大流行の散歩番組に意外な苦悩!? いつまでも溶けない都内の雪に“恨み節”のワケ

 現在、テレビ界では、『じゅん散歩』(テレビ朝日系)、『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京系)、『有吉くんの正直さんぽ』(フジテレビ系)など、散歩番組が大流行。各局で制作費節減が叫ばれる中、街をぶらぶら歩くだけの番組は経費節減の優等生だが、スタッフが悩まされているのが「雪」だ。

 今冬は全国的に雪が多く、山形県では4メートルを超える積雪を記録する地域も。東京23区でも1月22日に23センチの積雪があり、日陰には、いまだにその雪が残っている。散歩番組は出演者と素人たちのやりとりが見どころだが、どうしても画面に映り込んでしまう道路脇の雪に、関係者は舌打ちしている。テレビ情報誌の記者が語る。

「通常の散歩番組は、ロケをしてから放送されるまでに1週間以上はかかるもの。『じゅん散歩』は、ロケから放送までに1カ月以上かかっているので、今撮影すると、3月半ばに“雪の東京”を放送することになります。仮に雪が映ってしまえば、『ずいぶん前に撮影してるんだな』ということが視聴者にバレてしまいます。あまりに季節感がズレているのはNGです」

 いつ撮影していようが、番組が面白ければそれでいいような気もするが、あまりに前に撮影したものだとわかると、視聴者が白けてしまうのだとか。『じゅん散歩』に限らず、ロケ番組に雪は大敵だ。番組制作の関係者は明かす。

「散歩番組には、大きく分けて2つのパターンがあります。1つは本当にガチで散歩するもの、もう1つは予め台本があって、それに沿って“散歩している風”に進めるものです。例えば、散歩番組の老舗の『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)は後者の代表で、そもそも番組は出演者が1日で旅をする作りになっていますが、実際は撮影に数日かかっています。だから番組をよく見ると、途中で雨が降ったりやんだりする回もあります。ロケ番組は天気予報とのにらめっこですが、何日か撮った後に雪が降ったら、辻褄を合わせるのは大変でしょうね。ましてドラマだったら、スタッフが雪かきをさせられたり、撮り直しになったりすることもあるでしょう」

 お気楽に見える散歩番組だが、裏にはさまざまな苦労が潜んでいるようだ。

外来種を“敵”だ“悪”だと決めつけるフジテレビ『ゲキタイレンジャー』の違和感

 11日に放送された『凶暴害獣vs職人の技 ゲキタイレンジャー』(フジテレビ系)の放送内容が、いろいろと物議を醸している。

■なぜ鉄腕DASHでやったばかりの企画を?

 

 まず気になったのは、番組序盤で扱った「石垣島で外来種グリーンイグアナを撃退」という内容が、つい20日ほど前に『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の「グリル厄介」という同じようなコンセプトのコーナー(「グリル~」は最後に料理人が調理)でやったばかりの内容と、ほぼ同じだということ。しかも木の上で日光浴してるイグアナを小高い丘から探す様子や、イグアナの目撃情報を聞きにいった小学校まで同じ。

 ここで、どちらがパクった云々いうつもりはない。そもそも、この手の企画自体、昔からあるし、『電波少年』シリーズ(同)や、『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)ではよくやっていた、ある種定番ともいえる企画だ。決して『鉄腕!DASH!!』が生み出した企画とはいえないだろう。この番組に限らず、それを言い出したら今の民放はパクりパクられの応酬で、その比率の違いはあるものの「パク」っていない局など、もはやないのかもしれない(ここ数年の各局ゴールデンの「テレ東化」は凄まじいものがあるが)。

 そもそも、「ゲキタイレンジャー」と名付けられて登場した平坂覚氏(珍獣ライターとして人気の方)は『鉄腕!DASH!!』で「協力」としてクレジットされている方で、石垣島でイグアナを捕まえるということ自体が、この方の大事な、言うならば「持ちネタ」だ。だから探し方や場所が同じになるのは必然でもある。

 平坂氏は2年ほど前にグリーンイグアナを捕獲して食べる記事を書いているし、そういう意味では平坂氏本人が、自身の「持ちネタ」で出演してるのだから、ある意味「元祖」とも言える。

 では何が問題か?

 やはり問題はなのは、パクリどうこうでは無いにせよ、20日前に『鉄腕~』で放映していたのに、そっちでもネタを提供してる「元祖」の平坂氏を担ぎ出してまで同じ内容を『ゲキタイ~』でぶつけてきたことだろう。しかも同じ日曜の同じゴールデンで、1時間ズレはあるが、もはや裏番組と言ってもいいほどの枠でだ。

 これにより、『鉄腕~』に「協力」とクレジットは出ているものの、ほとんどの視聴者はそこまで知らないので、本来「元祖」であるはずの平坂氏が『鉄腕~』での内容をパクったと誤解されかねない。これはネタ提供者に対する配慮が少々足りないのではないだろうか。

 企画段階でどちらが先だったかはわからないが、平坂氏が『ゲキタイ~』序盤で肩慣らしがてらに捕獲していたプレコ(これも沖縄で激増してる淡水外来魚)も、やはりグリル厄介の初回で1年ほど前に取り上げていたものだし(おそらくこれも平坂氏がネタ出し)、どうしても連想してしまう。

 

■「被害者」は誰か?

 

 そしてそれ以上に気になるのは、この番組だけではなく、近頃流行りの「外来種(害獣)駆除」を掲げた番組に共通するのだが、その対象を過剰に「悪」に仕立て、「敵」とすることで、その問題の根本をぼかしたまま思考停止したように「駆除」「撃退」に突き進むような見せ方だ。

 筆者も好きな『池の水ぜんぶ抜く』シリーズ(テレビ東京系)でも正直、外来種に対しての扱いや印象付けで気になる点は多いのだが、今回も「凶暴害獣」「緑の悪魔(=グリーンイグアナ)」「キングオブ害獣(=鹿)」「半グレ鹿」と、とにかく巨悪に仕立て上げる。

「グリーンイグアナ」を見かけたことのある島民の方々にインタビューしている際も「被害者」というテロップが赤字で強めに入る。これらの方々は「噛まれたり(尻尾で)叩かれたりしたら結構なケガをするんで、そういう被害が出ないかという不安はある」とか「爪も長くて(もしも)教室に出たら怖い」とか、実際に攻撃をされたわけではない。

 いや、もちろん島の生態系を崩しているわけだし、不安に襲われているという意味で「被害者」ではあるし、そこは否定されるべきではない。実際発情期のイグアナはナーバスで攻撃してくることがある。

 しかし、このインタビューの際も「リアル撃退ドキュメント」というテロップがずっと出ており、ドキュメンタリー的な面を煽るわりには、「危険極まりないイグアナに悪になってもらうための弱者が存在してほしい」という意図を感じてしまうのだ(『池の水~』でも、触ったことで抵抗し噛み付いただけのアカミミガメに対し、その子どもが「駆除して欲しい!」と訴えたことで駆除が始まる演出に、強い違和感を覚えた)。

 つまり、言うのも馬鹿らしいが、ドキュメントというならば大前提としてこのイグアナなど外来種を野に放ち、野生化させてしまったのが人間である(島民の誰かという意味ではなく種としてのヒト)いう、謙虚さともいうべき目線が欠けている。綺麗事だけでは済まないが、やはりグリーンイグアナ自体が「被害者」であるという目線はもっと必要だと思うのだ。

「鋭い爪で生態系を破壊する」とグリーンイグアナを紹介しているが、その爪は木に登り生きるために進化したもので、「生態系を破壊する」ためのものではない。

 他の番組でもよくあるが、例えば「アリゲーターガー」を紹介する際、過剰に牙をアップにして、まるでジョーズのように人間をバクバクと襲うようなイメージを押し付ける。外来種として本来いるべきでない場所に存在させられてしまっていることがまず問題なのであって(それも逃した人間が原因)、それ以前に、野生で生きるためのその術や姿形(牙や爪があること)自体を罪として過剰に怖がらせたり否定するような見せ方には疑問を感じる。

 

■鹿が「半グレ」?

 

 三重で、杉の樹皮や農作物を食べ、杉を枯らしたり畑を荒らす鹿の食害を取り上げた際も、「半グレ鹿」という紹介の仕方をしていた。実際、食害は馬鹿にならない被害だし、鹿は放っておくと山を丸裸にしてしまう恐れもあるので、管理や適切な駆除が必要だ。ネットでは「鹿がかわいそう」とか「鹿の住処を奪っておいて」とヒステリックな意見も見られたが、現地で生活している人にとって、それは綺麗事にすぎないし、そもそも鹿がいてもおかしくない場所を切り開き、アスファルトを敷き詰めた上で暮らしてる人が多い現状において、我々一人ひとりがすでに鹿などの生物の住処を「奪って」いるようなものだ。

 だが、それを踏まえても、ただの鹿を「半グレ」と呼ぶ演出は疑問だ。バラエティ的に、ただの「鹿」で弱いのはよくわかる。だが、バラエティとしてもドキュメントとしても、どっちも「強い」のを求めるのは無理がないだろうか?

 ゲキタイレンジャーとの名前で登場して、現地で罠師として活躍する古田氏の跡取りとして登場した娘さんも、放送後にTwitterで「半グレ鹿」という表現が使われたことを残念であり、駆除した鹿を「食べることによって私達の命を繋いでいる事を一番に伝えて欲しかった」と投稿している。

 それぞれ登場した「ゲキタイレンジャー」(=この番組で無理やり括られてるだけで、それぞれは立派に活動されてる方々)は、各対象に対して各々真剣に向き合い、その思いを語っていた。

 それは(申し訳程度に)差し込まれてはいるのだが、にもかかわらず「半グレ鹿」とか「緑の悪魔」とする演出が過剰なので、それぞれ現地で向き合っている方々の声と矛盾して見えてしまうのだ。

 ちなみに、この駆除した鹿は調理され、ジビエとして販売されているらしいのだが、これに対する否定的な声をネットで多く見かけたのも驚いた。先ほどの古田氏の跡取りの娘さんが言う通り、駆除した上でその命を頂き、命をつなぐという考え方は至極まっとうなものだと思うのだが、それを残酷だと捉えてしまうのは、我々の目から普段、いかに他の生物の命を奪っているという概念が消されているか、ということだろう。

 飲食店でネズミやゴキブリを見かけないのも、誰かが駆除(=殺)しているからだし、ハンバーガー1つ食べるにしても誰かが牛の命を代理で奪って(=殺して)いるからだ。

 こういう番組は、それらのことを考えるいいきっかけだと思うのだが、一方的に「悪」を決めつけ、ゲーム的な感覚で駆除なり捕獲なりを見せるだけの演出になってしまっているのがとても残念である。

 狩猟本能を刺激するような番組は実際楽しいし、好奇心も刺激されるし、面白い部分が多いのは確かなのだが、外来種云々とか、被害云々などといった「正義」っぽい動機付けをここまでしないとダメだのだろうか?

 影響力が大きいメディアだけに快楽(捕獲シーンを見る)のために、雑に正義(外来種だから殺せ)を振りかざすような見せ方は安易にすべきではない時期に差し掛かっているのではないか。半端な善悪を押し付けて「解決」とするくらいなら、よっぽど「なんか変な生き物が入って来ちゃってるから捕まえてみちゃったー」というユーチューバー程度の見せ方のほうがまだ潔いし、各々でその先を調べるきっかけになるとすら思ってしまう。それくらい今の外来種ネタの動機付けは安易に見えるのだ。

 半年ほど前まで、ヒアリ発見をこの世の終わりのように報道していたが、今や続報も見られなくなった。この種のネタが食いつきがいいのはあるのだろうが、せっかく盛り上がっているジャンルだし、地上波ならではの面白さを出せる分野だと思うので、是非ともこの火を消さないためにも今後の改善に期待したい。
(文=柿田太郎)

外来種を“敵”だ“悪”だと決めつけるフジテレビ『ゲキタイレンジャー』の違和感

 11日に放送された『凶暴害獣vs職人の技 ゲキタイレンジャー』(フジテレビ系)の放送内容が、いろいろと物議を醸している。

■なぜ鉄腕DASHでやったばかりの企画を?

 

 まず気になったのは、番組序盤で扱った「石垣島で外来種グリーンイグアナを撃退」という内容が、つい20日ほど前に『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の「グリル厄介」という同じようなコンセプトのコーナー(「グリル~」は最後に料理人が調理)でやったばかりの内容と、ほぼ同じだということ。しかも木の上で日光浴してるイグアナを小高い丘から探す様子や、イグアナの目撃情報を聞きにいった小学校まで同じ。

 ここで、どちらがパクった云々いうつもりはない。そもそも、この手の企画自体、昔からあるし、『電波少年』シリーズ(同)や、『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)ではよくやっていた、ある種定番ともいえる企画だ。決して『鉄腕!DASH!!』が生み出した企画とはいえないだろう。この番組に限らず、それを言い出したら今の民放はパクりパクられの応酬で、その比率の違いはあるものの「パク」っていない局など、もはやないのかもしれない(ここ数年の各局ゴールデンの「テレ東化」は凄まじいものがあるが)。

 そもそも、「ゲキタイレンジャー」と名付けられて登場した平坂覚氏(珍獣ライターとして人気の方)は『鉄腕!DASH!!』で「協力」としてクレジットされている方で、石垣島でイグアナを捕まえるということ自体が、この方の大事な、言うならば「持ちネタ」だ。だから探し方や場所が同じになるのは必然でもある。

 平坂氏は2年ほど前にグリーンイグアナを捕獲して食べる記事を書いているし、そういう意味では平坂氏本人が、自身の「持ちネタ」で出演してるのだから、ある意味「元祖」とも言える。

 では何が問題か?

 やはり問題はなのは、パクリどうこうでは無いにせよ、20日前に『鉄腕~』で放映していたのに、そっちでもネタを提供してる「元祖」の平坂氏を担ぎ出してまで同じ内容を『ゲキタイ~』でぶつけてきたことだろう。しかも同じ日曜の同じゴールデンで、1時間ズレはあるが、もはや裏番組と言ってもいいほどの枠でだ。

 これにより、『鉄腕~』に「協力」とクレジットは出ているものの、ほとんどの視聴者はそこまで知らないので、本来「元祖」であるはずの平坂氏が『鉄腕~』での内容をパクったと誤解されかねない。これはネタ提供者に対する配慮が少々足りないのではないだろうか。

 企画段階でどちらが先だったかはわからないが、平坂氏が『ゲキタイ~』序盤で肩慣らしがてらに捕獲していたプレコ(これも沖縄で激増してる淡水外来魚)も、やはりグリル厄介の初回で1年ほど前に取り上げていたものだし(おそらくこれも平坂氏がネタ出し)、どうしても連想してしまう。

 

■「被害者」は誰か?

 

 そしてそれ以上に気になるのは、この番組だけではなく、近頃流行りの「外来種(害獣)駆除」を掲げた番組に共通するのだが、その対象を過剰に「悪」に仕立て、「敵」とすることで、その問題の根本をぼかしたまま思考停止したように「駆除」「撃退」に突き進むような見せ方だ。

 筆者も好きな『池の水ぜんぶ抜く』シリーズ(テレビ東京系)でも正直、外来種に対しての扱いや印象付けで気になる点は多いのだが、今回も「凶暴害獣」「緑の悪魔(=グリーンイグアナ)」「キングオブ害獣(=鹿)」「半グレ鹿」と、とにかく巨悪に仕立て上げる。

「グリーンイグアナ」を見かけたことのある島民の方々にインタビューしている際も「被害者」というテロップが赤字で強めに入る。これらの方々は「噛まれたり(尻尾で)叩かれたりしたら結構なケガをするんで、そういう被害が出ないかという不安はある」とか「爪も長くて(もしも)教室に出たら怖い」とか、実際に攻撃をされたわけではない。

 いや、もちろん島の生態系を崩しているわけだし、不安に襲われているという意味で「被害者」ではあるし、そこは否定されるべきではない。実際発情期のイグアナはナーバスで攻撃してくることがある。

 しかし、このインタビューの際も「リアル撃退ドキュメント」というテロップがずっと出ており、ドキュメンタリー的な面を煽るわりには、「危険極まりないイグアナに悪になってもらうための弱者が存在してほしい」という意図を感じてしまうのだ(『池の水~』でも、触ったことで抵抗し噛み付いただけのアカミミガメに対し、その子どもが「駆除して欲しい!」と訴えたことで駆除が始まる演出に、強い違和感を覚えた)。

 つまり、言うのも馬鹿らしいが、ドキュメントというならば大前提としてこのイグアナなど外来種を野に放ち、野生化させてしまったのが人間である(島民の誰かという意味ではなく種としてのヒト)いう、謙虚さともいうべき目線が欠けている。綺麗事だけでは済まないが、やはりグリーンイグアナ自体が「被害者」であるという目線はもっと必要だと思うのだ。

「鋭い爪で生態系を破壊する」とグリーンイグアナを紹介しているが、その爪は木に登り生きるために進化したもので、「生態系を破壊する」ためのものではない。

 他の番組でもよくあるが、例えば「アリゲーターガー」を紹介する際、過剰に牙をアップにして、まるでジョーズのように人間をバクバクと襲うようなイメージを押し付ける。外来種として本来いるべきでない場所に存在させられてしまっていることがまず問題なのであって(それも逃した人間が原因)、それ以前に、野生で生きるためのその術や姿形(牙や爪があること)自体を罪として過剰に怖がらせたり否定するような見せ方には疑問を感じる。

 

■鹿が「半グレ」?

 

 三重で、杉の樹皮や農作物を食べ、杉を枯らしたり畑を荒らす鹿の食害を取り上げた際も、「半グレ鹿」という紹介の仕方をしていた。実際、食害は馬鹿にならない被害だし、鹿は放っておくと山を丸裸にしてしまう恐れもあるので、管理や適切な駆除が必要だ。ネットでは「鹿がかわいそう」とか「鹿の住処を奪っておいて」とヒステリックな意見も見られたが、現地で生活している人にとって、それは綺麗事にすぎないし、そもそも鹿がいてもおかしくない場所を切り開き、アスファルトを敷き詰めた上で暮らしてる人が多い現状において、我々一人ひとりがすでに鹿などの生物の住処を「奪って」いるようなものだ。

 だが、それを踏まえても、ただの鹿を「半グレ」と呼ぶ演出は疑問だ。バラエティ的に、ただの「鹿」で弱いのはよくわかる。だが、バラエティとしてもドキュメントとしても、どっちも「強い」のを求めるのは無理がないだろうか?

 ゲキタイレンジャーとの名前で登場して、現地で罠師として活躍する古田氏の跡取りとして登場した娘さんも、放送後にTwitterで「半グレ鹿」という表現が使われたことを残念であり、駆除した鹿を「食べることによって私達の命を繋いでいる事を一番に伝えて欲しかった」と投稿している。

 それぞれ登場した「ゲキタイレンジャー」(=この番組で無理やり括られてるだけで、それぞれは立派に活動されてる方々)は、各対象に対して各々真剣に向き合い、その思いを語っていた。

 それは(申し訳程度に)差し込まれてはいるのだが、にもかかわらず「半グレ鹿」とか「緑の悪魔」とする演出が過剰なので、それぞれ現地で向き合っている方々の声と矛盾して見えてしまうのだ。

 ちなみに、この駆除した鹿は調理され、ジビエとして販売されているらしいのだが、これに対する否定的な声をネットで多く見かけたのも驚いた。先ほどの古田氏の跡取りの娘さんが言う通り、駆除した上でその命を頂き、命をつなぐという考え方は至極まっとうなものだと思うのだが、それを残酷だと捉えてしまうのは、我々の目から普段、いかに他の生物の命を奪っているという概念が消されているか、ということだろう。

 飲食店でネズミやゴキブリを見かけないのも、誰かが駆除(=殺)しているからだし、ハンバーガー1つ食べるにしても誰かが牛の命を代理で奪って(=殺して)いるからだ。

 こういう番組は、それらのことを考えるいいきっかけだと思うのだが、一方的に「悪」を決めつけ、ゲーム的な感覚で駆除なり捕獲なりを見せるだけの演出になってしまっているのがとても残念である。

 狩猟本能を刺激するような番組は実際楽しいし、好奇心も刺激されるし、面白い部分が多いのは確かなのだが、外来種云々とか、被害云々などといった「正義」っぽい動機付けをここまでしないとダメだのだろうか?

 影響力が大きいメディアだけに快楽(捕獲シーンを見る)のために、雑に正義(外来種だから殺せ)を振りかざすような見せ方は安易にすべきではない時期に差し掛かっているのではないか。半端な善悪を押し付けて「解決」とするくらいなら、よっぽど「なんか変な生き物が入って来ちゃってるから捕まえてみちゃったー」というユーチューバー程度の見せ方のほうがまだ潔いし、各々でその先を調べるきっかけになるとすら思ってしまう。それくらい今の外来種ネタの動機付けは安易に見えるのだ。

 半年ほど前まで、ヒアリ発見をこの世の終わりのように報道していたが、今や続報も見られなくなった。この種のネタが食いつきがいいのはあるのだろうが、せっかく盛り上がっているジャンルだし、地上波ならではの面白さを出せる分野だと思うので、是非ともこの火を消さないためにも今後の改善に期待したい。
(文=柿田太郎)

ナポリタンはどうなるんだ?『ぶっこみジャパニーズ』だけじゃない!“日本バンザイ番組”はもう限界

 もう、“日本バンザイ番組”もネタ切れじゃないのか。年末にTBS系列で放送されたバラエティ特番『ぶっこみジャパニーズ』を機に、業界内では、そんな話題が盛んになっている。

 ここ数年人気を得た、外国人ゲストを招くなどして日本文化の素晴らしさを再確認する番組は、好評を博していた。その中でも、この番組は少し毛色が違っていた。海外の料理店などに、日本の「カリスマ」とされる料理人が潜入し、実際の調理などを体験、調査。そのインチキさに驚くパートが続く。その結末には、その料理店のオーナーやスタッフなどを前に、「日本から来た」と称する覆面の人物が、本場の日本スタイルを披露し、伝授する。

 最後に覆面を取ってネタばらしをするという、ヒーロー番組にも似たカタルシスを得られる展開になっていた。

 ところが、12月28日に放送された「第10回」では、番組前半の企画、南アフリカの寿司をテーマにした“ドッキリ成敗”に、非難が集中したのである。

 番組に登場した南アフリカの寿司店では、練乳をかけた寿司や、寿司の材料を用いたピザが登場。それに潜入取材中の寿司職人が、唖然とする姿に多くの時間が割かれた。

 制作者側の意図は、その寿司の奇妙さを視聴者に刷り込むところにあったようだが、ネットでは早々に視聴者からの非難が殺到する事態に。

「中国人が、水餃子が基本。ラーメンやチャーハンとセットにはしないと言ったらどうする」

「ナポリタンはどうするんだ」

「明太子スパゲッティとか、イタリアじゃありえない」

 など、味そのものや調理法が、それぞれの国でアレンジされるのは当たり前とする意見が飛び交った。

「2、3前まで、ニッポン万歳系の番組は視聴者からも好評でした。とはいえ、今さら視聴率を得られるコンテンツではありません。年末に、こんな番組をやるなんて、企画力の衰えを証明しているとしか……」(TV局関係者)

 なお、海外の口コミサイトを確認すると、番組中で最低な料理のような扱いをされた南アフリカの寿司店は、接客面等での指摘はあるものの、おおむね好評の様子。視聴者にしても、逆に一度は食べて見たいと思っている人のほうが多いのではなかろうか。
(文=是枝了以)

テレ朝深夜『俺の持論』が、ゴールデン昇格寸前!? 『しくじり先生』の“しくじり”から学び……

 テレビ朝日のバラエティー番組というと、夜の11時台以降や深夜で放送されて好評だったものをゴールデンタイムに移動させるというパターンが多いことで知られている。『アメトーーク!』『しくじり先生 俺みたいになるな!!』『くりぃむナントカ』『ぶっちゃけ寺』『お試しかっ!』など、ゴールデンでは短命に終わった番組も含めて、枚挙にいとまがない。

 そして、次にゴールデンに昇格するとウワサされているのが、『俺の持論』(毎週土曜深夜0時30分~)だ。

 さまざまな持論を持ったタレントが登場し、自らの持論をプレゼンするというこの番組。2017年10月にスタートした。

「去年10月に放送されたパイロット版では、オリエンタルラジオの中田敦彦が登場し、『いとも簡単に不倫と浮気撲滅できる論』というテーマで持論をプレゼンしました。タイトルだけ見たら、なんだかよくわからないような持論を、パネルやデータなどを駆使してプレゼンし、最終的に納得させるという内容ですね」(バラエティー番組に携わる放送作家)

 そのフォーマットとしては、昨年9月にレギュラー放送は終了した『しくじり先生』に近い。

「そもそもスタッフが『しくじり先生』と同じなんですよ。で、『しくじり先生』が過去の失敗談を話す番組で、『俺の持論』は持論を自由に紹介できる番組。打ち出し方は微妙に違いますが、カラクリとしては、まったく一緒だと思います。『しくじり先生』では“準レギュラー先生”のような立ち位置だった中田が、『俺の持論』でも同じような役割を担っています。また、『しくじり先生』で生徒役として出演していたハライチの澤部佑が『俺の持論』でも聞き役として登場していて、ここもまた共通点ですね。『しくじり先生』と似ている部分をちりばめることで、『しくじり先生』の視聴者を、すんなりこちらに移行させようとしているのではないでしょうか」(同)

 いわば『しくじり先生』の二番煎じのようにも見えるが、『俺の持論』のほうが、可能性はあるとの見方も。

「『しくじり先生』の難しい点は、過去にしくじった有名人をブッキングしなければいけなかったことです。しかも、ある程度話がうまくないと成立しないということで、人選はかなりシビアになる。でも、『俺の持論』であれば、しくじった人でなくてもキャスティングできるので、ずいぶんと幅は広がります。制作サイドとしては、助かりますよ」(テレビ局関係者)

 確かに『俺の持論』では、M-1グランプリ優勝後のとろサーモン・久保田かずのぶが「すべての負け組に捧げる人生大逆転論」をプレゼンしたり、有村架純の姉としてプチブレーク中の有村藍里が「誹謗中傷も全部受け止めて振り切った方が幸せになれる論」をプレゼンしたりと、旬の人物をキャスティングしている。

「『しくじり先生』の“しくじり”に学んで生まれたのが、『俺の持論』というわけです。フォーマットはほぼ固まっているので、最速で4月の改編でのゴールデン昇格もありうるでしょう」(同)

 果たして、テレビ朝日の新たなヒット番組となるのか──。

日テレの「物置の中身を全部出す」特番は、テレ東のアレを参考に制作された!? だが、ミラクルが起こって亜流に終わらず

 毎年1月にNHKで放送されている『新春TV放談』。前年を振り返り、テレビのあり方を語り合うのがこの番組の趣旨だが、1月2日に放送された“2018年版”で話題になったのは、テレビ東京系で定期的に放送されている特番『緊急SOS! 池の水ぜんぶ抜く大作戦』であった。

 内容は、番組名のとおり「池の水を全部抜く」だけ。シンプルながらも、池の水を全部抜くまで何が出てくるかわからないドキドキ、ワクワクが視聴者の心をつかみ、この特番は2017年に計5回放送されている。

 同番組の“生みの親”であるテレビ東京・伊藤隆行プロデューサーは「ニュース映像で、警察が池の中を捜索している場面を観て発想した」と、立ち上げの経緯を明かしている。

 結果、『池の水をぜんぶ抜く』は見事に大成功! 現在、各テレビ局では「あの番組みたいな感じの企画書出せ」というお達しが、放送作家らへの“宿題”として出されているという。

 

■「池の水をぜんぶ抜く」のではなく「物置の品をぜんぶ出す」

 

 上記の“宿題”を受けて制作されたと思われるバラエティーを、民放各局で探し出すことは容易だ。その中の一つとして挙げられるのは、1月4日に放送された日本テレビ系の『物置開けてみませんか?』。

 番組のコンセプトは、単純明快。長年開けていなかった物置に足を踏み入れると、そこには心躍る“何か”が眠っているのでは……? そんな、興奮の「物置宝探し」を試みるプログラムである。

 事実、昨年9月に岐阜県のとある民家の物置では希少なフェラーリ「デイトナ」が40年ぶりに見つかり、オークションで2億3,000万円の値が付いたこともあった。これは、期待ができそうか!?

 というわけで、番組は日本全国の物置へと赴いている。例えば、山梨の民家にある築50年以上の物置をオープンしてみると、そこには江戸時代の火縄銃や勝海舟が明治時代に書いたとされる(真偽不明)掛け軸が発見された。また、岐阜県の物置には、フレームにダイヤが散りばめられた約1,000万円の眼鏡や、およそ総額3億円の宝石箱が眠っていた。

 愛知県にある蔵付き物件(母屋とは別に昔ながらの物置である『蔵』が付いている物件)に訪れた際は、大仕事だった。蔵が2階建てという大きなサイズとなるため、埋蔵品はなんと1万点を超えていたのだ。

 そこで番組は引っ越し業者に依頼し、5時間をかけて蔵から物を一気に出すことを決意! まさに、『池の水ぜんぶ抜く大作戦』を彷彿とさせるやり方である。しかし、これらの膨大な品々から“お宝”を発見することは叶わなかった。山部赤人の木彫りや南部鉄瓶などが発見されたにもかかわらず、鑑定士による鑑定額は総額40万円……。

 でも、メゲない。今回の作業に参加し“お宝発掘”を期待していた地元の郷土研究会会長は「お宝とは、その家にとって価値のある物。自分の気持ちの中に『お宝』があると感じました」と思いを語っており、単なる「物置宝探し」ではない次のフェーズに番組がヴァージョンアップしたことを感じさせる。

■中学時代のカミナリによる露骨な“下ネタコントビデオ”が発掘される

 

 番組は、お笑いコンビ「カミナリ」の竹内まなぶの実家物置へも訪れている。彼の両親は茨城でスーパーマーケットを経営し、見事に成功。立派な家と、家のサイズに匹敵する物置を所有していた。

 さっそく、カミナリの2人が7年ぶりに物置を開けてみると、そこには幼なじみである2人が中学時代に撮ったプリクラや、相方の石田たくみがまなぶとの出会いの感謝を綴った卒業文集が保管されていた。

 しかし、彼らは芸人だ。決して、いい話だけでは終わらない。まず、まなぶが中学時代に好きだった「伊藤愛美さん」の顔やお尻を隙を見て激写した“盗撮写真”が不意に発見されてしまう。

 続いて、何が撮影されたか不明の8ミリビデオテープも発見。このテープには、どんな映像が収録されているのだろう? 竹内家全員でそのテープを視聴すると、登場したのは中学時代のカミナリの2人である。

 若き日のまなぶが自分の部屋に入ると、そこには若き日のたくみがいる。まなぶはたくみに「勉強やるよ」と促すのだが、なぜかたくみは勉強しながらまなぶの股間に手を持っていく。そして、たくみはまなぶに襲いかかり、お互いが上半身裸になってベッド上で強制的な性行為に至ってしまう……というコントが、そこには録画されていた。

 お笑いマニアにとっては「これがカミナリの“笑いの原点”か」と感慨深くもあるが、シチュエーションが悪すぎた。家族全員が観ている前で再生される、あまりにも露骨なエロ展開。顔を赤くしながら「家族、観るなー!」と絶叫するたくみであったが、時すでに遅しだ。

 

■番組が一人歩きし、亜流に収まらない

 

 松本人志はかつて、著書『松本』(朝日新聞社)にて、「テレビのバラエティー番組で、何か新しいことをやろうとしても、必ず過去の何かに似てきてしまう」「何もかもやりつくされたこのご時世で、新しいものを作るのは大変な作業」「パターンを利用して、自分たちの新しいアレンジを駆使してやっていけばいい」と綴っている。

 繰り返すが、この番組は『池の水ぜんぶ抜く大作戦』にインスパイアされ、出来上がった企画のはず。池の水を全部抜く代わりに、物置にある品々を全部外に出す……という発想だと予想される。だが、ミラクルが起こったことで、着地点は想定外にスゴいことになってしまった。

 加えて、ゲスト出演した六角精児によるコメントが秀逸だ。カミナリのVTRを観終わるや「物を捨てちゃうと、こうはならない。置いとくと、こういうオモロイことが色々と起こる。これが、物置の良さですよねぇ」と、感想を述べたのだ。

 単なる「物置宝探し」で終わるかと思いきや、唐突に昨今の“断捨離ブーム”に異を唱えだした六角。番組は、制作陣の意図する着地点にことごとく収まらない。

 番組の展開が一人歩きし、ゲストのコメントは想定外のものとなり、結果的に亜流の域を脱した『物置開けてみませんか?』。第2回放送は、果たしてあるだろうか?
(文=寺西ジャジューカ)

テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2017年のテレビ事件簿【バラエティ編】

 2017年のテレビバラエティで大きな“事件”といえば、『めちゃ×2イケてるッ!』と『とんねるずのみなさんのおかげでした』(ともにフジテレビ系)の終了発表だろう。「楽しくなければテレビじゃない」というフジテレビイズムを色濃く残していた両番組の終了は、1980年代以降、脈々と受け継がれてきた“フジテレビ的”なものが遂に終わってしまうのか、と時代の移り変わりを実感し、寂しくなってしまう。

 だが、前者は20余年、後者は『おかげです』時代を含めれば30年以上、フジの看板を支えてきた。「打ち切り」のようなネガティブな言葉では語りたくはない。終了までの約3カ月、どんな幕の閉じ方をしてくれるのか、全力で楽しみたい。

 一方で、同じくフジテレビの番組でネガティブに語るしかない番組終了もある。たとえば『人生のパイセンTV』や『久保みねヒャダ こじらせナイト』だ。「フジテレビらしさ」の一つの方向性として、「JOCX-TV2」枠以降の深夜番組があった。演者も作り手も若手を積極的に起用し、チャレンジングな企画を通して育成したり、テレビ的ではないマニア寄りのサブカルチャーやカウンターカルチャーを取り入れた番組を作ってきた。そうした系譜にある番組を決して視聴率が低いわけでもないのに終わらせてしまったのは、とても残念だった。

 そんなフジテレビの、迷走なのか転換なのか……が目立った2017年のテレビバラエティを振り返ってみたい。

■「クセがすごい!」が受け入れられた千鳥

 2017年は、千鳥の年といえるのではないだろうか。

 12年頃、東京進出を果たした千鳥は、その“クセのすごさ”が足かせとなって、なかなか本領を発揮することができなかった。14年には『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でも「帰ろか…千鳥」という企画が放送されたほどだ。

 しかし、16年頃から状況が変わっていく。在京キー局で初の千鳥メインのレギュラー番組『NEO決戦バラエティ キングちゃん』(テレビ東京系)が作られ、『アメトーーク!』でもノブの「クセがすごい!」が番組の流行語大賞に輝き、『THE MANZAI』(フジテレビ系)でも、「たけし賞」に選ばれた。

 その勢いのまま、17年には期間限定だった『キングちゃん』が異例の復活を果たしたり、『イッテンモノ』(テレビ朝日系)をはじめ、多くの千鳥なしでは考えられない番組が作られた。内村光良をはじめとする共演者は、いつの間にか千鳥独特のクセがすごい口調を真似するようになり、視聴者にもそのクセが感染していった。

 一方、17年のお茶の間の注目を浴びたのは、1月1日にテレビほぼ初出演で瞬く間にブレークしたブルゾンちえみだろう。自ら「私のネタは面白いんじゃない。気持ちいいの」と公言。お笑い芸人の規格から最初から飛び出しており、早くも『24時間テレビ』(日本テレビ系)のマラソンランナーに選ばれたり、メインキャストとして堂々とドラマにも出演した。

 規格外といえば、ANZEN漫才のみやぞんや、にゃんこスターもそうだ。前者は圧倒的なポジティブさと底なしの人の良さ、そして驚異的な身体能力で、有吉をして「天才という病気」と言わしめた。後者は、破壊的ネタもさることながら、特にアンゴラ村長はいわゆる「芸人らしさ」からは無縁。ベンチャー企業の社員で、相方との恋人関係を公言し、別れたら解散とあっけらかんと宣言。「顔とか生まれとかを蔑む笑いは古い」と言い放ち、女芸人が注目を浴びた17年に新しい女芸人像を提示した。

■ナスDが象徴する「ウソのないドキュメンタリー」

 2017年の“顔”といえば、「ナスD」の黒紫色の顔だ。

『陸海空 地球征服するなんて』(テレビ朝日系)に番組スタッフとして登場したナスDこと友寄ディレクターは、南米の奥地に潜入し、現地の部族が勧める食べ物を片っ端から食い、それどころか、現地の人がやめておけと言うものまで食ってしまう。そんな圧倒的キャラクターで、同行したU字工事の存在も食ってしまった。遂には部族の「美白にいい」という話を真に受け、刺青の染料にもなるウィトを体中に塗りたくった結果、肌の色がナス色になってしまったのだ。

 しかし、この番組が視聴者を惹き付けたのは、ナスDの強烈なキャラクターのせいだけではない。部族の中には、観光客に原始の生活を見せ、お金を稼ぐ“観光部族”がいる。普段は服を着て生活しているが、観光客が来ると、服を脱ぎ、踊りを踊る。通常の番組であれば、その部分だけを放送するのだろうが、この番組は違った。服を着て帰る姿もカメラに収め、そのまま交渉し、普段の生活まで撮りに行く。その“ウソ”のなさが支持されたのだ。

 いま、視聴者は“テレビ的なウソ”に対するアレルギーが強い。そうした反動からか、『陸海空』をはじめとするリアルなドキュメント系バラエティが人気を博した。『池の水ぜんぶ抜く』(テレビ東京系)もそうだろう。その名のとおり、池の水を抜くという一点勝負。いかにもテレビ東京らしい、テレ東でしか通らない企画だ。

 同様にテレ東でなければ実現しなかったであろう『ハイパーハードボイルドグルメポート』も衝撃的だった。「ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯」というサブタイトルが示すように、リベリアの墓地に住む元少年兵や、中国マフィア、対立するギャングの両メンバーといった危険な場所に潜入し、その食事をレポートするというもの。「食べる」ことが「生きる」ことなんだということを実感する、ヒリヒリしたグルメ番組だった。

 この番組ではナレーションが一切なかった。NHKのドキュメント番組『ノーナレ』などでも同様の手法を使っていたが、こうしたテレビ的にわかりやすくするという演出を排したことで、生々しく伝わってきた。つまり、わかりやすさよりも伝わりやすさが優先されたのだ。それが“テレビ的なウソ”を嫌う今の時代に合致していた。

■各局、各時間帯を活性化する有田哲平

 17年は有田哲平の活躍も忘れられない。まさに円熟期に入り、一時代を築き上げている。

 ゴールデンタイムの『しゃべくり007』(日本テレビ系)ではスターたちを相手にボケまくり、『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)では「報道番組」のテイで、中堅芸人をムチャ振りで追い込み新たな魅力を引き出す。深夜の『有田ジェネレーション』(TBS系)では、まだ無名の若手に光を当て発掘、『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日系)では、自らさまざまな企画を生みながらプレイヤーとしても番組を盛りたてる。ネット番組でも『有田と週刊プロレスと』(Amazonプライム)で、豊富なプロレス知識を活かした巧みなトーク術を見せつけている。

 お笑い番組が作りにくい時代に、各局・各時間帯で、種類も相手も角度もさまざまなお笑い色の強い番組を安定して放送しているのは、驚異的だ。さらに今年は、ドラマ『わにとかげぎす』(TBS系)にも主演。うだつのあがらない中年男性を見事に演じきった。まさに全方位的な活躍だった。

 特に『脱力タイムズ』は、回を追うごとに凄みが増してきている。基本的にはゲストの中堅芸人と綿密な打ち合わせをしつつ、それをさまざまな形で無視してぶち壊し、困惑させていくという形式。だから、それほど多くのパターンはないだろうと思い、短命に終わるのではないかと思っていた。だが、それは杞憂に終わる。次々と予想の斜め上に行き、毎回驚かせてくれるのだ。いまや、出口保行、五箇公一ら解説員は独自進化を果たし、ナレーションで起用された滝沢カレンは破壊的日本語で大ブレイクを果たした。

 有田は、若手から中堅の芸人はもちろん、芸人以外のジャンルのタレントの新たな魅力を引き出し、現在のテレビを活性化させている。

 今年はネット番組が、バラエティのジャンルでも本格的に“始まった”年と言えるだろう。それまでは地上波の番組よりも“格下”で、低予算というイメージだったが、昨年末から始まった松本人志による『ドキュメンタル』シリーズを皮切りに、浜田雅功の『戦闘車』、野性爆弾の『ザ・ワールド チャネリング』、前述の『有田と週刊プロレスと』(以上、Amazonプライム)やNetflixでは明石家さんまのロングインタビューがCMとして制作された。AbemTVでは『おぎやはぎの「ブス」テレビ』、『日村がゆく』、『フジモンが芸能界から干される前にやりたい10のこと』、『必殺!バカリズム地獄』など数多くのオリジナル番組が作られている。さらに、ジャニーズ事務所から退所した香取慎吾、稲垣吾郎、草なぎ剛による「新しい地図」が『72時間ホンネテレビ』を放送し大きな話題となった。

 これらに共通するのは、出演者も作り手も地上波の第一線で活躍する人たちだということだ。つまり、よく敵対構造で語られがちなネット番組だが、実際はそうではなく、テレビと地続き。視聴者にとってもタレントやテレビマンにとっても、テレビの可能性や楽しみ方が広がっただけなのだ。

 いわば、テレビは第二の創世記を迎えたのだ。

 そんな新たな時代を迎えたテレビがどのような進化を遂げるのか。18年はその試金石になりそうだ。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/

◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

ADいじめで仕事減の松居直美、一方で「NO」と言えない芸能人も問題に

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「秘そやかに華やかに」/テイチクエンタテイ
ンメント

 小林麻耶のブログ告白から、局内の「いじめ」が取り沙汰されているが、実際にテレビ局の各現場では、スタッフやタレントによるいじめが日常茶飯事と化しているという。こういったいじめが横行していること自体大問題だが、芸能界では、タレントがテレビ局スタッフをいじめるという行為は、「いじめた側にいつか大きな悪影響が出る」として、タブー視されている。

 タレントによるスタッフいじめといえば、国生さゆりのADいじめが有名だ。おニャン子クラブ時代の国生は、気に入らないことがあるとADに対して蹴りを入れたり、コップを投げつけたりと、やりたい放題だったという。しかし、ADたちが出世する時期になって、「国生とは仕事をしたくない」という声が各局から上がってしまい、国生は20代後半の時期は仕事が激減したと、自らの口で語っていた。