『黒革の手帖』悪女役で新境地開拓! “リアル元子”武井咲は、結婚&妊娠でさらに化ける?

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 突然の結婚、妊娠報道の渦中、大団円を迎えた『黒革の手帖』(テレビ朝日系)は、今の武井咲だからこそ演じられるピカレスクドラマの傑作だった。  松本清張の小説をドラマ化した本作は、銀行員の女性が政治家や財界の権力者の裏金を横領し、その金で銀座の一等地にクラブを構えるという悪女の成り上がり物語だ。  ヒロインの原口元子は、山本陽子や浅野ゆう子といった女優が演じてきた伝統ある役柄で、2004年には武井の先輩に当たるオスカープロモーションの米倉涼子が演じたことでも知られている。  本作に出演したことで、米倉は男に媚びない強い女というイメージを確立し、次々とテレ朝の連ドラに出演。やがて『ドクターX ~外科医・大門未知子~』で『相棒』の水谷豊と並ぶ、テレ朝にとってはなくてはならない看板スターとなった。  そんな『黒革の手帖』の新作を武井が演じるということは、オスカーやテレ朝が武井を米倉に続くスターに育てたいと思ってのことだろう。  歴代の元子を演じた女優陣と比べると武井は23歳と若く、顔立ちも線の細い美少女という感じだ。そのため、悪女を演じるには物足りないのではないかという下馬評が強かった。  しかし、第1話が終わった後で評価は一転。絶賛の嵐となった。  脚本を担当したのは映画『パッチギ!』や、連続テレビ小説『マッサン』の羽原大介。物語は原作小説を踏襲しているが、元子の設定は現代的なものへと脚色されていた。  本作の元子は、同じ銀行員でも派遣社員。昼は銀行で働きながら、夜は家の借金をホステスの仕事で返済してきたという境遇で、現代の貧困を体現するような弱者として登場した。  そんな元子が、コネ入社した女子社員のミスを肩代わりする形で、あっさりと派遣の契約を切られてしまう。理不尽な権力に、これでもかと追い詰められたところで反撃に出て、銀行から1億8,000万円を奪い取るという第1話には、カタルシスがあった。  普段は地味な格好で質素な暮らしをしている元子が、高価な着物を身にまとって傲慢な男たちを淡々と恫喝する姿は、スーパーヒロインのような格好良さで拍手喝采だった。  物語はその後、ドロドロの権力闘争となり、やがて元子が失脚した後に銀座のママとして返り咲くという展開になるのだが、武井の結婚&妊娠の騒動があったためか、戦いの果てに弱って憔悴していく元子と、武井の姿は、どこか重なって見えた。    武井を最初に意識したのは、野島伸司脚本のドラマ『GOLD』(フジテレビ系)だった。武井が演じたのは、天才スポーツ一家で幼少期から飛び込みの選手として鍛えられ、オリンピックに出場することを周囲から期待されていた少女だった。  幼くてかわいいというよりは、きれいだが危うさを抱えた大人びた美少女という佇まいで、張り詰めたような空気をまとっていてプールで見せる競泳水着の姿が美しく、周囲の期待と恋愛によって崩れていく思春期の危うさを見事に演じていた。  月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』(同)でも、三浦春馬が演じる高校教師を振り回す女子高生を好演していた。この時期の武井は、思春期の美少女が持つ危うさを演じさせると右に出る者がいなかった。  この2作に出演できたことは、若手女優として幸運なスタートだったといえる。ただ、出演作が多く、作品自体に当たり外れが多かったこともあってか、女優としては安く見られていた。  剛力彩芽もそうだが、オスカーは新人女優を次から次へとドラマに出演させる。そのためネットでは、ゴリ押しというイメージが先行していた。だが、武井はさまざまな作品に出演することでコメディや時代劇など幅広く演じるようになり、近年は安定感のある演技を見せるようになっていた。  そんな中、『黒革の手帖』での悪女役は、武井にとっても新境地だった。  EXILEのTAKAHIROとの結婚&妊娠の報道を知った時は驚いたが、「早めに出産したい」と語っていたので、有言実行という感じなのだろう。  同時に、今の若い子らしい選択とも思った。芸能界に限らないが、武井のような今の20代は、上の世代が結婚に躊躇しているうちに晩婚化、未婚化している姿を見てきた世代だ。  だから、自分たちのライフプランに関しては、かなり自覚的なのだろう。そういうクールに自分の人生を見ているような覚めた視線があるからこそ、シリアスな美少女からコミカルなコメディエンヌまで幅広く演じることができたのだ。  まさに、元子のような計算高さと大胆さを兼ね備えた女優だといえる。    おそらくテレ朝サイドとしては10年くらいのスパンで同じような役を演じてもらい、30歳ぐらいをめどに、米倉のようなテレ朝ドラマを代表するような大人の看板女優となってほしいと考えているのだろう。その期待に、武井は『黒革の手帖』で見事に応えたと思う。    出産後に、彼女がどういう距離感で女優業を続けていくのかわからない。だが、今回の結婚&妊娠は、女優として間違いなくプラスになるはずだ。 (文=成馬零一) ●なりま・れいいち 1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。 ◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆

TBSラジオ「プロ野球中継から撤退」にファンが悲鳴! ラジオはなぜ“巨人戦至上主義”から抜け出せないのか?

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イメージ画像(Thinkstockより)
 リーグ優勝は決まっても、CS進出争いがまだまだ佳境のプロ野球。一方、Bクラスが確定した球団のファンの気持ちは早くも来季へ。試合単位、シーズン単位で落胆することはあっても、先へ先へと楽しみを循環できるのも野球ファンの醍醐味のひとつだ。そんな中、その前向きな気持ちに水を差しかねないニュースが飛び込んできた。 <TBSラジオが来季から野球中継撤退へ> 「週刊ポスト」(小学館/9月29日号)が報じたもので、(1)野球中継の聴取率低下で広告収入が激減。(2)各球場のラジオ用ブースの使用契約料もバカにならず、採算が厳しい……という状況のため、1952年から60年以上続いてきたプロ野球中継『エキサイトベースボール』を今季限りで撤退する、というニュースだ。  27日には、さらに続報が流れた。TBSラジオの入江清彦社長が定例記者会見で「具体的に発表できる結論は出ていないが、年内をめどに結論を出す」「(撤退の)検討はずっと繰り返している」と答えたという。  プロ野球ファン、そしてラジオファンとしてはただただ悲しく、残念な気持ちになるニュースだ。もちろん、広告収入が激減、採算が厳しいという側面はあるのだろう。カールの販売中止が決まってから、思い出したように大人買いする消費者のように「ラジオの野球中継っていいよね」と言いつつ耳を傾ける回数を減らしていたのだとしたら、その責任の一端はリスナーや野球ファンにもあるのかもしれない。  一方で、どうしても疑問と不満も拭えない。ポストの記事では、入江社長の〈ラジオで野球を楽しむ習慣が遠のいている〉というコメントも紹介しているが、遠のかせないための施策は十分にできていたのだろうか?  野球ファンの間でよく議論になるのが、ラジオ中継の巨人戦偏向主義だ。これは、巨人寄りの中継をしているということではなく、ラジオのどの局も巨人戦しか中継してくれない、ということ。「パ・リーグきこうぜ!」でおなじみの文化放送『ライオンズナイター』もあるのだが、西武戦が組まれていない日のラテ欄を見ると、NHK、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、ラジオ日本のAM5局がすべて「巨人×◯◯」と横並びで、その編成の貧困さに悲しくなることが年に数回はある。  巨人・大鵬・卵焼きの時代ならいざ知らず、なぜラジオは(そしてこれは、民放テレビもそうなのだが)いまだに巨人戦至上主義から脱却できないのだろうか?  地上波テレビでの野球中継が激減した2000年以降、野球人気の低下が叫ばれて久しい。その半面、ここ数年はどの球場も観客動員数で過去最高を更新し続けている。確かに、70年代・80年代のような圧倒的な人気はなくなってしまったのかもしれないが、ファンの多様化・裾野の拡大という意味では、以前よりもいい時代を迎えつつあるのだ。  さらに、16年から導入された、radikoの「エリアフリー」「タイムフリー」は、実は野球中継を楽しむ上でももってこい。ひいきの球団が勝った試合を、最初はCS中継で見て、その後にradikoのタイムフリーで聴き直すことだってできるし、球団地元のローカル局ではどんな応援実況をしていたのか聴き比べることだってできてしまう。むしろ今、ラジオで野球中継を扱うことは、追い風が吹いているようにも感じる。  もったいないと思うのは、野球ファンの多様性をどこよりも紹介しているのもまた、TBSラジオだということ。阪神が負けた翌朝の放送はどことなくテンションが低い『森本毅郎スタンバイ!』。たびたび偏狭なベイスターズ企画をぶち込む『荒川強啓デイ・キャッチ!』。各球団ファンの論客やコラムニストをゲストに招くプロ野球企画が好評の『荻上チキ・Session-22』。そして、『伊集院光とらじおと』『深夜の馬鹿力』でラジオ界を牽引する伊集院光は日本ハムファンの代表格で、トークの枕として日本ハムネタ、プロ野球ネタから番組が始まることは少なくない。  朝から深夜まで、TBSラジオでは巨人以外の野球ネタがめじろ押しなのだ。それなのに、野球中継『エキサイトベースボール』では巨人戦ばかりというちぐはぐさ。きっと何かできることはあるはずなのだ。  折しも先週、文化系野球ファンに人気の不定期刊行雑誌「屋上野球」(編集室 屋上)の最新号が発売。その特集企画が「野球は、ラジオで」だった。全国ラジオ局へのアンケート調査ページで、TBSラジオが「野球中継が一番面白いのは実は『ラジオ』なんです」と答えていているのがなんだか切ない。  恐らく、TBSラジオの野球中継撤退は既定路線なのだろう。それでもいちるの望みをかけ、「屋上野球」の冒頭コラムを引用して終わりたい。 《ラジオで野球中継を聴くということに、ノスタルジーを感じる人もいるかもしれない。懐かしいな。昔よく聴いたなあ。いやいや、今なんです。今、ラジオで聴く野球が、どんどん面白くなっているんです。(中略)ラジオで野球を聴く楽しみを知ったら、あなたの野球はきっともっと広がっていく》 (文=オグマナオト)

業界評バツグン! “オモシロおじさん”化した徳光和夫に再ブレークの予感

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どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、業界目線でズバッと斬る「ズバッと芸能人」。  最近、周りで「徳光さんが面白い」という話をよく耳にする。もちろん徳光和夫のことだ。温厚そうな顔をしながら毒を吐き、これまでも業界やネットの掲示板などで「裏徳光」とか「毒光」などと呼ばれてきた。また大の巨人ファンで、それ以外の球団ファンに対しては、それこそ「人道にもとる」暴言を繰り返し、アンチ巨人の怒りを買ってきた。    だが、ここ数年の徳光は、肩の力が抜けて“オモシロおじさん”化している。雰囲気で言えば、一時期の板東英二のような感じである。 『路線バスで寄り道の旅』(テレビ朝日系)では道中、徳光がバスの中で居眠りする姿が売りになっているが、つい先日はこんなことが起きた。  9月21日放送の『バイキング』(フジテレビ系)で、不倫の裁判にスマホのLINEやSuicaの乗車履歴などが証拠として持ち込まれるという話題になった際。司会の坂上忍が「いろんなものが証拠として残っちゃう中、徳光さんの時代はやりたい放題でしたよね」と徳光に水を向けると、「俺、ほとんど外国だから」と証拠隠滅を図るために海外で奮闘していたことを自ら暴露し、坂上を慌てさせていた。    9月24日放送の『アッコにおまかせ!』(TBS系)では、豊田真由子衆院議員が謝罪会見で髪の毛をショートにするなどイメチェンして登場したことについて、司会の和田アキ子から話を振られると、「切った髪の毛を、元秘書の薄毛に足したらどうですか?」と、なぜか植毛をアドバイス。    このトンチンカンなコメントに、陣内智則から「徳光さん最近、怖いもん知らずですね」と言われていたが、なぜ徳光は怖いもの知らずになったのか?  まず、10年ほど前から『世界ウルルン滞在記』や『徳光和夫の感動再会!“逢いたい”』(ともにTBS系)、『The サンデーNEXT』(日本テレビ系)といった司会を務める番組が次々と終了し、自分の役目の終焉を実感したことが挙げられる。第一線から少し外れてセミリタイアに差し掛かり、心境が変化したのだ。    もちろん、彼の主な収入源はテレビ出演だが、あくせく働かなくても十分貯金はある。先ほど「最近、怖いもん知らずですね」と言った陣内に対し、その後、徳光が「余生だから」とポロッと小声で言っているのだが、もはや今さら好感度を追い求めることはしなくてもいいわけだ。  まさに人生の夕暮れ時というべきか、人も食べ物も腐りかけが一番おいしい。  もちろん老境に差し掛かっても、例えば古舘伊知郎のように、なんとか「現役感」を出してバッターボックスに立とうとする人もいる。小堺一機のように、完全にスキルばかりか声も枯れてしまう人もいる。久米宏のようにラジオに逃げ込む人もいる。タモリのように、それでもメインでの司会の仕事があり、自分のパーソナルな思いと建前とのバランスをいまだに保たなくてはならないタレントもいる。  しかし徳光の場合、メインの仕事が、テレビはテレビでもBSだったりするため、時間の流れや発言の厳しさも地上波に比べてゆるい。その脱力感が、独特の面白さを醸し出している。それでいてアナウンス技術は、基本的には滑舌が良く、コメントもしっかりしている。時々聞き取れないときもあるが、その不安定さもいい。    ただ「ブレーク」というのは2つある。業界の中だけでブレークするのと、本当に人気が出るという2パターンだ。  例えばベッキーは結局のところ業界内ブレークだったために、不倫であれだけバッシングを受けたところもある。斉藤由貴も、かつてアイドルだった彼女に胸ときめかせていた少年がCM業界やテレビ業界に入り、痩せてキレイになった彼女に一目会いたい「なつかしさ起用」だったわけだ(50代医師も、かつて斉藤のファンだったと告白。そういう意味では「なつかしさ不倫」だった)。  そんな中、徳光の場合は、最近の加藤一二三・九段やりゅうちぇる、それこそ以前の板東のように、予定調和のテレビを乱してもらうために呼ばれるワンポイント起用に終わるかもしれない。それでも今後、目が離せない存在であることは間違いない。 (文=都築雄一郎) 「ズバッと芸能人」過去記事はこちらから

業界評バツグン! “オモシロおじさん”化した徳光和夫に再ブレークの予感

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どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、業界目線でズバッと斬る「ズバッと芸能人」。  最近、周りで「徳光さんが面白い」という話をよく耳にする。もちろん徳光和夫のことだ。温厚そうな顔をしながら毒を吐き、これまでも業界やネットの掲示板などで「裏徳光」とか「毒光」などと呼ばれてきた。また大の巨人ファンで、それ以外の球団ファンに対しては、それこそ「人道にもとる」暴言を繰り返し、アンチ巨人の怒りを買ってきた。    だが、ここ数年の徳光は、肩の力が抜けて“オモシロおじさん”化している。雰囲気で言えば、一時期の板東英二のような感じである。 『路線バスで寄り道の旅』(テレビ朝日系)では道中、徳光がバスの中で居眠りする姿が売りになっているが、つい先日はこんなことが起きた。  9月21日放送の『バイキング』(フジテレビ系)で、不倫の裁判にスマホのLINEやSuicaの乗車履歴などが証拠として持ち込まれるという話題になった際。司会の坂上忍が「いろんなものが証拠として残っちゃう中、徳光さんの時代はやりたい放題でしたよね」と徳光に水を向けると、「俺、ほとんど外国だから」と証拠隠滅を図るために海外で奮闘していたことを自ら暴露し、坂上を慌てさせていた。    9月24日放送の『アッコにおまかせ!』(TBS系)では、豊田真由子衆院議員が謝罪会見で髪の毛をショートにするなどイメチェンして登場したことについて、司会の和田アキ子から話を振られると、「切った髪の毛を、元秘書の薄毛に足したらどうですか?」と、なぜか植毛をアドバイス。    このトンチンカンなコメントに、陣内智則から「徳光さん最近、怖いもん知らずですね」と言われていたが、なぜ徳光は怖いもの知らずになったのか?  まず、10年ほど前から『世界ウルルン滞在記』や『徳光和夫の感動再会!“逢いたい”』(ともにTBS系)、『The サンデーNEXT』(日本テレビ系)といった司会を務める番組が次々と終了し、自分の役目の終焉を実感したことが挙げられる。第一線から少し外れてセミリタイアに差し掛かり、心境が変化したのだ。    もちろん、彼の主な収入源はテレビ出演だが、あくせく働かなくても十分貯金はある。先ほど「最近、怖いもん知らずですね」と言った陣内に対し、その後、徳光が「余生だから」とポロッと小声で言っているのだが、もはや今さら好感度を追い求めることはしなくてもいいわけだ。  まさに人生の夕暮れ時というべきか、人も食べ物も腐りかけが一番おいしい。  もちろん老境に差し掛かっても、例えば古舘伊知郎のように、なんとか「現役感」を出してバッターボックスに立とうとする人もいる。小堺一機のように、完全にスキルばかりか声も枯れてしまう人もいる。久米宏のようにラジオに逃げ込む人もいる。タモリのように、それでもメインでの司会の仕事があり、自分のパーソナルな思いと建前とのバランスをいまだに保たなくてはならないタレントもいる。  しかし徳光の場合、メインの仕事が、テレビはテレビでもBSだったりするため、時間の流れや発言の厳しさも地上波に比べてゆるい。その脱力感が、独特の面白さを醸し出している。それでいてアナウンス技術は、基本的には滑舌が良く、コメントもしっかりしている。時々聞き取れないときもあるが、その不安定さもいい。    ただ「ブレーク」というのは2つある。業界の中だけでブレークするのと、本当に人気が出るという2パターンだ。  例えばベッキーは結局のところ業界内ブレークだったために、不倫であれだけバッシングを受けたところもある。斉藤由貴も、かつてアイドルだった彼女に胸ときめかせていた少年がCM業界やテレビ業界に入り、痩せてキレイになった彼女に一目会いたい「なつかしさ起用」だったわけだ(50代医師も、かつて斉藤のファンだったと告白。そういう意味では「なつかしさ不倫」だった)。  そんな中、徳光の場合は、最近の加藤一二三・九段やりゅうちぇる、それこそ以前の板東のように、予定調和のテレビを乱してもらうために呼ばれるワンポイント起用に終わるかもしれない。それでも今後、目が離せない存在であることは間違いない。 (文=都築雄一郎) 「ズバッと芸能人」過去記事はこちらから

「お笑い」と「お笑い風」は地続き――『ゴッドタン』が開拓した、ハライチ岩井の“腐り芸”

「お笑い」と「お笑い風」は地続き――『ゴッドタン』で見せるハライチ岩井の腐り芸の画像1
 8月26日、『24時間テレビ』(日本テレビ)の真裏で放送された『ゴッドタン』(テレビ東京系)の「最初でたぶん最後のゴールデン3時間半スペシャル」。ゴールデンで放送されたのも「まさか」の出来事だったが、このたび、ギャラクシー賞の8月度月間賞を受賞した。  10年以上続く『ゴッドタン』が同賞を受賞するのは初めて。この手の賞は、いわゆる「お笑い」を軽視しがちだが、ギャラクシー賞に関してはそうとは言えない。そのため、初めてというのは少し意外な感じはするが、それでも快挙だ。  スペシャルではさまざまな名物企画が放送されたが、中でも印象的だったのは「マジ歌選手権」でのハライチ岩井勇気のパフォーマンスだ。 「マジ歌選手権」は『ゴッドタン』初期から続き、今年は日本武道館ライブも成功させたほどの看板企画。芸人が「マジ」でオリジナル曲を作り歌うというものだ。  岩井は相方の澤部佑を従え、「OWA LIAR」という歌を披露。キーボードを弾きながら、「今日もテレビを見てたんだ 小さい頃から夢見てた 憧れの世界ゴールデン それがいま好きになれない♪」と歌い始めると、澤部が「どうした?」とツッコミを入れる。 「芸能人が笑ってる ゲラゲラ奇妙に笑ってる まったく面白くないことでバカみたいに笑ってるよ インスタで話題……どうでもいい 大御所の自慢 聞き飽きた 番宣役者を持ち上げて 芸人たちがそれっぽく 笑いに変えて見せている そんなもの……お笑いじゃない」  澤部が「岩井!」と制す中、岩井はおもむろに立ち上がる。 「『お笑い風』……俺はそう呼ぶ!」  こんな歌詞をゴールデンタイムで歌うのだから痛快だ。  この後、岩井は踊りだし、「ヘドが出そうなこの世界でたったひとつだけ見つけた 僕が好きになれたモノ」を歌い始め、オチがつく。つまり、この「お笑い風」批判は壮大な前フリなのだが、当然、いくばくかの本音も凝縮されているだろう。  それを番組では「腐り」と形容し、キャラ付けした。  そんな「腐り芸人」を集めて行われたのが、9月16日放送の「かぶりタレントキャラ統一マッチ」第2弾だ。キャラがかぶっている芸人たちを集め、誰がNo.1なのかを決めるというもの。  集まったのは、相方との格差に「ねたむでもひがむでもなく、腐るという新ジャンルを生み出した腐り芸人のパイオニア」岩井と、相方の不祥事により「足引っ張られ腐り芸人」インパルス板倉俊之、そして「ナチュラルボーン腐り芸人」の平成ノブシコブシ・徳井健太の3人。番組では、それぞれの腐りエピソードを紹介していく。  たとえば、岩井が澤部を評し、こんなことを言ったという。 「あんな奴、1を増やすのが得意なだけで、ゼロから1を作れないからね。ゼロから1を作れない奴は、芸人じゃなくて“芸人風”なだけ」  ゼロから1を作れない奴はいわば「下請け」なのだ、と。  それに呼応し、板倉は自身の体験を元に話をつなげていく。例えば、番組の初回はコンビで呼ばれる。そこでは、板倉が相方・堤下敦を徹底的にイジり、大きな笑いを生む。しかし、次回以降、MCがそのイジり方をそのまま踏襲するのだ。すると、板倉の役割が失われ、番組には堤下だけが呼ばれることになってしまう。 「作った人に対する敬意みたいなものが一切ない」  これを受け、岩井の腐りがさらに加速していく。 「俺らの思う100点の笑いってあるじゃないですか。でも、ゴールデンの笑いって、30点出せばいい。それがちょうどいい。でも、その30点を100点だと思ってる芸人が売れるんです」  一方で板倉は、自分は今、「悟り期」なのだという。「飯食って『うまい!』、犬見て『かわいい!』、アトラクション乗って『怖かった!』と言うために芸人をやっているわけではない」と先輩の小籔千豊に相談したところ、こんな答えが返ってきた。 「お前がたとえば映画を1本撮る。警察官の役をやってほしくて呼んだ役者がいる。その役者が、『殺人鬼の役をやりたいんですよ』って言うのをやってるようなもんやで」  わかりやすいと思った。自分はスタッフのことを何も考えていなかった。何もわかっていなかったんだと思った。  しかし――。  それでもなお、自分は「かわいい!」と言いたくないと思った。 「2択を突きつけられたときに『そうだ、やろう』と思える人は売れる。でも、俺みたいに意味はわかるけど、それでもお笑いだけをやりたいって人は淘汰される。で、淘汰されることに対して抵抗してないんです」  岩井の言う「お笑い」と「お笑い風」は、確かに違うかもしれない。どちらが好きか嫌いかは、人それぞれだろう。だが、そこに優劣をつけようとするとおかしくなる。いみじくも、岩井はこうつぶやいた。 「この番組では腐りキャラなんですけど、ほかの番組では、ただの腐ってる奴なんですよ」  キャラ立てし、わかりやすくするのは、実は「お笑い風」の常套手段でもある。「お笑い」と「お笑い風」は地続きなのだ。この「お笑い」番組でのキャラ立てが“取扱説明書”になり、ほかの「お笑い風」番組に波及し、ブレークした例はいくつもある。そうなったときに、それに抗う姿も魅力的だし、ギリギリのラインを探りながら順応していくのも悪くない。その葛藤と覚悟と変化を見ることが、「お笑い風」の楽しみのひとつだ。  最後に、岩井は自嘲して言った。 「この番組で視聴者から『面白い』とか言われるんですけど、一向にほかのバラエティに呼ばれないんですよ。それってなんでかわかります? 腐ってるからです」 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

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 8月26日、『24時間テレビ』(日本テレビ)の真裏で放送された『ゴッドタン』(テレビ東京系)の「最初でたぶん最後のゴールデン3時間半スペシャル」。ゴールデンで放送されたのも「まさか」の出来事だったが、このたび、ギャラクシー賞の8月度月間賞を受賞した。  10年以上続く『ゴッドタン』が同賞を受賞するのは初めて。この手の賞は、いわゆる「お笑い」を軽視しがちだが、ギャラクシー賞に関してはそうとは言えない。そのため、初めてというのは少し意外な感じはするが、それでも快挙だ。  スペシャルではさまざまな名物企画が放送されたが、中でも印象的だったのは「マジ歌選手権」でのハライチ岩井勇気のパフォーマンスだ。 「マジ歌選手権」は『ゴッドタン』初期から続き、今年は日本武道館ライブも成功させたほどの看板企画。芸人が「マジ」でオリジナル曲を作り歌うというものだ。  岩井は相方の澤部佑を従え、「OWA LIAR」という歌を披露。キーボードを弾きながら、「今日もテレビを見てたんだ 小さい頃から夢見てた 憧れの世界ゴールデン それがいま好きになれない♪」と歌い始めると、澤部が「どうした?」とツッコミを入れる。 「芸能人が笑ってる ゲラゲラ奇妙に笑ってる まったく面白くないことでバカみたいに笑ってるよ インスタで話題……どうでもいい 大御所の自慢 聞き飽きた 番宣役者を持ち上げて 芸人たちがそれっぽく 笑いに変えて見せている そんなもの……お笑いじゃない」  澤部が「岩井!」と制す中、岩井はおもむろに立ち上がる。 「『お笑い風』……俺はそう呼ぶ!」  こんな歌詞をゴールデンタイムで歌うのだから痛快だ。  この後、岩井は踊りだし、「ヘドが出そうなこの世界でたったひとつだけ見つけた 僕が好きになれたモノ」を歌い始め、オチがつく。つまり、この「お笑い風」批判は壮大な前フリなのだが、当然、いくばくかの本音も凝縮されているだろう。  それを番組では「腐り」と形容し、キャラ付けした。  そんな「腐り芸人」を集めて行われたのが、9月16日放送の「かぶりタレントキャラ統一マッチ」第2弾だ。キャラがかぶっている芸人たちを集め、誰がNo.1なのかを決めるというもの。  集まったのは、相方との格差に「ねたむでもひがむでもなく、腐るという新ジャンルを生み出した腐り芸人のパイオニア」岩井と、相方の不祥事により「足引っ張られ腐り芸人」インパルス板倉俊之、そして「ナチュラルボーン腐り芸人」の平成ノブシコブシ・徳井健太の3人。番組では、それぞれの腐りエピソードを紹介していく。  たとえば、岩井が澤部を評し、こんなことを言ったという。 「あんな奴、1を増やすのが得意なだけで、ゼロから1を作れないからね。ゼロから1を作れない奴は、芸人じゃなくて“芸人風”なだけ」  ゼロから1を作れない奴はいわば「下請け」なのだ、と。  それに呼応し、板倉は自身の体験を元に話をつなげていく。例えば、番組の初回はコンビで呼ばれる。そこでは、板倉が相方・堤下敦を徹底的にイジり、大きな笑いを生む。しかし、次回以降、MCがそのイジり方をそのまま踏襲するのだ。すると、板倉の役割が失われ、番組には堤下だけが呼ばれることになってしまう。 「作った人に対する敬意みたいなものが一切ない」  これを受け、岩井の腐りがさらに加速していく。 「俺らの思う100点の笑いってあるじゃないですか。でも、ゴールデンの笑いって、30点出せばいい。それがちょうどいい。でも、その30点を100点だと思ってる芸人が売れるんです」  一方で板倉は、自分は今、「悟り期」なのだという。「飯食って『うまい!』、犬見て『かわいい!』、アトラクション乗って『怖かった!』と言うために芸人をやっているわけではない」と先輩の小籔千豊に相談したところ、こんな答えが返ってきた。 「お前がたとえば映画を1本撮る。警察官の役をやってほしくて呼んだ役者がいる。その役者が、『殺人鬼の役をやりたいんですよ』って言うのをやってるようなもんやで」  わかりやすいと思った。自分はスタッフのことを何も考えていなかった。何もわかっていなかったんだと思った。  しかし――。  それでもなお、自分は「かわいい!」と言いたくないと思った。 「2択を突きつけられたときに『そうだ、やろう』と思える人は売れる。でも、俺みたいに意味はわかるけど、それでもお笑いだけをやりたいって人は淘汰される。で、淘汰されることに対して抵抗してないんです」  岩井の言う「お笑い」と「お笑い風」は、確かに違うかもしれない。どちらが好きか嫌いかは、人それぞれだろう。だが、そこに優劣をつけようとするとおかしくなる。いみじくも、岩井はこうつぶやいた。 「この番組では腐りキャラなんですけど、ほかの番組では、ただの腐ってる奴なんですよ」  キャラ立てし、わかりやすくするのは、実は「お笑い風」の常套手段でもある。「お笑い」と「お笑い風」は地続きなのだ。この「お笑い」番組でのキャラ立てが“取扱説明書”になり、ほかの「お笑い風」番組に波及し、ブレークした例はいくつもある。そうなったときに、それに抗う姿も魅力的だし、ギリギリのラインを探りながら順応していくのも悪くない。その葛藤と覚悟と変化を見ることが、「お笑い風」の楽しみのひとつだ。  最後に、岩井は自嘲して言った。 「この番組で視聴者から『面白い』とか言われるんですけど、一向にほかのバラエティに呼ばれないんですよ。それってなんでかわかります? 腐ってるからです」 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

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NHK朝ドラ『ひよっこ』復調の裏にあった“放送休止寸前”の大ピンチ!「台本が上がってこない……」

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 放送開始当初より評判は良かったものの、序盤は数字上、苦戦を強いられてきたNHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』。  第13週の「ビートルズがやって来る」で初めて週単位の平均視聴率20%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の大台を超え、第16週「アイアイ傘とノック」以降は、ずっと20%以上をキープしてきた。  評判のほうを数字が追いかけるように、じわじわと右肩上がりに数字を上げた形である。しかし、復調の裏には意外なピンチがあったという。NHK関係者は次のように漏らす。 「実は台本が遅れに遅れ、なかなか上がってこない状態で、途中、本当にヒヤヒヤする時期がありました」  脚本を手掛けているのは、ご存じ、ベテランの岡田惠和。脚本家としてのキャリアだけでなく、朝ドラにおいても『ちゅらさん』『おひさま』に続く3作目で、これは過去に4作を手掛けた橋田壽賀子に次ぐ多さである。また、いずれの朝ドラもヒットさせてきた、「朝ドラのエース」といっていい存在だ。  しかも、これまでの2作においても、ここまでの遅れにはならなかったらしい。さらにいえば、「実在のモデルがいないので、ストーリー展開が見えていない」ということでも、過去2作と同様である。  では『ひよっこ』で、なぜ台本が遅れに遅れたのか? 「『ひよっこ』は、強いドラマ性で引っ張るのではなく、普通の女の子の普通の暮らしを描いていくという作品。脇のキャラも一人一人愛情を込めて丁寧に描かれていることが特徴で、それが大きな魅力なのですが、物語が大きく動くときには慎重になったのではないでしょうか。その理由はわかりませんが、ともかく、一時は台本が上がっていないから、撮ろうにも撮るものが何もないこともありました。最悪の場合、完走できないんじゃないかと不安になるほどでした」(前出関係者)  しかし、そんな冷や汗モノの状況においても、現場の雰囲気がピリつくことはなく、常に良い状況にあったという。 「出演者もスタッフも常々口にしていたのは、『脚本が素晴らしい』ということですね。岡田さんの脚本にすっかり魅了されている状態で、岡田さんが描こうとしているものが絶対に面白いということがわかっているから、慌てず騒がず、待つ状態だったのではないかと思います」(同)  序盤の数字の苦戦ぶりにも悲観することなく、脚本の力を誰もが信じ、ブレることなく、出演者・スタッフが一丸となって作品に向き合い続けてきたことが、大評判と、さらには視聴率上昇にまでつながっていったようだ。  放送期間も残り1週間強。どのようなラストを迎えるのか、有終の美をしっかりと見守りたい。

NHK朝ドラ『ひよっこ』復調の裏にあった“放送休止寸前”の大ピンチ!「台本が上がってこない……」

NHK朝ドラ『ひよっこ』復調の裏にあった放送休止寸前の大ピンチ!「台本が上がってこない……」の画像1
 放送開始当初より評判は良かったものの、序盤は数字上、苦戦を強いられてきたNHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』。  第13週の「ビートルズがやって来る」で初めて週単位の平均視聴率20%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の大台を超え、第16週「アイアイ傘とノック」以降は、ずっと20%以上をキープしてきた。  評判のほうを数字が追いかけるように、じわじわと右肩上がりに数字を上げた形である。しかし、復調の裏には意外なピンチがあったという。NHK関係者は次のように漏らす。 「実は台本が遅れに遅れ、なかなか上がってこない状態で、途中、本当にヒヤヒヤする時期がありました」  脚本を手掛けているのは、ご存じ、ベテランの岡田惠和。脚本家としてのキャリアだけでなく、朝ドラにおいても『ちゅらさん』『おひさま』に続く3作目で、これは過去に4作を手掛けた橋田壽賀子に次ぐ多さである。また、いずれの朝ドラもヒットさせてきた、「朝ドラのエース」といっていい存在だ。  しかも、これまでの2作においても、ここまでの遅れにはならなかったらしい。さらにいえば、「実在のモデルがいないので、ストーリー展開が見えていない」ということでも、過去2作と同様である。  では『ひよっこ』で、なぜ台本が遅れに遅れたのか? 「『ひよっこ』は、強いドラマ性で引っ張るのではなく、普通の女の子の普通の暮らしを描いていくという作品。脇のキャラも一人一人愛情を込めて丁寧に描かれていることが特徴で、それが大きな魅力なのですが、物語が大きく動くときには慎重になったのではないでしょうか。その理由はわかりませんが、ともかく、一時は台本が上がっていないから、撮ろうにも撮るものが何もないこともありました。最悪の場合、完走できないんじゃないかと不安になるほどでした」(前出関係者)  しかし、そんな冷や汗モノの状況においても、現場の雰囲気がピリつくことはなく、常に良い状況にあったという。 「出演者もスタッフも常々口にしていたのは、『脚本が素晴らしい』ということですね。岡田さんの脚本にすっかり魅了されている状態で、岡田さんが描こうとしているものが絶対に面白いということがわかっているから、慌てず騒がず、待つ状態だったのではないかと思います」(同)  序盤の数字の苦戦ぶりにも悲観することなく、脚本の力を誰もが信じ、ブレることなく、出演者・スタッフが一丸となって作品に向き合い続けてきたことが、大評判と、さらには視聴率上昇にまでつながっていったようだ。  放送期間も残り1週間強。どのようなラストを迎えるのか、有終の美をしっかりと見守りたい。

NHK朝ドラ『ひよっこ』復調の裏にあった“放送休止寸前”の大ピンチ!「台本が上がってこない……」

NHK朝ドラ『ひよっこ』復調の裏にあった放送休止寸前の大ピンチ!「台本が上がってこない……」の画像1
 放送開始当初より評判は良かったものの、序盤は数字上、苦戦を強いられてきたNHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』。  第13週の「ビートルズがやって来る」で初めて週単位の平均視聴率20%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の大台を超え、第16週「アイアイ傘とノック」以降は、ずっと20%以上をキープしてきた。  評判のほうを数字が追いかけるように、じわじわと右肩上がりに数字を上げた形である。しかし、復調の裏には意外なピンチがあったという。NHK関係者は次のように漏らす。 「実は台本が遅れに遅れ、なかなか上がってこない状態で、途中、本当にヒヤヒヤする時期がありました」  脚本を手掛けているのは、ご存じ、ベテランの岡田惠和。脚本家としてのキャリアだけでなく、朝ドラにおいても『ちゅらさん』『おひさま』に続く3作目で、これは過去に4作を手掛けた橋田壽賀子に次ぐ多さである。また、いずれの朝ドラもヒットさせてきた、「朝ドラのエース」といっていい存在だ。  しかも、これまでの2作においても、ここまでの遅れにはならなかったらしい。さらにいえば、「実在のモデルがいないので、ストーリー展開が見えていない」ということでも、過去2作と同様である。  では『ひよっこ』で、なぜ台本が遅れに遅れたのか? 「『ひよっこ』は、強いドラマ性で引っ張るのではなく、普通の女の子の普通の暮らしを描いていくという作品。脇のキャラも一人一人愛情を込めて丁寧に描かれていることが特徴で、それが大きな魅力なのですが、物語が大きく動くときには慎重になったのではないでしょうか。その理由はわかりませんが、ともかく、一時は台本が上がっていないから、撮ろうにも撮るものが何もないこともありました。最悪の場合、完走できないんじゃないかと不安になるほどでした」(前出関係者)  しかし、そんな冷や汗モノの状況においても、現場の雰囲気がピリつくことはなく、常に良い状況にあったという。 「出演者もスタッフも常々口にしていたのは、『脚本が素晴らしい』ということですね。岡田さんの脚本にすっかり魅了されている状態で、岡田さんが描こうとしているものが絶対に面白いということがわかっているから、慌てず騒がず、待つ状態だったのではないかと思います」(同)  序盤の数字の苦戦ぶりにも悲観することなく、脚本の力を誰もが信じ、ブレることなく、出演者・スタッフが一丸となって作品に向き合い続けてきたことが、大評判と、さらには視聴率上昇にまでつながっていったようだ。  放送期間も残り1週間強。どのようなラストを迎えるのか、有終の美をしっかりと見守りたい。

セカオワ・Saori、手書き文字からわかるFukaseへの依存度【THE 筆跡鑑定ファイル】

 『NHK紅白歌合戦』にも出場した人気バンドSEKAI NO OWARI(セカイノオワリ、以下セカオワ)。音楽性だけでなく、メンバー4人が「セカオワハウス」と呼ばれる都内の一戸建て住宅で共同生活を送るライフスタイルも注目を集めている。そのメンバーの紅一点、Saori(藤崎彩織)が10月28日に小説家デビューを予定しており、それに先立って手書き原稿の一部が公開された。筆跡鑑定人で、筆跡心理学に基づいた書籍『自分のイヤなところは直る!』(東邦出版)の著者、牧野秀美氏に筆跡から、その人物像を読み解いてもらった。

■繊細で内向的、自分の世界を大切にする

――9月5日に、特設サイトで序盤の手書き原稿が公開されました。特徴的な文字だと思いますが、この筆跡から何が読み取れますか?

牧野秀美氏(以下牧野) Saoriさんの人となりを文字から読み解いてみたいと思います。まず、行が緩やかにうねっています。これは情緒性が豊かな証拠で芸術家、音楽家タイプに多い特徴です。小説を書くことも、いつかは通る道だったのでしょう。

――小さく可愛らしい字ですよね。

牧野 「小字型」(文字が小さい)の人は、内向的で自分の世界を大切にします。自分のよく知っている場所や人たちの中では、安心して自分らしさを出せます。セカオワワールドでは大胆な演出に身をゆだねますが、自分ひとりでどんどん知らないところに出かけていくようなタイプではありません。デリケートで繊細です。

 また、縦線の突出(横画から上に飛び出す縦画の長さ)は控えめですので、自己主張は少なく、まさに補佐型、秘書役です。内向的ですので、他者を通して自分の存在をアピールする方法を取るでしょう。へんとつくりの空間が広いのは、自分と違う考え方や人など、さまざまなものやことがらを受け入れられることを表しています。

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――「へんとつくりの間が広い」は稲田朋美さんの回でもありましたが、特に女性にとっては「モテ字」なのでしょうね。一方、夫を衰弱させている松居一代さんの字はへんとつくりの間は狭めでした。

牧野 文字の小ささと、縦線の突出が控えめなことを合わせて考えますと、相手の世界の中で生きていくほうが安心できて、自分らしさを感じるのでしょう。ほかに、彼女らしいと思う特徴が「接筆あいまい型」です。接筆(せっぴつ、「日」など四角い文字の左上の角)が閉じているのか開いているのかが、はっきりしない形です。この形の人は非常に優しいのですが、それが迷いやすさにつながります。Saoriさんは自分自身ではっきりした決断を下しながら進んでいくタイプではないのでしょう。自分の意見はあったとしても、Saoriさんの基準は相手によって変化していくようです。今回の小説のモデルといわれている深瀬さんとの関係性も、まさにその通りなのではないでしょうか。縦線突出が控えめな人は協調型といわれるのですが、出方によっては相手に依存しがちな面も見られます。

 自分と周りの境界線がはっきりしないのか、はっきりさせたくないのかはわかりませんが、そんなあいまいな世界の中にいることが好きなのでしょう。相手のすべてを受け入れ支える、それがSaoriさんの生き方のベースなのでしょう。批判などを受けても、セカオワハウスでメンバーと一緒にいればダメージも少なくて済む。セカオワは傷つきやすいSaoriさんにとって、なくてはならないアイテムなのかもしれません。

――セカオワは繊細な人はどう生きるのがいいのかの一つの可能性ですね。「僕たち」にすることで身を守る。もちろん「僕」が「僕たち」になることでの面倒くささや鬱陶しさもありますし、「世界」のサイズが自分たちの内側でどんどん狭まっていくという危険性もありますが……。

牧野 Saoriさんの書く小説は奇想天外な物語や、人間の心の奥底に潜む残虐さや醜さをテーマにすることはないでしょう。そうしたものと向き合うことは耐えられないからです。それよりも日常生活での細やかな心の動きをきれいに描写することが得意分野ですので、今後の作品もそのようなものが多くなると思われます。自身がファンタジーの世界から飛び出して、たくましくなっていく姿を描いた作品も楽しみにしています。
(石徹白未亜)

牧野秀美
筆跡鑑定人。筆跡アドバイザー・マスター。筆跡心理学をもとにした鑑定と診断を行う。著書に「名前を書くだけ 自分のイヤなところは直る」(東邦出版)
ほっかいどう筆跡鑑定研究所