が独自に取材したコンテンツが「読みやすく」「内容も深い」と評判だ。特に今月公開された第7弾、『阿部勇樹、イビチャ・オシムに会いに行く。』の前・後編は、スマホ時代のスポーツ・ノンフィクションの見本になるのではないだろうか。

 具体的には、従来のページビュー狙いではなく、明らかにページ滞在時間狙いでつくられていること。ページを切り替えることなく、下へ下へとスクロールして最後まで読み進めることができる。また、スマホで読むことに特化した文字量やサイトデザインがなされているのも特徴的だ。ひとつひとつのパラグラフが短く、合間合間に取材動画が挿入され、記事内容の補完的役割を果たしている。

 もちろん、こうした表現をするサイトやコンテンツはこれまでにもあったが、ことスポーツネタではまず見かけることはなかった。文字情報と動画をうまくリンクさせたスポーツ記事も新鮮だ。

 興味深いのは、これらの特集企画を取材・執筆しているのが、スポーツ紙の元記者であるということ。スポーツ紙ならではの取材力はそのままに、スマホに最適化された構成がなされているのだ。LINEというメディアの可能性と、スポーツ紙というメディアの古さが露見した、ともいえる。

 現状、担当している記者はひとりだけ。だが、扱う競技は多岐に渡り、それぞれの取材内容や切り口はひとつひとつ新鮮だ。まだ、あまり知れ渡っていないように思うのだが、もっともっと広く読まれていいコンテンツだ。

 

■2018年は、過去を振り返る絶好の機会

 

 今年はスポーツイベントが多いだけでなく、スポーツ界にとってさまざまな「節目」の年でもある。春のセンバツ甲子園が90回、夏の甲子園が100回記念大会。それはつまり、第70回センバツと第80回夏の甲子園で燦然と輝いた松坂大輔の甲子園物語から、ちょうど20年がたったことを意味している。

 ほかにも、Jリーグが誕生から25周年。W杯に初出場してから、ちょうど20年。プロ野球では埼玉西武ライオンズ40周年や福岡ソフトバンクホークス創設80周年、北海道日本ハムファイターズが北海道移転15周年。もひとつおまけに、「週刊ベースボール」(ベースボール・マガジン社)の創刊60周年、なんてものもある。

 何が言いたいかというと、2018年は、過去をしっかり振り返る年にしなければならない、ということ。スポーツの醍醐味のひとつは、歴史との比較。過去の偉人たちが打ち立てた記録や物語を、現在に生きるアスリートたちが継承し、更新していくところで新たなドラマが生まれる。

 だからこそ、各メディアやスポーツを扱う媒体には、過去を改めてしっかり掘り下げてほしい。そのなかから、後世にも語り継がれる良質なコンテンツが生まれるのではないだろうか。2018年は、その絶好の機会のはずだ。
(文=オグマナオト)