パワースポットと“言ってはいけない”、「偽・パワスポ」を見極める3つのポイント

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 力強い「気」が湧き出ており、その地に立つだけでもパワーを得られるというパワースポット。「パワースポット」という言葉は、近年生まれたワードだが、古来より人間は聖なる土地を崇め、そこで神祭りを執り行ってきた。

 日本の古いパワースポットには、神社が建てられていることが多い。日本でもっとも知られたパワースポットの富士山麓には富士浅間大社が、そして富士山を造るために土を掘った跡だという伝説のある、琵琶湖に浮かぶ竹生島には都久夫須麻神社が鎮座する。神社は聖地と切っても切れない存在なのだ。しかし、全ての神社がパワースポットであると言えるだろうか。A氏いわく、名前が知られている神社の中にも眉唾なものはあるとう。

<パワースポットと言えない神社1:観光地化されている神社 眉唾度★★>

 神社の祭りは、村を栄えさせ、村人を守るために行われてきたというが、珍しい祭りはテレビなどで紹介され、見物人がドッと集まることも少なくない。祭りに人が集れば、屋台や周辺の店は儲かり、税金を徴収する自治体も潤う。さらに神社にはお賽銭が集まり、お守りなどを購入する参拝客が増えるので、祭りを観光の目玉にしようという動きもあるようだ。

 もちろん、観光客を増やすために祭りをPRすること自体は悪くない。しかし観光のため、本来の意味を無視しては、もはや神の降臨する「神事」とは言えないとA氏は話す。祭りの日程にも歴史や意味があるものの、平日では観光客が集まらないので、日取りを休日に移動させる神社が少なくないのだ。

 氏子が祭りのたびに会社を休まなくていいよう、やむを得ないのかもしれない。しかし、「収入源となる観光客を少しでも多く集めるため、祭りの日を変更し、本来なかったはずの、派手でキャッチーな所作を創作している神社も多く、本当に神が降臨しているか疑問」なのだとA氏はいう。

<パワースポットと言えない神社2:目的がおかしな神社 眉唾度★>

 日本が戦争を多く起こした背景には「日本は神の国である」という思想があるそうだ。神社の柱などに、「八紘一宇」の四文字を見たことはないだろうか。これは『日本書紀』にある「掩八紘而為宇(あめのしたをおおいていえとなす)」を元に造られた熟語で、本来の意味は「八方に亘る地球上の全ての人々が、一軒の家に住む家族のように、仲良く暮らす」ことだという。つまり「世界平和」を実現する思想だが、この言葉が発せられたのは、初代・神武天皇が橿原に都を置いた時だ。

 つまり、「『一つの家』を治めるのは天皇だから、特に太平洋戦争の直前には、日本の天皇がアジア、ひいては世界を統合し、1つの家のようにして治めることが理想であるとし、スローガンにも用いられた。以降、国家の威信を標榜する立派な神社が各地に建てられ、天皇が神として祀られていったが、その際には軋轢も起きた」という。

 神武天皇を祀る神社は、その都があったとされる場所に建立されたが、広い敷地を確保するため、村を強制的に移転させたとされる。しかし、江戸時代の国学者・本居宣長は、「神武天皇の都は現在の地ではなく、その一里あまり南西であるらしい」と『菅笠日記』に書き記している。つまり、江戸時代にすでに「間違っている」と考えられていた土地に、政府は村人から土地を奪って建立したという。

 こういった神社は広い敷地があり、いかにも神聖な雰囲気を醸し出してはいるが、その歴史を考えたとき、「パワースポット」と言えるかどうかは疑問だろう。

<パワースポットと言えない神社3:寂れた神社 眉唾度★★★>

 神社は神様を祭る場所として、舞台装置が揃えられている。鳥居で結界が造られているため、外の世界とはまったく別の空間であり、参道でつながった最も大切な場所には、神が宿る「ご神体」が安置され、それを拝むための拝殿がある。

 神社の神聖さを保つため、参拝者が手や口を清める手水があり、場を祓い清めるための鈴があるのだが、世話をする人がいなくなると、手水の水は枯れ、鈴が行方不明になっている神社さえある。場を清める装置が壊れてしまっては、聖地と呼ぶには憚れるだろう。

 「こうした神社からは、祭られていた神様も立ち去ってしまう。神様不在の神社は、聖地でないだけでなく、危険。神社はそもそも霊にとって居心地の良いよう造られているため、留守になると邪霊が集ってきやすい」とA氏は話す。キツネやタヌキなどの下級霊のたまり場となっている神社も少なくないそうだ。

 史跡としての神社にしか興味がなく、境内が荒れていようが、祠が壊れていようがまったく気にしないKさん。寂れた神社の写真をSNSにアップしたところ、わずか1時間の間に、「霊がたくさん映りこんでいる」というコメントが数件ついたという。「私は霊感がないので、何も感じないのですが……」とは言うものの、しばらくはお守りを握りしめて眠らなければ、悪夢を見たそうだ。

 そんなことにならないよう、場が神聖に保たれているかどうか、しっかり見極めて参拝してほしい。以上のように、その内実を知ると、素直に「パワースポット」とは思えない神社もある。観光気分で参拝して痛い目を見ることがないよう、歴史を知っておくと己の身を守ることにつながるかもしれない。

“行ってはいけない”眉唾パワースポット3選――金儲け主義、立派すぎる神社に注意?

 パワースポットの書籍などを手がけ、神社仏閣の知識も豊富なA氏から、素人が行くのは危険な神社を教えてもらう、このシリーズ。第1回は古戦場でもある神社、第2回は祟り神を祀る神社、そして第3回は縁切り神社を紹介したが、今回は少し趣を変えて、「パワースポットとして有名だが、信じていいのか疑わしい神社」を紹介してもらおう。

<第1回:「石を拾った帰りに事故」「夜更けに激痛」素人が“行ってはいけない”パワースポット11
<第2回:日本史上に残る「恨み」が!?  怒りの魂が眠る、素人が“行ってはいけない”パワスポ
<第3回:素人が“行ってはいけない”パワースポット3選――強烈な怨嗟と悪念渦巻く神社とは?

 世の中には、パワースポットとして知られる神社がたくさんある。しかし、その神社にパワーがあるとされる理由を調べ、歴史や内実を知ると、決して無邪気には信じられないこともあるのだとか。どういう意味なのか、詳しく教えていただこう。

<危険なパワースポット1:「女性の守り神」の神社、実は…… 危険度★★>

「女性の守り神」として、女性の願い事ならなんでも叶えてくれると有名な神社は各地にある。多くの場合は女神が祀られており、さすがに女性の守り神と思わせられるのだが、ちょっと待ってほしい。なぜなら、女性の守護神社が鎮座する地域の歴史を調べてみると、そばに大きな花街があったことが多いからだ。

 花街といえば、遊女たちが客を引き、男たちが一夜の慰めを買う場所。売れっ子遊女は今でいう女優やアイドルのような存在で、茶屋の亭主にも丁重に扱われていたが、器量があまりパッとせず、才覚もない遊女たちは、ひどい扱いをされることもあったようだ。

 また、花街で流行した「花柳病」とは、性病のこと。江戸時代には日本にも梅毒が輸入され、命を落とす遊女も少なくなかったという。望まぬ妊娠をする者も多かっただろうし、嫌いな旦那に水揚げされることになり、悲嘆の末に愛する男と心中を選ぶ者もいた。そんな遊女たちは、女神に何を祈ったのだろう。病気平癒を祈る者もあれば、愛する男と結ばれるため、自分を水揚げしようとする男の死を願う遊女さえいたろう。現代の私たちが思うよりずっと、切実で、残酷な願いがかけられる場所だったと想像できる。

 何も知らず、そうした「女性の守護神社」に、復活愛を祈りにいったBさんは、ご神木と思われる大樹の下に、自分をジッと見つめる着物の女性を見つけて、ゾッとしたそうだ。京都の神社だったため、着物姿も違和感がなかったそうだが、家に帰って歴史を調べたところ、そのすぐそばに「五条楽園」と呼ばれる大きな花街があったと知って、なんとなく納得したそうだ。

 「お金で売られ、苦しい恋に悩む遊女にとって、自分からフッた彼氏とやり直したいなんていう願い事は、身勝手に思われたでしょうね」と、Bさんは反省の表情だった。

<危険なパワースポット2:金儲け主義のきな臭い神社 危険度★★★★>

 テレビや雑誌で何度も紹介されるようなパワースポット神社の中にも、首をかしげてしまうようなものもあるようだ。

 人形供養の神社として有名で、バラエティ番組にもよく登場する神社が、供養するために預けられた人形を、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクションに貸し出した事件は記憶に新しい。この神社は、古くなった人形を有料で預かり、お焚き上げをして供養するという触れ込みだが、そうやって預かった人形を「生き人形の呪い」というお化け屋敷に有料レンタルしたのだ。

 事前に了解を取れば、お化け屋敷へのレンタルを許可する奉納者もいるかもしれない。しかし供養の料金を受け取ったうえ、奉納者の了解も得ず、しかも「呪いの人形」として貸し出していたというのだから、不信感が募るのも当然だろう。奉納した人形が、呪い人形として使われているのを発見した崇敬者が告発したことで明らかになったが、もし誰も気づかなければ、供養料もレンタル料も独り占めし、何食わぬ顔をしていたに違いない。

 同じように、平安時代の人気陰陽師を祀る神社も、一部では、金儲け主義の神社として有名だ。この神社では、境内を出てすぐにある土産物屋と反目していることでも知られているため、他者が良い思いをするのをよしとしない体質もあるのかもしれない。

 「祠の新築に際して、瓦の寄進を募っていたんですが、寄進料は1枚につき1万円でした。通常、瓦1枚なら1,000~5,000円程度が相場ですから、法外な値段だと思いましたよ。それでも、『あなたの名前が半永久的に、あの有名陰陽師と並んで残される』の謳い文句に惹かれて、次々と寄進者が現れたことに驚きです」と、神社の経営事情をよく知るCさんは呆れた顔で教えてくれた。 

 もちろんそれでも祀られている神様に罪はない。だから、霊験がないわけではないだろうが、純粋な気持ちで参拝するのは、なんとなくためらわれてしまわないだろうか。

<危険なパワースポット3:神社と敷地は立派だが…… 危険度★★★>

 日本一初詣参拝客の多い神社といえば、明治神宮だ。しかし、その歴史や祀られている神様を意識している人は、案外少ないのではないだろうか。明治神宮の祭神は明治天皇。つい100年ほど前まで存命だった天皇が神様として祀られているのだ。

日本の神道は、人間は神の一部をもらって生まれてくるので、死ねばみな全て神に戻るという考え方だ。しかも、古来天皇は「現人神(あらひとがみ)」、つまり人間の姿をした神であると信じられていたのだから何も問題はない。しかし、この神社が建立された背景を見ると、少々きな臭いのだ。

 もちろん、国民から人気の高かった明治天皇を神として崇拝したいという要望もあったろう。しかしそれだけではない。明治以降の日本は、日清戦争や日露戦争に勝利し、第一次世界大戦でも戦勝国に列するというように、軍事国家として頭角を現していく。そして第二次世界大戦に突入しようとするとき、「日本は神の国だから、ヨーロッパの国々やアメリカにも負けるはずがない」との世論を盛り上げる必要があった。そのため、日清戦争や日露戦争を勝利に導いた明治天皇を祀る立派な神社を建立し、「神の国日本」を演出した面もあるという。

 似たような事情で、明治時代から昭和初期にかけて建立された神社は、いずれも立派で、敷地も広い。そのため、何も知らない参拝客が「なんて神聖な場所だろう」と感心してしまうのも当然だろう。しかし、その建立の動機の1つに「戦争」があったことも、頭の片隅に入れておきたい。

 明治神宮以外には、橿原神宮や吉野神宮なども、この時期に建立されている。特に橿原神宮建立に際しては、1000年以上の歴史を持つ神社が、橿原神宮を見下ろす位置にあって不敬だからと無理やり移築させるなど、無理なこともしているという。当該神社の宮司は、「移築の際、何人もの人が亡くなった。神の祟りだと思っている」と憤っていた。

 このように、その内実を知ると、素直に「パワースポット」とは思えない神社もある。神域であることに違いはなく、神職が代替わりすればするほど神社の雰囲気も変わるだろうが、こういった事情もあることは知っておいた方が、己の身を守ることにつながるかもしれない。

彼氏が一瞬でできる“婚活レシピ”!? 「愛されめし」レッスン潜入で、意外な展開に!

 結婚したい、でもできない、そもそも彼氏もいない……でも結婚したい! そんなアラサー女子たちの熱量はものすごく、また女性の社会進出によって経済力もあるためか、世間にはナゾの結婚セミナーや恋愛コンサルタントなどが大流行しているらしい。そんな類いのセミナーを“うさんくさいもの”と一刀両断して距離をおいていた私だが、先日友人(29歳)が、突如としてその手のセミナーに通っていることを神妙な顔で告白。底辺グラドルである私も2018年には33歳を迎えてしまう。本音を言わせてもらえば、そろそろ家族がほしい=結婚したい!!

 とはいえ、ここ長らく恋愛とはご無沙汰。実はこの間、モノは試しに、とある婚活パーティーに参加してみたけれど、なんの収穫もなし。私みたいなだらしない系オンナは、フツーの婚活をしていても恋も愛もダンナもやっては来ない。そんな焦燥感に駆られてたどり着いたのが「愛されめしAcademy」なるお教室だった。キャッチコピーは、「クックパッドでも教えない! 料理で彼の心と胃袋をつかみたい女性のための愛されめしAcademy」「冷蔵庫の中身で彼の心と胃袋をつかんでプロポーズを引き出す1dayレッスン」とのこと。何それ斬新……。受講料は7560円! さっそく参加することに!

■「今日は、料理は作りません!」

 レッスン当日、会場である東京・四谷の飲み屋街のほど近くにあるキレイなキッチンスタジオに到着。ドアを開けると、突然フェミニンなイケメンが「こんにちは!」とお出迎えする粋な演出からスタート。

 今日は、私を入れて11人のグループレッスンだ。ほかの参加者を見渡すと、30代前半~40代くらいの妙齢の女性たち。こういう婚活系セミナーに比較的ガチで参加しそうな地味系女性の中でも、さらに〈婚活=料理〉と考えそうな古風で奥ゆかしい印象の女性が多い。おそらく、この中で私が一番「愛されめし偏差値」が低いだろう。そもそも普段、自炊なんてほとんどしない私だから、気を引き締めていかねば!

 着席すると、いよいよこのセミナーの代表であり「愛されめしクリエーター」の青木ユミ先生が登場! 40代というわりには若々しく上品な雰囲気が漂う美魔女だ。とにかく滑舌がよく、柔和な声で、流暢にご挨拶。「この『愛されめし』に参加後、たった1カ月でカレができたり、3カ月でカレからプロポーズを引き出したりといった生徒さんが多くいらっしゃいます。さらに『愛されめし』のメソッドをしっかり学ばれた方の90%は、1年以内の結婚が決まっているんです!」と、先生。「愛されめし」、スゴすぎ!! はやく、男の胃袋をバッキバキにつかんじゃう、秘伝のレシピを教えて~!

 しかし次の瞬間、先生は、私たちにハッパをかけた!

「この講座を終えて、“楽しかった!”だけで帰ってしまうと、明日からの生活は変わりません! 今日参加したことで、明日から何かひとつ動き始めてほしい!」

 ……このテの婚活セミナーって、“とにかく結婚は素晴らしいもの!”というセールストークや、先生の自己顕示欲満載トークを延々と聞かされるイメージがあったが、意外とマジメな啓発系の言葉が並び、教室の雰囲気も徐々にシリアスになっていく。身を引き締めつつ、しばし先生の言葉に感服していると「今日のレッスンでは、実技はありません。料理は作りません!」と衝撃のひと言。え……料理作らない!? じゃあいったい何するんだ、「愛されめし」……。

 

 さっそく暗雲が立ち込めてきた「愛されめし」だが、まず参加者同士の簡単なオリエンテーリングから始まった。「自分と同じ血液型、同じ星座の参加者同士で集まって、軽い自己紹介をしてください」と、先生。いったい、これになんの意味が? 婚活は? めしは? と不思議に感じつつも、人間は共通点があると安心するそうで、先生いわく「仲良くなるため、好かれるためには、今の状態のような共通点が必要。初対面の男性との会話はもちろん、さらには結婚してから姑との会話にも通じます」とのこと。

 しかし、この共通点を探るために立て続けに質問をしたら、ただの職質になってしまう。「会話にはキャッチボールが必要であり、相手に好意と関心を示しつつ、自分自身のアピールもする。これができれば仕事やプライベートの人間関係にも役に立ちます」とのこと。耳タコレベルの話ではあるけれど、ド正論! ド直球!

 こうしておよそ3時間、みっちりと先生の講義が繰り広げられていく。たとえば、「幸せが遠のくサイクルとは?」のレッスンでは、「自分のコップに水がたまっていないのに、同じ容量のコップを持つ彼に『水をくれ』と言いすぎては重い女になってしまう。自分のコップは自分で満たし、彼に水をあげましょう」などなど、やはり「めし、どこ行った?」と突っ込みたくなるような話が延々と続いていく。

 先生のお話を要約すると、男性の求めるものは次の3つ。「居心地の良さ」「女性らしさ」「自由」。この3つがあれば彼女にはなれるが、「結婚するならプラス『家庭力』が必要です!」と、先生。お、ちょっと「めし」っぽくなってきたか? 「キレイにしているだけでもダメ、居心地だけよくてもダメ、料理だけできてもダメ。料理は+αの要素なのですから!」とのことだ。「つまり『胃袋をつかむ』とは、単なる料理のスキルではありません! 私も、一度目の結婚をして……」と、サラッと口走る先生。あれ? 先生まさかのバツイチ?

 その後も、こんな調子の講義が続き、料理レシピなどの話は一切出てこずじまい。先生がそれらしいことを口にしたのは「彼が二日酔いなのに、唐揚げを揚げるような女は選ばれませんね」というくだり。そりゃそーだろ! とツッコミどころが多いのだが、周りの参加者はコワくらいの勢いでペンを走らせている……。

 終盤には、冒頭の謎のフェミニン男性が再登場。実は、彼も講師の1人で「ボクは、なぜ元カノと別れたか?」など、男性目線のリアルな話を語ってくれたのだが、これは素晴らしかった。彼が20代の若きイケメンという部分もよかったが、第三者の男性の意見を交えることで、女だけで集まって恋愛話をした時にありがちな、無意味なポジティブさや無謀な希望論を持ち寄って励まし合い、進歩も成長もないという事態を避けられるからだ。また、彼の本業は美容師のため、受講者の髪型や服装のアドバイスもしてくれる。うん、大事ですな!

 こうして、「愛されめし」講座は1秒たりとも包丁を握ることなく終了。「めし」要素皆無なことに関しては終始ギモンだったが、先生の言う「胃袋をつかむ」とは、ただ単に料理が上手というわけではなく、女としてのトータルバランスがよいことを指しているのだと理解した。

 つまり、この「愛されめし」授業のメソッドというのは、まずはマインドを変えることで恋愛やプライベートを充実させ、とりあえずモテるようになれ、そして料理のウデを披露しろ……って理屈らしい。まあ、凡百のモテ本に書かれているような内容だけれども、ごもっともではあるまいか。その“気づき”を、お話し上手な先生と、若いイケメンが与えてくれたのだ。

■入会後に待っている「愛されめし」レシピ

 今回、私が参加したのは1日限りのお試し編。後日、無料の個人面談にちゃっかり足を運ぶと、「愛されめしAcademy」に入会することで、継続的に月1~2回のお料理レッスンが受けられる、とのこと。なるほど、「愛されめし」の「めし」の部分は、この先に隠されているのか……! この時、先生は「入会金のお金が心配なら、今ここでカード会社に電話して、枠を増やせるか聞いてもいいですよ!」と、激奨してきたものの、料理する前におなかいっぱいになってしまいました!

 最後に、先生がポロっとこぼした言葉で印象的だったのは「私は『愛されめし』メソッドで今のカレのマインドを変えていったから、私が疲れている時は野菜スープを作ってくれるのよ」というエピソード。先生……彼氏いるんだ! なにはともあれ、そのカレとお幸せに……!

吉沢さりぃ(よしざわ・さりぃ)
山梨生まれ。B107cm、Kカップの現役底辺グラドル兼ライター。2016年に『グラビアアイドルのぶっちゃけ話』(彩図社文庫)で作家デビュー。趣味は飲み歩き。

お手軽な“チヤホヤ体験“が不倫の入り口!? ドラマで話題の「主婦合コン」に人妻ライターが潜入!

「ドラマより手軽なんですよ!」と力説

 12月6日、視聴率14.1%を獲得し有終の美を飾った『奥様は取り扱い注意』(日本テレビ系)。各話おおむね評判がよかったようだが、なかでも11月15日放送の第7話に登場した「主婦合コン」に話題が集中している。

 あらすじはこうだ。夫・啓輔(石黒賢)とのちょっとしたいさかいが背中を押したのか、主婦友から誘われたものの未返信だった「主婦合コン」に、参加の返信をした優里(広末涼子)。当日、合コンの黒幕(玉山鉄二)が「いい男をあてがってうまい飯を食べさせれば、主婦はいちころ」と不敵に微笑むなか、優里は緊張しつつ合コンを楽しみ、年下イケメン・安西(小関裕太)に連絡先を聞かれ、教える。そしてメールをもらい、夫以外の男への心の傾きを実感するのだった――。

 これに「ありえない!」と異を唱えるのは、IT企業幹部の男性・Y氏だ。

「いい男じゃなくても、うまい飯なんか食べさせなくても、人妻は食いつきますよ。僕が参加している”主婦合コン”は、すごいんですから。『魚影が厚い』んですよ!」

 主婦合コンサイトの存在を、一昨年にアングラ誌で知ったというY氏。

「初参加すると、女性の質の高さにまず驚きました。お見合いパーティーではこうはいかないほど、美人や可愛い女性ばかり。年齢層は30~45歳で、ノリもよく連絡先の交換もスムーズ。僕はここで会った2人を、後日いただきました(笑)」

 Y氏は感動冷めやらぬうちに次も予約しようとするが、開催日がアップされた瞬間に予約が埋まってしまう日々が続く。

「とにかく、男性側の人気がすごいんです。ここで知り合ったプログラマーの男性は、開催日がアップされた瞬間に自動予約できるシステムを作ったほど。でもそれは、男性側だけじゃない。女性側も、すぐに埋まってしまうというから、いかに人妻が出会いを欲しているか、ということですよね」

 かくいう筆者も2人の子を持つ人妻であり、いやおうなしに好奇心がうずく。……ということで、さっそく合コンに参加してみた。

 

「旦那さん、大丈夫だった?」

 開催日は休日昼間、その日は「32~44歳男女限定」の日で、見たところ40代前半が多く、Y氏の言う通りたしかに女性のレベルが高い。特に筆者の両隣は、山田優似と大江麻理子似と、超美形だ。

 会場は、男女3人ずつが座るテーブルが4つ。総勢24人で、前に座る男性陣が30分ごとに隣のテーブルに移動するという、団体回転寿司方式である。

「休日は何をしているの?」
「仕事内容は?」

 そうした当り障りのない会話が、徐々に含みを持ってゆくのは、酒が進み1時間が経過した頃だった。

「でも、今日のコレに参加して、旦那さん、大丈夫だった?」

 大江さんの向かいに座る男性が訊ねる。

「午前中に仕事の研修で都内に来て、終わったからこれに参加しているの。夫は1日中研修だと思っているから大丈夫。子どもは小6で、朝から友達の家に遊びに行っているし。それに、夫とは学生時代からの長い付き合いだし、もう“そういうんじゃない”っていうか……」

 大江さんが答えると、男性陣の目つきが明らかに変わったのだ。それまでは本当に当り障りのない、温厚で平和な雰囲気だったのに。

「結婚してどれくらい?」
「仲悪いの?」
「一緒に出かけたりする?」

 大江さんに飛ぶ、矢継ぎ早な質問。彼女が言葉少なめに答えるたびに、妙なギラつきが増す。
 回転時に男性陣が席を立ったとき、大江さんは筆者にだけこっそりと耳打ちした。

「夫には女として見られていないみたい。だから飲み会でも参加しないとやってられないっていうかさ」

 彼女はそれ以上語らなかったが、こんなに綺麗な女性が、なぜこんな”ゲスい”飲み会に参加しているのか、理由の一端がわかった気がした。

「結婚したら、おのずと恋愛から遠のくじゃないですか。独身時代にモテていた女性ほど、結婚後に"チヤホヤされなくなる"というギャップにフラストレーションを感じるのだと思います。だから、子どもの手が離れた時期に、もう一度恋愛じみたことがしたくてこういうところに来るんじゃないのかと。長年連れ添ったパートナーと、いまさらそんなことできないでしょう」(前・Y氏)

 さて、2時間の飲み会があっという間に終了すると、会の主催者が前に立つ。

「ではみなさん、連絡先を交換したい人は自由にしてください。二次会もご用意がありますので、会場のご案内もいたします」

 

LINE交換で10人もの列が!

 その合図と共に、我先にと男性たちが向かったのは、大江さんの前。実に10人ほどが、ズラリと並んでいるではないか。す、すげえ、大江さんの求心力。しかもLINEだからか、大江さんも気軽に交換してゆく。隣にいた筆者にも「とりあえず交換しとくか」といったテンションの男性が数人並んだ。
 そして、大江さん含む半数は二次会へ。筆者は帰宅すると、1時間以内にさっきの男性たちから続々とLINEが届く。

「タイプだと思ったのでまた飲みましょう」
「いつごろ空いてますか?」
「またゆっくり話がしたいです」

 会場ではそんな雰囲気が露ほども出ていなかった男性たちから、下心漂う文面が。まさに、羊の皮をかぶった狼だ。中でも、本当に結婚しているのかと疑うくらいおとなしくコミュ症気味だった男性からも「今度はディナーをしましょう」という積極的なLINEが届いたのだが、よく読むと大江さん宛のLINEの誤爆だった。間違いを指摘すると、

「完全に間違った。友達になってください」

 ……この、筆者が振られたような敗北感は一体……。

 ともあれ、これら男性心理を、Y氏が解説する。
「自分も相手も既婚者だから、がっつかなくていいんです。こういうメールを送って、反応がなければそれでいい。また参加すればいいから。反応があれば、ピンポイントで狙いを定める。水面が揺れた瞬間だけを見極めて、さっと引き上げるんです。普通の合コンより労力を使わなくていいので、燃費がいいんですよ。そもそも、コレに参加している時点で人妻たちも期待して来ているから。“そういうんじゃない”単純な飲み友達探しは、半数以下じゃないですかね」

 あれから大江さんはどうなったのか。広末演じる優里のように、意中の相手ができたのか。そうであったとしたら、それはごく自然なことなのかもしれない。

(有屋町はる)

赤羽に若い“キラキラ女子”が殺到!? ディープすぎる街で「インスタ映え」スポットを調査

 「オシャレ女子がいま注目してるエンターテインメント・タウンは“赤羽”!」そんな記事を読んで、思わず漏れでた感想は「本当か?」の一言でした。

 東京の中でも、限りなく埼玉に近い場所に位置する北区・赤羽は、昭和の頃からボンヤリと栄えてきた飲み屋街が印象的な下町。現在の横丁ブームの元祖ともいわれておりますが、そう簡単にくくるにはあまりに異質すぎるスポットです。そのあたりのなんともいえないテイストは、清野とおるのマンガ『東京都北区赤羽』(双葉社)に克明に描かれて話題となり、山田孝之主演で映像化もされたので、サブカル好きな不思議女子が群がっている、ということなら理解できます。

 でも、この記事によると、若くて可愛い“オシャレ女子”が、赤羽に通いつめて飲み歩いているという。にわかには信じられません。そこで、実際に赤羽に繰り出し、その真相を確かめてみることにしました。

■オシャレ風なお店は閑古鳥

 週末でもなく、平日ユルめの空気が漂う木曜日の18時半、いまだに埼玉の実家から抜け出せない貧困ライターの筆者(27歳)と友人の女性ライターT(26歳)は赤羽駅に降り立ちました。マンガやドラマで赤羽の底知れぬディープさは知っているものの、ふたりとも今回が初上陸。普段は新宿界隈の安居酒屋で飲んで満足している私たち。六本木あたりで頻繁に女子会を開きフォトジェニックを連呼しているようなキラキラ女子とは、常日頃から縁がありませんが、本当にこの雑多な街、赤羽にもキラキラ女子が生息しているのでしょうか……? ひとまず赤羽のシンボル的存在「一番街」へ向かいます。 

 東口の改札を抜けて数歩進むと、すぐに「一番街」の看板が目に飛び込んできました。まだそれほど人は多くないですが、この時刻で既にほろ酔い顔の人々がフラフラと歩いています。一番街のお店は、どこも明るく大衆的な居酒屋で、赤羽ビギナーでも入りやすい雰囲気。立ち並ぶ店を軽くのぞいてみましたが、地元住民らしき常連っぽいオジサンや、仕事終わりの気だるい空気をまとった中年サラリーマンだらけで、若い女性の存在は確認できません。うん、そりゃそうでしょう!

 渋谷や代官山あたりにありそうな小綺麗なワインバルを10倍くらいに薄めたようなオシャレ風なお店も並んでいるのですが、そういったお店は閑古鳥が鳴いており、やはりこの街では昔ながらの親しみやすい店がウケているようです。

 そんな赤羽一番街で、行列ができていたのが老舗おでん屋「丸健水産」。おでん鍋の前に立つおばさんに注文して、店の前のテーブルで立ったまま食べるというラフなスタイルのお店ですが、東京メトロのCMで石原さとみも訪れたそうで、寒い中、10人以上が列をつくっています。

 ここでやっと、行列に並ぶ20代の若い女性を発見! オフホワイトのベレー帽に、ふわふわした素材感のピンクベージュのアウターをまとい、隣の彼氏と思われるメガネ男子の袖をつかんで「どれにする〜?」と甘ったるい声を出しています。CMで気になったからといって、わざわざ石原さとみのようなファッションで来る必要もないと思うのですが、彼女にはこのおでん屋がモテ感満載のオシャレスポットに見えるのでしょう(確信)。

 そんな石原さとみフォロワーの白い頭を眺めながら10分ほど並び、いざオーダー。おでんのカウンターを仕切るのは妙齢のおばさま2人。次から次へと飛び込むオーダーですが、「ちょっと待ってね!」と勢いで制し、あわてることなく、かたくなに自分の接客ペースを崩さない姿勢が、さすが貫禄を感じます。

 味オンチな私たちも並んで食べてみましたが、ダシがさっぱり薄めの味わいで、濃いめ好きの友人は「コンビニおでんのほうが旨い」と小さくつぶやいておりました。そこに突然、同じテーブルにいた60代前後の男性が2人「お姉ちゃんたち、どう? おいしいか?」などと話しかけてきました。これが赤羽ならではの“ふれあい”なんだと自分に言い聞かせながら「こちらにはよく来られるんですか?」と聞いてみると、「ううん。初めて」「なんか有名だから来てみた」と、何やら女子大生のようなムードではしゃいでいます。八王子からわざわざ来たという2人。どうやら“赤羽に若い女が結構居るらしい”という情報を聞きつけ、おじさんたちが遠方からもじわじわと集まってきているようです。なめるような視線を若い女子に送る、いかにもナンパ目的のグループもちらほら見受けられます。ちょっとくたびれた感じのする年上男性が好きな女子には朗報! 赤羽は出会いの宝庫です。

 60代のオジサンが持っているコップには泥水のような液体が満たされており、「何飲んでるんですか?」と尋ねると「ダシ割り」とひとこと。丸健水産には「50cc程飲み残した日本酒(マルカップ)をおでん汁で割る」という通称“ダシ割り”(50円)があるそうです。ダシだけでなく、さまざまなおでん種の破片が浮遊しており、飲み干すにはなかなかハードルが高そう。オジサンが飲みかけのダシ割を「飲んでもいいよ、間接キッスになっちゃうけど」と、ライターTに執拗にススメ、Tが真顔でそれを交わすのを見守りつつ周囲を観察していると、さきほどの石原さとみインスパイア女子も、ダシ割りを頼んで写真を撮りまくっていました。彼女たちの間ではダシ割りも、それなりに“映える”逸品なのかもしれません。

 丸健水産に限ってはイマドキ女子もちらほら発見できましたが、20代前半、週末は代官山蔦屋に出入りしていそうな小綺麗な女子2人組が、少しも減らないワンカップ片手に何度も写真を撮る姿は、やはり赤羽という街からは浮きまくっています。ここだけ見るに、赤羽とキラキラ女子の親和性は皆無。“赤羽女子”というほど通い詰めている雰囲気の人物も見当たりません。もしかしたら若くて可愛い赤羽女子は『東京都北区赤羽』に出てくるようなキテレツな方々に、ミーハー心丸出しで会いにいってるのかも? そこで、赤羽最強のスポットと名高い「ワニダ2」へ行ってみることにしました。

 ワニダさんは、タイ料理居酒屋「ワニダ2」のママで「赤羽の核爆弾」と呼ばれる強烈なキャラの持ち主。客に対して「シネバイイノニ!」「バカジャナイノ!」などと大声で罵倒し続けるそうです。しかし、「ワニダ2」は、基本的にいつも鍵がかかっており、お店に入れるかどうかはワニダさんの気分次第。意外と駅からすぐ近くの場所にある同店に行ってみると、ちょうどワニダさんがお店のドアを全開にして開店準備をしているタイミングでした。「入ってもいいですか?」とおずおずと尋ねると、「イイヨ!」と意外と静かな声で返してくれました。

 お通しをつまみながら、メニューに書いてあった「まんこ汁割」(焼酎のマンゴージュース割)を飲んでいますが、ワニダさんは仕込み作業でもしているのか、ぜんぜん話しかけてくれません。私たちのような観光気分の客を警戒しているようにも感じます。しばし探り合いの時を過ごしていましたが、常連と思われるオジサン客が勢いよく入ってきたことで店内の空気は一変。カウンターにどかっと座った恰幅のいいオジサンがデカい声でワニダさんに話しかけると、早速「飲むんじゃネーヨ!」「バッカジャネーノ!」とのレスポンスが。さらに次々と常連客が入ってきてカウンターは埋まり、毎日来ているというお客さんに対して、ついに「シネバイイノニ!」が店内に響き渡りました。空気がほぐれたところで、ワニダさんに「なぜ赤羽でお店を?」と聞いてみると「観光キテ帰れなくなった!」と即答。続いて「赤羽のいい所は?」と聞くと、「区役所! ちゃんと案内してくれる! 私はほかの区でヒドい目にあったんだヨ!」と、斜め上の意見を述べてくれました。

 「でも赤羽はいいところ。みんな優しい。みんな飲んべえだから……」と引き続き赤羽の良さを語っていると、常連客たちは「その通り!」「赤羽最高!」と大盛り上がり。ワニダさんは「アタシがしゃべってるんだヨ!」「おめえらウルセー!」「シネバイイノニ!」とイライラ顔で叫びはじめました。

 最初は強烈な毒舌と思ってましたが、ずっと聞いていると、確かにウルサくて死ねばいいような客ばかりなので、ワニダさんはまともなことを言ってるだけなんじゃないかなと思えてきました。結局、「ワニダ2」には3時間くらい滞在しましたが、当然のようにオシャレ女子は姿を見せず。ワニダさんの虜となって赤羽のネオンに背を向ける頃には、運動後のような疲労感でいっぱいでした。やはり一筋縄では行かない街、赤羽。実際に行ってみると、若い女性に人気どころか中年の酒好きなおっさんだらけで、わずかに存在するキラキラ女子は庶民的な風貌のおじさんに絡まれ、非常につまらなさそうな顔をしているのが印象的でした。赤羽は、「山田孝之も石原さとみも行ってたし〜!」ぐらいの軽い気持ちで訪れる場所ではないようです。

 通な“赤羽女子”を目指すなら、ワニダさんに「シネバイイノニ!」と一喝される覚悟を持って、訪れてみてください。
(藤野ゆり/清談社)

「アルコール依存症の父に早く死んでほしい」地獄を見た家族が抱く、「殺せない」現実と罪悪感

youtobakemononinaru

 大阪市のイベントスペースLoft PlusOne Westでトークイベント『家の中に酔っ払いがいるって地獄です~アルコール依存症者の家族を持って~』が行われた。漫画家・菊池真理子さんの話題作『酔うと化け物になる父がつらい』(秋田書店)の刊行記念イベントだ。

 菊池さんの父は、平日はお酒を飲まず、優しくおとなしい人だったという。しかし、毎週末自宅に麻雀仲間がやって来ると大量飲酒し、月曜日の朝まで化け物になってしまう。昨日までの父はそこにはいない。昨日と今日が連続していない、それが日常だったそうだ。そんな父に、おそらく愛を求めていた母は宗教に傾倒し、勤行に明け暮れる。そうすることで、精神のバランスを保とうとしていたのかもしれないが、母は、菊池さんが中学生の時に自殺してしまう。

 同イベントでは、菊池さんが、酒について、アルコール依存について、崩壊していく家庭について語った。

 午後7時半から始まった第一部は、作品に沿って菊池さんと担当編集者によるトークが行われた。客席は、女性と男性がちょうど半々。ドリンクのワンオーダーが必要な会場で、アルコールを中心に提供される場なのだが、まん中辺りに座った若い男性以外、誰もアルコールを飲んでいなかったのが印象的だった。

この著書には、あけすけに言えば「悲惨な家庭を覗き見したい」という、興味本位の読者も大勢いるだろうと私は思うのだが、もしかしたらイベントの来場者は、今回のテーマが「他人事ではない」と感じている人なのかもしれない。

■アルコール依存症の多くは普通の人

 最初は、著者と編集者の共通の知人Sさんの事例から、意外と身近にアルコール依存症が広がっている、ということについて話が進んでいく。働かないで連続飲酒、粗暴な行動といったステレオタイプの「アル中」のイメージが強いが、実際はそうでもない。普段は真面目に仕事をしていて、飲み会では少し羽目を外してしまう楽しい人、と周囲には見えている「普通の人」こそがアルコール依存症の多くを占めているのだ。

「このお料理にはお酒がないとダメ、っていう人、いますよね。料理とアルコールのマリアージュが必要だ、っていう。ごく自然に聞く話ですけど、でも反対に『今日はアルコールがないからこの料理はまずい』って、普通の人は言いませんよね」(菊池さん、以下同)

 「お酒もあれば良いな」が「お酒がないと無理」になれば、それはもう依存症で、治療の対象になり得る。アルコール依存症の裾野は思いのほか広いのだ。

 菊池さんは大人になってから、酒癖のよくない恋人と付き合い、DVを受けた経験を語る。その男性はエリートで話が面白く、普段は尊敬できる人だったが、酔うとたびたび粗暴な面を見せたという。

「殴られてるときは、もちろん痛いし嫌なんだけど、でも後になってそれが薄れてくると『面白い』のフィルターが掛かっちゃうんです。あの人は面白いから、って。普通の人では物足りない、そんな気持ちもありますね。でも、つくづく“面白いだけ”でパートナーを選んじゃいけないな」

 菊池さんの父も酔うと奇行が目立ったが、しかし同時にそれは普通の父親にはない行動で、ある意味「武勇伝」として周囲に取られることもあったそうだ。普通の人は、面白くない。菊池さんの潜在的な男性観に、影を落としたかもしれない。また、そう思い込むことで、自身の境遇を肯定しようとしていたのだろうか。

 休憩を挟んで、第二部は来場者のアンケートに著者が答えた。寄せられたのは主に、家族の飲酒に関する切実な悩み。一つひとつ丁寧に、真摯に、時に笑いを交えて答えていく。

 「父がアルコール依存症で、早く死んでほしいと思ってしまう」という悩みに対して、菊池さんは「父に対して私もそうだった。もちろん殺すことはできないので、どこか出先で、事故で死んでくれたらと思っていた。この人の介護だけは絶対にしたくなかった」と、共感と共に赤裸々な思いを語り、相談者の罪悪感を取り払う。

 また、「息子が酔うと化け物になるが、特に飲まないでもいられる時もあるようだ。これはどう考えればいいのか」という母親には、「家族が嫌な思いをしていれば、もうそれは治療を始めていい」という医師の言葉を引いて、「依存症からの離脱に希望を持ってほしい」と勇気づける。

「『地獄を見たければ依存症の家族になれ、天国を見たければ依存から回復した人の家族になれ』という言葉があります。アルコール依存症から回復できるのは2%と言われますが、でもゼロじゃないんですよね」

 アルコール依存症の家族がいることは“地獄”かもしれないが、今回のように、同じ悩みを持つ者同士が語り合うことで、一筋の光を期待する気持ちを抱けるのかもしれない。約2時間のトークイベントは、終始真剣な空気だった。

「アルコール依存症の父に早く死んでほしい」地獄を見た家族が抱く、「殺せない」現実と罪悪感

youtobakemononinaru

 大阪市のイベントスペースLoft PlusOne Westでトークイベント『家の中に酔っ払いがいるって地獄です~アルコール依存症者の家族を持って~』が行われた。漫画家・菊池真理子さんの話題作『酔うと化け物になる父がつらい』(秋田書店)の刊行記念イベントだ。

 菊池さんの父は、平日はお酒を飲まず、優しくおとなしい人だったという。しかし、毎週末自宅に麻雀仲間がやって来ると大量飲酒し、月曜日の朝まで化け物になってしまう。昨日までの父はそこにはいない。昨日と今日が連続していない、それが日常だったそうだ。そんな父に、おそらく愛を求めていた母は宗教に傾倒し、勤行に明け暮れる。そうすることで、精神のバランスを保とうとしていたのかもしれないが、母は、菊池さんが中学生の時に自殺してしまう。

 同イベントでは、菊池さんが、酒について、アルコール依存について、崩壊していく家庭について語った。

 午後7時半から始まった第一部は、作品に沿って菊池さんと担当編集者によるトークが行われた。客席は、女性と男性がちょうど半々。ドリンクのワンオーダーが必要な会場で、アルコールを中心に提供される場なのだが、まん中辺りに座った若い男性以外、誰もアルコールを飲んでいなかったのが印象的だった。

この著書には、あけすけに言えば「悲惨な家庭を覗き見したい」という、興味本位の読者も大勢いるだろうと私は思うのだが、もしかしたらイベントの来場者は、今回のテーマが「他人事ではない」と感じている人なのかもしれない。

■アルコール依存症の多くは普通の人

 最初は、著者と編集者の共通の知人Sさんの事例から、意外と身近にアルコール依存症が広がっている、ということについて話が進んでいく。働かないで連続飲酒、粗暴な行動といったステレオタイプの「アル中」のイメージが強いが、実際はそうでもない。普段は真面目に仕事をしていて、飲み会では少し羽目を外してしまう楽しい人、と周囲には見えている「普通の人」こそがアルコール依存症の多くを占めているのだ。

「このお料理にはお酒がないとダメ、っていう人、いますよね。料理とアルコールのマリアージュが必要だ、っていう。ごく自然に聞く話ですけど、でも反対に『今日はアルコールがないからこの料理はまずい』って、普通の人は言いませんよね」(菊池さん、以下同)

 「お酒もあれば良いな」が「お酒がないと無理」になれば、それはもう依存症で、治療の対象になり得る。アルコール依存症の裾野は思いのほか広いのだ。

 菊池さんは大人になってから、酒癖のよくない恋人と付き合い、DVを受けた経験を語る。その男性はエリートで話が面白く、普段は尊敬できる人だったが、酔うとたびたび粗暴な面を見せたという。

「殴られてるときは、もちろん痛いし嫌なんだけど、でも後になってそれが薄れてくると『面白い』のフィルターが掛かっちゃうんです。あの人は面白いから、って。普通の人では物足りない、そんな気持ちもありますね。でも、つくづく“面白いだけ”でパートナーを選んじゃいけないな」

 菊池さんの父も酔うと奇行が目立ったが、しかし同時にそれは普通の父親にはない行動で、ある意味「武勇伝」として周囲に取られることもあったそうだ。普通の人は、面白くない。菊池さんの潜在的な男性観に、影を落としたかもしれない。また、そう思い込むことで、自身の境遇を肯定しようとしていたのだろうか。

 休憩を挟んで、第二部は来場者のアンケートに著者が答えた。寄せられたのは主に、家族の飲酒に関する切実な悩み。一つひとつ丁寧に、真摯に、時に笑いを交えて答えていく。

 「父がアルコール依存症で、早く死んでほしいと思ってしまう」という悩みに対して、菊池さんは「父に対して私もそうだった。もちろん殺すことはできないので、どこか出先で、事故で死んでくれたらと思っていた。この人の介護だけは絶対にしたくなかった」と、共感と共に赤裸々な思いを語り、相談者の罪悪感を取り払う。

 また、「息子が酔うと化け物になるが、特に飲まないでもいられる時もあるようだ。これはどう考えればいいのか」という母親には、「家族が嫌な思いをしていれば、もうそれは治療を始めていい」という医師の言葉を引いて、「依存症からの離脱に希望を持ってほしい」と勇気づける。

「『地獄を見たければ依存症の家族になれ、天国を見たければ依存から回復した人の家族になれ』という言葉があります。アルコール依存症から回復できるのは2%と言われますが、でもゼロじゃないんですよね」

 アルコール依存症の家族がいることは“地獄”かもしれないが、今回のように、同じ悩みを持つ者同士が語り合うことで、一筋の光を期待する気持ちを抱けるのかもしれない。約2時間のトークイベントは、終始真剣な空気だった。

上海ディズニーランドとTDRは違いすぎる!? テーマパーク研究者が驚愕した「5つの意外な点」

 2017年6月にオープンした上海ディズニーランド。中国本土初のディズニーランドというだけに、「東京より空いている」「東京より安価で遊べる」「施設の造りが雑なのでは」などのイメージもあるが、実際に日本から訪れると驚く点がいくつもあった。

 筆者は経営学の研究者でテーマパークの経営戦略が専門。2004年から東京ディズニーリゾートのキャスト(アルバイト)の人材育成とモティベーション向上策を研究し始め、その後、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオを中心に世界のテーマパーク経営を研究している。

 世界で12番目にできたディズニーのテーマパークである上海ディズニーランドは、世界のディズニーランド、特に東京ディズニーリゾート(TDR)と比べてどうなのか――さまざまな情報がネット上に飛び交っている中、真実はいかがなものか? 見てきたことをここにお伝えする。

【その1】なぜかセキュリティが厳しすぎる
 上海ディズニーランドに入園するためには2カ所の大行列を突破しなければいけない。筆者が訪れたのは平日(営業時間は9時から午後9時まで)で、特に混雑する日ではなかったのだが、9時10分に到着したところ、その長蛇の列に愕然とした。

第一の関門は手荷物検査で、警備員がバッグの中身を確認しないとゲートには入れない。次の行列は入口のチケット販売なのだが、東京と違い、上海ではこの第二関門で、中国人は国民ナンバー、外国人はパスポートを見せ、事前にネットで申請しておいたナンバーと一致しなければ販売してもらえず、入園できないのだ。東京では入園の関門は1つだけなのに、上海では2つあり、両方とも時間のかかる方法をとっているため、筆者は入園までに1時間10分かかり、入園したとき10時20分であった。勘弁してほしい。上海の治安は良いので、ここまでする必要はない。

 しかし、そんな厳重なセキュリティにもかかわらず、パーク内外に「行商」「物売り」「ダフ屋」が何人かいて驚いた。ディズニーランドに入り込み、警備員の目を盗んでミニーマウスの耳のカチューシャや何かのチケット(ファストパス等の優待券や前売券か)を販売していて、ある意味「さすが中国」といった風景であった。

【その2】実は東京ディズニーランド並みに混んでいる

 香港ディズニーランドが空いていて快適に乗れることで有名なため、上海ディズニーも同じように空いているのかと思って行くとガッカリする。筆者は事前予想の5分の1くらいしかアトラクションに乗れなかった。

 アメリカの調査会社TEAとAECOMの調査によると、上海ディズニーランドの2016年の入場者数は560万人。6月オープンなので半年で560万人なら年間1100万人くらいだろう。同年、東京ディズニーランド(TDL)が年間1654万人、東京ディズニーシー(TDS)が1346万人なので、上海ディズニーランドは、東京の約7割のゲスト(客)。でも、アトラクションの待ち時間は東京の約8割と、ゲスト数に比べて“長い”と感じるのだ。

 その理由は、まず「東京よりアトラクションが断然少ない」から。ディズニーランドは、故ウォルト・ディズニーの方針により、最初は小さく作り、用地を広げていってアトラクションを追加し、大きく成長させていく。最初に資金難に陥り、結果的に小さく作るしかないため、新しいディズニーランドほどアトラクション数が少なく、人が集中してしまうのだ。

 次に、「パレードよりも乗り物に乗りたい人が多い」というのもその理由だ。おそらく上海のゲストの大半が1~2回目の来園であるのに対して、東京のゲストは1回目の人もいるが、5回以上、10回以上、20回以上、50回以上の人がざらにいて、乗り物よりもパレードやショーに時間を費やす人も多い。つまり上海のゲストは東京のゲストより乗り物を重視しているのだろう。そのため10月の平日で、人気アトラクションは60~120分、それ以外は15~40分待ちであった。

【その3】入場料、グッズ、飲食、全て高い!

 上海ディズニーのさまざまな料金を東京と比較してみよう。入場料は大人370元(約6,660円)。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーはそれぞれ7,400円なのでこの部分は少しお得だが、上海ディズニーはシーズン価格および休日価格を導入している。土日祝日と夏休み中などのハイシーズンは499元(約9,000円)なのである。

 飲食は、フードコートでハンバーガー、フライドポテト、ペプシ等のソフトドリンクで約1,400~1,700円が最多価格帯。中華料理の肉か魚の炒め物、青梗菜など野菜の炒め物とご飯、ソフトドリンクのセットも同価格で、これは東京と同じくらいである。

 ポップコーンバケットは東京より安いが、東京のポップコーンバケットは豪華(ちなみに東京よりポップコーンのワゴンが少ない)。上海ではチュロスなど食べながらディズニーで遊ぶ習慣がほとんどなく、間食している人が少ないのだが、その理由は高すぎて買う気にならないからだろう。もっと薄利多売にしたらどうか。

 ちなみに、上海市一の繁華街「人民広場」駅の周辺(東京で言うところの新宿)にあるデパート「福来士広場」6階のフードコートでは、一食600~1,200円くらい。最多価格帯700~800円で、東京と同じかそれ以上である。上海ディズニーのフードコートでの一食は市街地の綺麗なフードコートに約2倍とあって、非常に高額な食事だ。上海市内の平均年収が100万円ちょっとと考えると、富裕層しか来場できないのではないだろうか。日本人にとっては、「日本より安く楽しめる」と思って行くと失敗する。

【その4】ディズニーの世界観&キャラクターに興味なし

 中国の建物は雑なイメージがある。突貫工事によって、後で事故や倒壊が起きたとネット上で見かける。ところが、上海ディズニーはアメリカのディズニー社が監督し、監視したため、造りは丁寧なのだ。

 ただ、建物は新しくて綺麗だが、キャストの質が東京の足下にも及ばない。キャストのやる気もホスピタリティも低い。ゲストのいる前でキャストたちが堂々とおしゃべりと「きゃはは」という高い笑い声が響くなど、東京ではあり得ない。しかもゲストが途切れているわけでもないのに。施設が立派なだけに「仏作って魂入れず」といった印象である。

 こうしたディズニーの世界観や非日常感に欠けるのは、キャスト側だけではない。東京のゲストの多くは「ディズニーの世界観」のファンで、あのメルヘンティックな世界観を楽しむために来ているのだろう。その世界観に浸るため、東京では多くの人がカチューシャ、帽子、Tシャツ、リュック、ダッフィのぬいぐるみなどを身につけているが、上海では盛んでない。ミニーの耳カチューシャを着けている人が一部いるだけで、ほかのキャラクターの耳を着けている人は非常に少ないのだ。

 また上海では、キャラクター・グリーティングの待ち時間が東京に比べて短い。例えば、プリンセスとのグリーティングは待ち時間がたったの20分で、東京では、短くとも40分、長ければ2時間くらい待たされる。それだけキャラクターを楽しむ人が少ないのだろう。

【その5】ディズニー上級者の戦略は一切通用せず?

 ファストパスのあるアトラクションが東京よりやや少なく、上海では7アトラクションである(TDLは8アトラクション、TDSは9アトラクションにファストパスがある)。その代わり、ファストパスがあると東京より待ち時間が短い。東京ではファストパスがあっても15~20分は待たされることが多く、運が悪いと30分近く待たされることもあるものの、上海ではずっと早く乗ることができる。

 それに関連して、東京ではファストパス発券後、2時間で次のファストパスを取れるようになることが多い一方、上海はそれより短時間で取得可能の場合も。筆者が10時30分に「トロン」という上海ディズニーにしかないアトラクションのファストパスをとったときは、11時55分から12時55分に乗車可能、次のファストパス取得可能時刻は11時55分以降、実に「1時間25分」で次のファストパスが取得可能だった。

 この点においては、上海ディズニーランドの利点と思われるかもしれないが、これはつまり、「各アトラクションのパス発券数が東京より少ない」と推測できる。そのため、次のファストパス取得が遅くなると、すぐに完売してしまうのは大きなデメリット。筆者の来場日は、午後2時頃には、すでにファストパスは完売していた。東京ではこんなに早くファストパスがなくなる平日はないだろう。

 上海では、東京ほどファストパスが機能してない。東京ではファストパスを駆使して戦略的にディズニーを楽しむ人が多いが、上海では戦略なしでアトラクションで待たされるため、とてもストレスフルである。

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 上記のような問題点以外にも、中国語ができないのでキャストに何かを聞きたくてもほとんど聞けない点に苦労したのだ。

上海ディズニーが今後人気を出すために提案するとすれば、日本人客をターゲットにした日本語HP、パンフレット、ショー・パレード時間案内の作成である。ディズニーのパンフレットは中国語と英語のみなので、英語ができない日本人は遊ぶにも苦戦するし、行き当たりばったりでいろいろ苦労しているうちに30分くらいあっという間に過ぎてしまい、その積み重ねでほとんど乗れないまま待たされて不安な思いをする。それではリピーターにならないし、最低限しかお金を落とさないだろう。

 これから上海ディズニーに訪れようとしている人にお伝えしたいのは、「経験として」「世界のディズニーランドを制覇するため」「上海旅行の一目的地として」「世界で上海にしかないアトラクションに乗るため」などの理由であれば一度行くことをお勧めするが、ただ漠然と「楽しそうだから」といった理由なら、もう少し様子を見て、アトラクション追加とキャストの人材育成が進むのを待ってから行った方がいいだろう。

中島恵(なかじま・めぐみ)
東京経営短期大学総合経営学科専門講師。ディズニーランドやユニバーサル・スタジオなどテーマパークの経営戦略を研究している。『東京ディズニーリゾートの経営戦略』『ディズニーランドの国際展開戦略』など著書多数。12月11日に最新刊『なぜ日本だけディズニーランドとUSJが「大」成功したのか?』(いずれも三恵社)を発売予定。
ブログ「テーマパーク経営研究室 中島恵ゼミナール

素人が“行ってはいけない”パワースポット3選――強烈な怨嗟と悪念渦巻く神社とは?

 パワースポットの書籍などを手がけ、神社仏閣の知識も豊富なA氏から、素人が行くのは危険な神社を教えてもらうシリーズ。第1回は戦場となった神社、第2回は「祟り神」を祀る神社を紹介したが、第3回は、縁切り神社について話してもらおう。

 神社といえば縁結びを願いに参拝する人が多いだろうが、世の中には不本意ながら、付き合っている相手ときっぱり別れたいと願う人もいる。例えば会社の上司や先輩。気の合わない身近な先輩につらく当たられ、「転勤や部署替えで遠くへ行ってくれないかな」と願った経験はないだろうか。そんな場合は、縁切り神社にお参りすれば、願いが叶うという。しかし、そうした祈願ばかりではない。不倫の相手が奥さんやご主人と別れるように祈る参拝者もいるのだ。

 こうした神社の中には、最近では観光地扱いをされている神社もある。黒い思いが渦巻いているとは知らずに、「パワースポットだから」「せっかくだから」と参拝するのは注意した方がいいだろう。

<危険なパワースポット1:天下に大乱を起こした祟り神を祀る神社 危険度☆☆☆☆>

 昔、花街があった近辺には、縁切りの神社が鎮座することが多いようだ。特に有名なのは、京都は祇園のはずれにある安井金比羅宮だろう。この神社のご祭神は、祟り神としても知られる崇徳天皇。崇徳天皇は、江戸時代の怪談集『雨月物語』でも、天下に大乱を起こそうと企む怨霊として登場するほど、恐れられた神様だ。

 それだからか、縁切りの霊験あらたかな神社として、多くの参拝者を集めてきた。境内には、周囲に白い紙がびっしり貼りつけられた、穴の開いた石が鎮座しているが、これが「縁切り縁結び碑(いし)」。

 まず本殿に参拝して縁を切りたいものとの縁切りを祈り、その後、社務所で「形代(かたしろ)」をいただいて、願い事を書き込む。そしてその形代を手に持って、祈りながら、碑の穴を表から裏にくぐれば、縁切りが叶えられるという。次に裏から表にくぐりなおすと、新たな良縁を結ぶことになり、最後に形代を碑に貼りつける。縁切りの対象は人だけではない。「酒を断ちたい」「たばこをやめたい」などの願い事を持って訪れる人も多いとか。

 なかなか結婚の決断をしない恋人とスッパリ別れたいと、この神社に参拝したBさんは、碑をくぐる際、何気なく1枚の札に目が留まった。そこには「シャブとの縁を切りたい」と書かれており、「怨霊より恐ろしい」とゾッとしたとか。その後、見事に恋人との縁は切れたという。

<危険なパワースポット2:御神木に何本もの鎌が打ち込まれた寺 危険度☆☆>

 大阪城の近く。通称「真田丸」があったとされる場所にあるのが、円珠庵鎌八幡。神社ではなく寺院だ。境内には大きなエノキ(榎)がそびえており、鎌八幡大菩薩を宿しているとして信仰されてきたという。真田幸村公が大阪冬の陣に出発する際、このエノキに鎌を打ち込んで戦勝を祈願したところ、見事に勝利を収めた。そこで幸村は、祠を新しく建立してお礼をしたと伝えられる。

 現在でも、境内には御神木のエノキが青々とした葉を茂らせ、鎌も打ち込まれている。この鎌の柄をよく見ると、絵馬のように文字が書き込まれているのに気づくだろう。縁を切りたい人が、柄に縁を切りたい対象を書き、打ち込んだのだ。何本もの鎌が刺さったご神木は、なんともおどろおどろしい印象だが、この寺院では、鎌や絵馬をジロジロ見るのは禁止。興味本位で写真撮影をすれば、住職にカメラを没収されてしまうので、そういった意味でも非常に怖い寺院だといえるだろう。

 修験者のC氏はこのルールを知らず、悪気なくぼんやりと絵馬を眺めていたところ、笑顔の住職に「あまり見ないでくださいね」と、穏やかに声をかけられたそうだ。「表情は笑っているんですが、反論を許さない気迫がありました。修験者として、あの住職の胆力は本当に怖いと感じましたよ」と語っていた。

<危険なパワースポット3:丑の刻参りのルーツの地 危険度☆☆☆☆☆>

 丑の刻参りは、藁人形に五寸釘を打ち込むことで憎い相手を呪い殺すもので、源氏と平家の戦いを描いた『源平盛衰記』に、その起源が書かれている。嫉妬に狂った女性が、「憎い恋敵をとり殺したい」と貴船神社に参ったところ、「鬼の姿になって、宇治川に浸かれ」と神託があった。そこで、髪の毛を五つに分けて角のように立て、顔と体を真っ赤に塗り、鉄輪(火鉢に置き、ヤカンなどを乗せる三本脚の台。五つの突起がある)を逆さにして頭にかぶり、その三本の脚の先に蝋燭を立てて、口には松明を咥えて宇治川に21日間浸かったところ、鬼となって、憎い相手を呪い殺すことができたという。この女性こそが、宇治の橋姫だ。

 その橋姫を祀るのが、宇治市にある橋姫神社。この神社も縁切り神社として名高い。そもそもは、宇治川の流れに悪い縁を流してもらおうという信仰があったというが、丑の刻参りを連想する人も多いらしく、絵馬には「片思いの相手が恋人と別れますように」といった、怨念を感じずにはいられない願い事も散見される。

 宇治市内に暮らすDさんは、この神社の評判を耳にして立ち寄った。「別に願い事があったわけではなく、絵馬を読むつもりなどありませんでした。でも、なぜだか1枚の絵馬から目が離せなくなったんです」。その絵馬の願主の欄には、会社の同僚の名があったという。そして、その願い事は「息子が憎い嫁と一日も早く別れてくれますように」。

「その同僚は、いつもニコニコ穏やかで、人の悪口を言うこともないような人なんです。だからこそ、よけいに怖くて……」

 縁切り神社では、思わぬ人の本性に触れてしまうかもしれない。それは幽霊に遭うよりもずっと、恐ろしい体験だろう。縁切り神社を訪れる際は、心して参拝しよう。

 

素人が“行ってはいけない”パワースポット3選――強烈な怨嗟と悪念渦巻く神社とは?

 パワースポットの書籍などを手がけ、神社仏閣の知識も豊富なA氏から、素人が行くのは危険な神社を教えてもらうシリーズ。第1回は戦場となった神社、第2回は「祟り神」を祀る神社を紹介したが、第3回は、縁切り神社について話してもらおう。

 神社といえば縁結びを願いに参拝する人が多いだろうが、世の中には不本意ながら、付き合っている相手ときっぱり別れたいと願う人もいる。例えば会社の上司や先輩。気の合わない身近な先輩につらく当たられ、「転勤や部署替えで遠くへ行ってくれないかな」と願った経験はないだろうか。そんな場合は、縁切り神社にお参りすれば、願いが叶うという。しかし、そうした祈願ばかりではない。不倫の相手が奥さんやご主人と別れるように祈る参拝者もいるのだ。

 こうした神社の中には、最近では観光地扱いをされている神社もある。黒い思いが渦巻いているとは知らずに、「パワースポットだから」「せっかくだから」と参拝するのは注意した方がいいだろう。

<危険なパワースポット1:天下に大乱を起こした祟り神を祀る神社 危険度☆☆☆☆>

 昔、花街があった近辺には、縁切りの神社が鎮座することが多いようだ。特に有名なのは、京都は祇園のはずれにある安井金比羅宮だろう。この神社のご祭神は、祟り神としても知られる崇徳天皇。崇徳天皇は、江戸時代の怪談集『雨月物語』でも、天下に大乱を起こそうと企む怨霊として登場するほど、恐れられた神様だ。

 それだからか、縁切りの霊験あらたかな神社として、多くの参拝者を集めてきた。境内には、周囲に白い紙がびっしり貼りつけられた、穴の開いた石が鎮座しているが、これが「縁切り縁結び碑(いし)」。

 まず本殿に参拝して縁を切りたいものとの縁切りを祈り、その後、社務所で「形代(かたしろ)」をいただいて、願い事を書き込む。そしてその形代を手に持って、祈りながら、碑の穴を表から裏にくぐれば、縁切りが叶えられるという。次に裏から表にくぐりなおすと、新たな良縁を結ぶことになり、最後に形代を碑に貼りつける。縁切りの対象は人だけではない。「酒を断ちたい」「たばこをやめたい」などの願い事を持って訪れる人も多いとか。

 なかなか結婚の決断をしない恋人とスッパリ別れたいと、この神社に参拝したBさんは、碑をくぐる際、何気なく1枚の札に目が留まった。そこには「シャブとの縁を切りたい」と書かれており、「怨霊より恐ろしい」とゾッとしたとか。その後、見事に恋人との縁は切れたという。

<危険なパワースポット2:御神木に何本もの鎌が打ち込まれた寺 危険度☆☆>

 大阪城の近く。通称「真田丸」があったとされる場所にあるのが、円珠庵鎌八幡。神社ではなく寺院だ。境内には大きなエノキ(榎)がそびえており、鎌八幡大菩薩を宿しているとして信仰されてきたという。真田幸村公が大阪冬の陣に出発する際、このエノキに鎌を打ち込んで戦勝を祈願したところ、見事に勝利を収めた。そこで幸村は、祠を新しく建立してお礼をしたと伝えられる。

 現在でも、境内には御神木のエノキが青々とした葉を茂らせ、鎌も打ち込まれている。この鎌の柄をよく見ると、絵馬のように文字が書き込まれているのに気づくだろう。縁を切りたい人が、柄に縁を切りたい対象を書き、打ち込んだのだ。何本もの鎌が刺さったご神木は、なんともおどろおどろしい印象だが、この寺院では、鎌や絵馬をジロジロ見るのは禁止。興味本位で写真撮影をすれば、住職にカメラを没収されてしまうので、そういった意味でも非常に怖い寺院だといえるだろう。

 修験者のC氏はこのルールを知らず、悪気なくぼんやりと絵馬を眺めていたところ、笑顔の住職に「あまり見ないでくださいね」と、穏やかに声をかけられたそうだ。「表情は笑っているんですが、反論を許さない気迫がありました。修験者として、あの住職の胆力は本当に怖いと感じましたよ」と語っていた。

<危険なパワースポット3:丑の刻参りのルーツの地 危険度☆☆☆☆☆>

 丑の刻参りは、藁人形に五寸釘を打ち込むことで憎い相手を呪い殺すもので、源氏と平家の戦いを描いた『源平盛衰記』に、その起源が書かれている。嫉妬に狂った女性が、「憎い恋敵をとり殺したい」と貴船神社に参ったところ、「鬼の姿になって、宇治川に浸かれ」と神託があった。そこで、髪の毛を五つに分けて角のように立て、顔と体を真っ赤に塗り、鉄輪(火鉢に置き、ヤカンなどを乗せる三本脚の台。五つの突起がある)を逆さにして頭にかぶり、その三本の脚の先に蝋燭を立てて、口には松明を咥えて宇治川に21日間浸かったところ、鬼となって、憎い相手を呪い殺すことができたという。この女性こそが、宇治の橋姫だ。

 その橋姫を祀るのが、宇治市にある橋姫神社。この神社も縁切り神社として名高い。そもそもは、宇治川の流れに悪い縁を流してもらおうという信仰があったというが、丑の刻参りを連想する人も多いらしく、絵馬には「片思いの相手が恋人と別れますように」といった、怨念を感じずにはいられない願い事も散見される。

 宇治市内に暮らすDさんは、この神社の評判を耳にして立ち寄った。「別に願い事があったわけではなく、絵馬を読むつもりなどありませんでした。でも、なぜだか1枚の絵馬から目が離せなくなったんです」。その絵馬の願主の欄には、会社の同僚の名があったという。そして、その願い事は「息子が憎い嫁と一日も早く別れてくれますように」。

「その同僚は、いつもニコニコ穏やかで、人の悪口を言うこともないような人なんです。だからこそ、よけいに怖くて……」

 縁切り神社では、思わぬ人の本性に触れてしまうかもしれない。それは幽霊に遭うよりもずっと、恐ろしい体験だろう。縁切り神社を訪れる際は、心して参拝しよう。