グルメリポーターとして正反対の道を行く勝俣州和とミスターちん 「本音」と「忖度」視聴者が選ぶのは?

 2017年の「流行語大賞」に「忖度」が選ばれた。この言葉には「他人の気持をおしはかる」という意味があり、決してネガティブな表現とは限らない。

 昨年12月28日に放送された『出動! 偏見捜査官』(TBS系)は、世の中にはびこる“偏見”を密着取材で解き明かす特番。

“偏見”とは、なんぞや? 今回、番組は7つのそれを用意している。「見た目がイケてない男はドが過ぎたオシャレに走る」「インドに1人旅する人は絶対に人生に悩んでる」、「7度目の引退をした大仁田厚はどうせまた復帰する」などの“偏見”が番組内で紹介されたのだ。

 中でも、とりわけ気になるのは「グルメ番組の食レポ、不味くても美味しいという」なるもの。これは果たして真実なのか、それともただの誤解なのか?

 調査すべく、番組は腕に覚えのあるリポーターをキャスティング。最初に登場したのは、彦摩呂である。

 

■彦摩呂と鈴木あきえが見せた、リポーターとしての“大人力”

 今回、“おとり調査”として、偽のグルメリポートが決行されている。ロケは名店として名高いラーメン店で行われた。まず、彦摩呂の元には不味いラーメンが運ばれてくる。リポーターは、このメニューを食してどう反応するだろう。偏見どおり、不味くても「美味しい」と言うのだろうか?

 とにかく、彦摩呂のリアクションが気になる。まず、彼は市販の醤油をぬるま湯で薄めただけのスープと麺を口にした。すると、彦摩呂は「麺だけの味が味わえる」「味のお坊さんみたい」と、満足げな表情で躊躇なくリポートするのだ。これは、絶妙!

「不味い」とは言わないものの、それでいて決して嘘をついてない。美味しいのか否かはギリギリの線でボヤかしつつ、できるだけポジティブな表現で、彦摩呂は仕事を全うした。

 続いての登場は、昨年『王様のブランチ』(TBS系)を卒業した鈴木あきえだ。リポート力に定評のある彼女も、彦摩呂が食べたものと同じラーメンの食リポに挑戦。例によって、まずは“超薄口スープ”を口にした。するとやはり、まるで動じない。「いい意味で裏切られました!」「実家を思い出す。寝起きでそのままいただける」「繊細だなぁ~」と、マイナスイメージの少ないワードで味を表現したのだ。

 本音は明かさず、それでいて「美味しい」という言葉を絶対に使わない彼女。嘘をつかないまま、大人の態度で鈴木はリポートをやり遂げた。

 

■不味いラーメンにフリーズするミスターちんに、芸能人らが高評価

 波乱を起こしたのは3人目に登場したリポーター、B21スペシャルのミスターちんである。

「食レポロケは久々」だと告白するちんであったが、久しぶりすぎて彼は対策法を忘れてしまったのかもしれない。何しろ、不味いラーメンを食べるや「何、これ!?」とバカ正直にフリーズしてしまうのだ。

 ここからのちんは、忖度なし。まず、露骨に躊躇しながら麺をすすりにいく。食べたら食べたで「スープが持ち上がってこないんだよ(苦笑)」「何の味もしない」と、加減無しのリポートを貫き通してしまう。

 しかし、悪いことばかり言っていたら番組が成立しない。さすがにちんも、いいことを言おうとするのだが「このラーメンは“食べる側”に経験値が必要」「ある意味、究極のラーメン」と、コメントがいちいち店舗のプラスになってない。甲斐甲斐しくはあるが、取り繕いきれないのだ。まったくもって、損な生き方ではないか。

 恐らく、テレビ制作者にとって、ちんは使いにくいはずだ。彦摩呂や鈴木あきえの方が、使い勝手がいいに決まってる。ソツなくメニューの美味しさを表現し、店に損をさせず、それでいて決して嘘はつかない。欺瞞を回避しながら、同時に大人として忖度もする手練が彦摩呂と鈴木である。

 だが、しかし。ちんのグルメリポートをスタジオで観ていた伊集院光は「好きだなあ、こういうの」と、好印象を持っている様子なのだ。フットボールアワー・後藤輝基は「逆に信用できる」、光浦靖子は「カッコいい」とコメントし、それぞれがちんの食リポに高評価を与えている。

 恐らく、芸能人の秘めたる本音はこちらだろう。もしかしたら「ちんさん、よくやってくれました」と、カタルシスを覚えているかもしれない。

 

■何度も行ったお店で「うわぁ!」と、初めてのリアクションをとる勝俣州和

 今回のこの番組では、食レポ関連の“偏見”がもう1つ取り上げられている。それは「TVリポーターのコメント、本心ではなく言わされている」というものである。

 ここで呼び出されたのは、グルメ番組で長年活躍する勝俣州和であった。彼には、ちょっとしたウワサがあるらしい。それは「ロケで過去に行った店でも初めてのリアクションをする」という風評だ。……これって、視聴者を欺いていることにならないだろうか?

 このウワサを確認すべく、勝俣を対象に“おとり捜査”が実施された。まず、「勝俣が初めてのお店で食レポをする」という趣旨の偽番組が企画される。しかし、勝俣が訪問するのは彼が過去に行ったことのあるお店ばかり。この状況の中、勝俣は“初めてのリアクション”をするのだろうか……?

 結論から言うと、勝俣は行く先々で“初めてのリアクション”を取りまくった。過去に3度訪れた店舗では銀ダラを使ったラーメンを食し、「うまい! タラってこんなに旨味が出るんですね?」と感嘆する勝俣。

 2店目は、もっとすごい。自身が出版したグルメ本で紹介した中華料理店にもかかわらず「うわぁ!」と新鮮なリアクションを連発し、“初めて”を装ったのだ。

 しかし、この行いは勝俣が持つ信念ゆえである。彼の言い分はこうだ。

「視聴者に『このお店へ行きたい』と思わせるのが我々の仕事ですから。何回目とか、観る人には関係ないじゃないですか。『このお店にこういう美味しいものがあるんだ。じゃあ、行ってみよう!』っていうのが、テレビ番組です。視聴者は“初めて感”をそんなに求めてますかね?」

「100回来ても、“初めての感動”はできます」

 なるほど。リポーターには、それぞれの信念があるということ。視聴者のためを思い、事実ばかりを最優先しないタイプ。番組制作者と取材店を慮り、できるだけポジティブな形で情報を提供しようとするタイプ。そして、まったく忖度できず、ありのままを伝えることしかできないタイプ。

 個人的に、思うところはある。2017年は「忖度」という言葉が席巻した年であった。揺り戻しではないが、今年は忖度を知らないミスターちんのようなリポートをもっと見てみたい。
(文=寺西ジャジューカ)

グルメリポーターとして正反対の道を行く勝俣州和とミスターちん 「本音」と「忖度」視聴者が選ぶのは?

 2017年の「流行語大賞」に「忖度」が選ばれた。この言葉には「他人の気持をおしはかる」という意味があり、決してネガティブな表現とは限らない。

 昨年12月28日に放送された『出動! 偏見捜査官』(TBS系)は、世の中にはびこる“偏見”を密着取材で解き明かす特番。

“偏見”とは、なんぞや? 今回、番組は7つのそれを用意している。「見た目がイケてない男はドが過ぎたオシャレに走る」「インドに1人旅する人は絶対に人生に悩んでる」、「7度目の引退をした大仁田厚はどうせまた復帰する」などの“偏見”が番組内で紹介されたのだ。

 中でも、とりわけ気になるのは「グルメ番組の食レポ、不味くても美味しいという」なるもの。これは果たして真実なのか、それともただの誤解なのか?

 調査すべく、番組は腕に覚えのあるリポーターをキャスティング。最初に登場したのは、彦摩呂である。

 

■彦摩呂と鈴木あきえが見せた、リポーターとしての“大人力”

 今回、“おとり調査”として、偽のグルメリポートが決行されている。ロケは名店として名高いラーメン店で行われた。まず、彦摩呂の元には不味いラーメンが運ばれてくる。リポーターは、このメニューを食してどう反応するだろう。偏見どおり、不味くても「美味しい」と言うのだろうか?

 とにかく、彦摩呂のリアクションが気になる。まず、彼は市販の醤油をぬるま湯で薄めただけのスープと麺を口にした。すると、彦摩呂は「麺だけの味が味わえる」「味のお坊さんみたい」と、満足げな表情で躊躇なくリポートするのだ。これは、絶妙!

「不味い」とは言わないものの、それでいて決して嘘をついてない。美味しいのか否かはギリギリの線でボヤかしつつ、できるだけポジティブな表現で、彦摩呂は仕事を全うした。

 続いての登場は、昨年『王様のブランチ』(TBS系)を卒業した鈴木あきえだ。リポート力に定評のある彼女も、彦摩呂が食べたものと同じラーメンの食リポに挑戦。例によって、まずは“超薄口スープ”を口にした。するとやはり、まるで動じない。「いい意味で裏切られました!」「実家を思い出す。寝起きでそのままいただける」「繊細だなぁ~」と、マイナスイメージの少ないワードで味を表現したのだ。

 本音は明かさず、それでいて「美味しい」という言葉を絶対に使わない彼女。嘘をつかないまま、大人の態度で鈴木はリポートをやり遂げた。

 

■不味いラーメンにフリーズするミスターちんに、芸能人らが高評価

 波乱を起こしたのは3人目に登場したリポーター、B21スペシャルのミスターちんである。

「食レポロケは久々」だと告白するちんであったが、久しぶりすぎて彼は対策法を忘れてしまったのかもしれない。何しろ、不味いラーメンを食べるや「何、これ!?」とバカ正直にフリーズしてしまうのだ。

 ここからのちんは、忖度なし。まず、露骨に躊躇しながら麺をすすりにいく。食べたら食べたで「スープが持ち上がってこないんだよ(苦笑)」「何の味もしない」と、加減無しのリポートを貫き通してしまう。

 しかし、悪いことばかり言っていたら番組が成立しない。さすがにちんも、いいことを言おうとするのだが「このラーメンは“食べる側”に経験値が必要」「ある意味、究極のラーメン」と、コメントがいちいち店舗のプラスになってない。甲斐甲斐しくはあるが、取り繕いきれないのだ。まったくもって、損な生き方ではないか。

 恐らく、テレビ制作者にとって、ちんは使いにくいはずだ。彦摩呂や鈴木あきえの方が、使い勝手がいいに決まってる。ソツなくメニューの美味しさを表現し、店に損をさせず、それでいて決して嘘はつかない。欺瞞を回避しながら、同時に大人として忖度もする手練が彦摩呂と鈴木である。

 だが、しかし。ちんのグルメリポートをスタジオで観ていた伊集院光は「好きだなあ、こういうの」と、好印象を持っている様子なのだ。フットボールアワー・後藤輝基は「逆に信用できる」、光浦靖子は「カッコいい」とコメントし、それぞれがちんの食リポに高評価を与えている。

 恐らく、芸能人の秘めたる本音はこちらだろう。もしかしたら「ちんさん、よくやってくれました」と、カタルシスを覚えているかもしれない。

 

■何度も行ったお店で「うわぁ!」と、初めてのリアクションをとる勝俣州和

 今回のこの番組では、食レポ関連の“偏見”がもう1つ取り上げられている。それは「TVリポーターのコメント、本心ではなく言わされている」というものである。

 ここで呼び出されたのは、グルメ番組で長年活躍する勝俣州和であった。彼には、ちょっとしたウワサがあるらしい。それは「ロケで過去に行った店でも初めてのリアクションをする」という風評だ。……これって、視聴者を欺いていることにならないだろうか?

 このウワサを確認すべく、勝俣を対象に“おとり捜査”が実施された。まず、「勝俣が初めてのお店で食レポをする」という趣旨の偽番組が企画される。しかし、勝俣が訪問するのは彼が過去に行ったことのあるお店ばかり。この状況の中、勝俣は“初めてのリアクション”をするのだろうか……?

 結論から言うと、勝俣は行く先々で“初めてのリアクション”を取りまくった。過去に3度訪れた店舗では銀ダラを使ったラーメンを食し、「うまい! タラってこんなに旨味が出るんですね?」と感嘆する勝俣。

 2店目は、もっとすごい。自身が出版したグルメ本で紹介した中華料理店にもかかわらず「うわぁ!」と新鮮なリアクションを連発し、“初めて”を装ったのだ。

 しかし、この行いは勝俣が持つ信念ゆえである。彼の言い分はこうだ。

「視聴者に『このお店へ行きたい』と思わせるのが我々の仕事ですから。何回目とか、観る人には関係ないじゃないですか。『このお店にこういう美味しいものがあるんだ。じゃあ、行ってみよう!』っていうのが、テレビ番組です。視聴者は“初めて感”をそんなに求めてますかね?」

「100回来ても、“初めての感動”はできます」

 なるほど。リポーターには、それぞれの信念があるということ。視聴者のためを思い、事実ばかりを最優先しないタイプ。番組制作者と取材店を慮り、できるだけポジティブな形で情報を提供しようとするタイプ。そして、まったく忖度できず、ありのままを伝えることしかできないタイプ。

 個人的に、思うところはある。2017年は「忖度」という言葉が席巻した年であった。揺り戻しではないが、今年は忖度を知らないミスターちんのようなリポートをもっと見てみたい。
(文=寺西ジャジューカ)

ラスボスがいきなり登場!? 想像を絶する、甲府『ぼんち』のチキンカツカレー

飽食から美食の時代に変わったニッポングルメ。ラーメンだってカレーだってスイーツだって、おいしくて当然の時代! でも、目でも楽しめたらもっとおいしくないか!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメ、いただきま~す!!

 新年、明けましておめでとうございます。

 今年もめでたく年が明けました。読者の皆様におかれましては、今年も腹いっぱい、うまオモシロい珍級グルメが食べられる一年であることをお祈りいたします。

 筆者の青春時代、お正月になるとテレビからは、「おせちもいいけどカレーもね!」というCMが流れ、「なんかカレーが食べたくなってきた」と、簡単に暗示にかけられてしまったものだった。確か、初代はキャンディーズがやっていたような……。

 しかし今回、ある意味、トラウマに近い感情を生んでしまうほど、大きなインパクトを与えるカレーを体験してしまったのだ!!

 甲府市内の狭い路地をナビを頼りにクルマで進んで行くと、突然、燦然と輝く古民家風の「めし屋」が現れた。まだ夕方の5時過ぎだというのに、狭い駐車場は満車に近い。最後の1台分のスペースにクルマを駐め、店に入ると、駐車場とは逆に店内は広々していた。

 カウンター席とテーブル席があり、筆者は丸太椅子が並ぶカウンター席に腰掛けた。メニューを開くと、そこには美味しそうな文字が並んでいる。生唾を飲み込み、その中から筆者が選んだのは、“チキンカツカレー”だった。豚ロースほど重くなく、それでいて肉感が楽しめ、さらにカレーライスも一度に味わえる、至極の逸品と言っていい日本固有のグルメであろう。

 メニューを見ながら、チラッと隣の男性客が食べてる皿を覗くと、どうやら同じものを食べている様子。すでに残り少なくなってはいるが、都会風の細身の男性客は、カレーが辛いのか、ひと口ひと口、ゆっくりとスプーンを口に運んでいるのだった。

 おばあちゃん店員さんにチキンカツカレーを注文してから店内を見回すと、カウンターの中には、たくさんのサイン色紙が飾られていることに気づいた。そして目の前には、大きく「チキンカツカレー」と書かれた白い紙が貼られている。ということは、店の名物かお勧めメニューに違いない。さすが、チキンカツカレーである。

 さて、どんな名物料理が運ばれて来るのかと楽しみに待っていると、やがて目の前にUFOのように着皿したチキンカツカレーは、想像を絶する風貌を呈していた!!

 想像してほしい。筆者の手は、男性としては大きくも小さくもないミドルサイズ。その掌の大きさから、このチキンカツカレーの量を! 軽く3人前くらいはありそうだ。

 しかも、皿に乗っているのは、カレーと超大盛りのライスだけでなく、これまた特大サイズの鶏もも肉のカツとキャベツの千切り、揚げナス、トマト2切れ、レタスにスイカと、まるでオードブルとメインディッシュ、それにデザートまでが一緒くたにワンプレートで登場したのだ!

「料理とは心とお腹を幸せにする物語である」

 という類の言葉を聞いたことがある。序章から始まって物語の軸を示し、徐々に盛り上げてからまとめへと展開していく。

 しかし、このチキンカツカレーは、どう見ても最初にオチがついてしまっている、いわゆる“出オチ”というヤツだ。

 もちろん、注文して出された以上、見て見ぬふりはできない。美味しいストーリーを満喫しようと、スプーンを手に取ったとき、なぜかもうひとつスプーンが乗っているのに気がついた。

「なんだ、やっぱり普通は2人で食べるメニューなんじゃん」

 と、ふたつめのスプーンを手に取ると、それはスプーンではなくフォーク。なるほど、大きなチキンカツは、スプーンでは食べにくいのでフォークが付き添いというわけか……。

 まずは前菜のキャベツの千切りとトマトから物語はスタートした。そこから揚げナスへと続き、メインのチキンカツとカレーライスに取り掛かる。

 ざっくりしっとりとした食感のチキンカツは、もも肉なので適度な脂もあり、プリプリ感とカレーソースで非常においしく、食べ応えもある。

 しかし、そのチキンカツをほぼ食べ終えたところで、すでに腹八分目。カレーとライスは丸々残っているのだ。これをすべて食べるのかと思うと、思わずため息が出てしまった。

 カレーライスをスプーンにすくい、ひと口ひと口食べている時、ハッと気がついた。さっき、隣で食べていた男性は、カレーが辛くてゆっくりだったのではなく、お腹いっぱいでゆっくりしか食べられなかったのだと……。

 胃袋も拡張しきり、半ば諦めかけたその時、後ろのテーブル席から「ワーッ!!」という、歓声とも驚愕とも取れる声が上がった。振り返ると、初老の男女4人の席に運ばれて来たのは、ラーメン丼から、具がすでに溢れてこぼれ落ちている大盛りの中華丼だった。

「スゴーイ!!」

 喜ぶ女性客、困惑する男性客。その表情はまんま、「他人事」と「自己責任」の現れだった。

 自己責任においては、筆者もまるきり同じ状況である。4分の1ほどカレーとライスを残した状態で、すでに腹15分目程。スプーンを持つ手がピクリともしない。己の限界を知った瞬間だった。

 残してしまったことをご主人に謝って店を出たが、そのあとは苦しくて何をする気にもなれなかった。腹ごなしに甲府の歓楽街・裏春日をブラついても、バーで甲府名産のワインを飲む気にもなれずの寂しい夜となってしまうのだった。

 教訓、「おせちもいいけどカレーもね」に惑わされず、「カレーもいいけど大盛りはね……」飲み過ぎ、食べ過ぎに気をつける一年にすべし、というところだろう。

 チキンカツカレー、うま苦しかったです……。

甲府 ぼんち「チキンカツカレー」1050円

SNS映え  ☆☆☆!!
味     ☆☆☆
満足度   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

 

 

 

 

 

 

【画像アリ】ゲテモノを超えた本物のグルメ! 信州では当たり前の昆虫食が集結した「大昆蟲食博」

 昆虫食は、ゲテモノ食い? いやいや、昆虫は美味いのだ。

 単なる怖いもの見たさを超えた本気の昆虫食を展示する「大昆蟲食博」が、長野県伊那市にある市立伊那市創造館で来年5月7日まで開催されている。

 この伊那市というのは、日本でも有数の昆虫食文化が存在する地域。中でも知られるのが、ざざ虫である。ざざ虫とはトビケラ、カワゲラ、ヘビトンボといった川に住む虫の総称。冬になると伊那市周辺の天竜川では、ざざ虫を捕るざざ虫漁が現在も盛んに行われている。「虫踏み」というこの漁法は、河原の石を集めて、鉄製のかんじきでイモを洗うように踏むもの。すると、石の裏についている虫が流れて、網にひっかかるのだ。この地方では、冬の風物詩となっている。

 そうして捕れた虫は、主に佃煮にして食べられる。なぜ佃煮にするのか? その理由を案内してくれた地元のざざ虫博士・牧田豊さんは語る。

「佃煮は作るのも簡単だし、保存がしやすいのが理由でしょう。ただ、佃煮は今でこそ砂糖を使って甘辛く味付けしていますが、昔は砂糖を使わず、もっとしょっぱかったはずです」

 

 牧田さんによれば、ざざ虫を食べる文化は伊那地方だけでなく各地に存在していた。その中で“伊那=昆虫食”のイメージができたのは、大正時代に創業した「かねまん(2011年に閉店)」の存在が大きいという。同店では、ざざ虫の佃煮をお土産などとして販売していた。それは次第に珍味として知られるようになり、東京の料亭などでも販売されるようになった。

 つまり、自家消費だけでなく産業となったことで残ったのだという。

 ただ、それによって、食べられる虫にも変化が起きた。前述のように、ざざ虫とは川に住む虫の総称。その中でもトビケラなどの小さい虫のほうが、メジャーなざざ虫となったのである。

「本当に美味しいのは、孫太郎虫(ヘビトンボの幼虫)。小指くらいのサイズがあるので、しっかりと食べている感じを味わえます。ただ、そんな大きさのためか、佃煮にするとグロいので、販売されているものには使われていません」

 そう聞くと、逆に食べてみたい。そこで、どこに行けば食べられるのかを聞いてみると……。

「う~ん、地元の漁師さんにお願いするしか……」

 この企画展を立案した館長の捧(ささげ)剛太さんも、やはり昆虫食を探求中。この企画に当たっては「カンボジアで売っているタランチュラのフライを買ってきてもらって食べたのですが、美味い!!」という。その探究心はとどまるところを知らず、現在、毎日のように「ざざ虫のピザ」「イナゴとざざ虫と蜂の子のパスタ」「虫の軍艦巻き」などの新メニューを考案中だ。

 これからの時代。虫はメジャーな食べ物になっていくのか?

 なお来年3月には、昆虫食に詳しい人々を招き、講演を兼ねた実食会も予定されている。
(文=昼間たかし)

 

【画像アリ】ゲテモノを超えた本物のグルメ! 信州では当たり前の昆虫食が集結した「大昆蟲食博」

 昆虫食は、ゲテモノ食い? いやいや、昆虫は美味いのだ。

 単なる怖いもの見たさを超えた本気の昆虫食を展示する「大昆蟲食博」が、長野県伊那市にある市立伊那市創造館で来年5月7日まで開催されている。

 この伊那市というのは、日本でも有数の昆虫食文化が存在する地域。中でも知られるのが、ざざ虫である。ざざ虫とはトビケラ、カワゲラ、ヘビトンボといった川に住む虫の総称。冬になると伊那市周辺の天竜川では、ざざ虫を捕るざざ虫漁が現在も盛んに行われている。「虫踏み」というこの漁法は、河原の石を集めて、鉄製のかんじきでイモを洗うように踏むもの。すると、石の裏についている虫が流れて、網にひっかかるのだ。この地方では、冬の風物詩となっている。

 そうして捕れた虫は、主に佃煮にして食べられる。なぜ佃煮にするのか? その理由を案内してくれた地元のざざ虫博士・牧田豊さんは語る。

「佃煮は作るのも簡単だし、保存がしやすいのが理由でしょう。ただ、佃煮は今でこそ砂糖を使って甘辛く味付けしていますが、昔は砂糖を使わず、もっとしょっぱかったはずです」

 

 牧田さんによれば、ざざ虫を食べる文化は伊那地方だけでなく各地に存在していた。その中で“伊那=昆虫食”のイメージができたのは、大正時代に創業した「かねまん(2011年に閉店)」の存在が大きいという。同店では、ざざ虫の佃煮をお土産などとして販売していた。それは次第に珍味として知られるようになり、東京の料亭などでも販売されるようになった。

 つまり、自家消費だけでなく産業となったことで残ったのだという。

 ただ、それによって、食べられる虫にも変化が起きた。前述のように、ざざ虫とは川に住む虫の総称。その中でもトビケラなどの小さい虫のほうが、メジャーなざざ虫となったのである。

「本当に美味しいのは、孫太郎虫(ヘビトンボの幼虫)。小指くらいのサイズがあるので、しっかりと食べている感じを味わえます。ただ、そんな大きさのためか、佃煮にするとグロいので、販売されているものには使われていません」

 そう聞くと、逆に食べてみたい。そこで、どこに行けば食べられるのかを聞いてみると……。

「う~ん、地元の漁師さんにお願いするしか……」

 この企画展を立案した館長の捧(ささげ)剛太さんも、やはり昆虫食を探求中。この企画に当たっては「カンボジアで売っているタランチュラのフライを買ってきてもらって食べたのですが、美味い!!」という。その探究心はとどまるところを知らず、現在、毎日のように「ざざ虫のピザ」「イナゴとざざ虫と蜂の子のパスタ」「虫の軍艦巻き」などの新メニューを考案中だ。

 これからの時代。虫はメジャーな食べ物になっていくのか?

 なお来年3月には、昆虫食に詳しい人々を招き、講演を兼ねた実食会も予定されている。
(文=昼間たかし)

 

どう食えばいいんだ……サンドイッチなのにサンドできないサンドイッチ

 飽食から美食の時代に変わったニッポングルメ。ラーメン屋だってカレー屋だってパン屋だって、おいしくて当然! でも、舌だけじゃなくて目でも楽しめたら、もっとおいしくないか!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメでお願いしますぅ~。

 パストラミビーフサンド頼んだのに、ぜ~んぜんサンドされてないんだよ~~!!

 しかもだよ、薄く削ぎ落とされた牛肉は半生で柔らかくて、頬張ると香ばしい燻製の香りが口の中いっぱいに漂うんだよ。これって、サンドイッチの領域じゃないよね。まるで高級料理だよ!

 それにパンも、レンガみたいに分厚いのに、赤ちゃんのお尻みたいにしっとりフッカフカ。香ばしいビーフとぴったりなんだよ。もう、写真撮ってるのによだれが口の中に溢れてたまらないよ!

 よだれをゴクッと飲み込んで肉をよけてみたら、ようやくサンドイッチっぽいのがあらわれたんだよね。

 それでもだよ、大きすぎて柔らかすぎて大盛りすぎて、片手で持つのもたいへ~ん! 両手で持ったらインスタに上げる写メも撮れね~し……。

 どうしようかと思ってコーヒー一口飲んで店内見回したらこれですよ。壁といい天井といい、絵とポスターだらけでメルヘンな雰囲気。どおりでお客さんは女子ばかり。オレの他にひとりだけいたおっさん客は、口のまわりをタマゴサラダだらけにしてるし……。

 そう、どうやらこの店、タマゴサンドも人気で、女子客さんのほとんどがタマゴサンドをパクついてるんだよ。あ~あ、オレもパストラミじゃなくてタマゴサンドにすればよかったかな~って思ったら、お持ち帰り用のがひとつだけ残ってるっていうんだよ。買ったよね。

 ってか、パストラミビーフサンドの方も一つは食べたけど、もう一つは食べきれなくて途方にくれてたら、優しい店員さんがお持ち帰り用のパックを持ってきてくれたんだよ。常連でもないのになんだよこの親切さは。横に置いてあるステープラーは、パックが開かないように止めるんだってさ。

 でさ、ウチに帰ってからタマゴサンド開けてみたらまたしてもこれだよ。パン、ほとんど見えねーし。

 で、うまいのかって? ったありめーだろ! 東銀座の歌舞伎座の裏っかわで35年間サンドイッチ作ってんだぞ。歌舞伎役者さんご用達だぞ。喫茶店なのにランチには行列ができるんだぞ。なのに、お持ち帰り用のタマゴサンドがたったの300円って信じられっか?

 もう、今後銀座でサンドイッチ食べたくなったらここ以外行かねーよ! 店主さん、「東京オリンピックまでガンバる」なんて言わねーで、その次の次の次のオリンピックまで頑張ってくれよな。

 パストラミビーフサンド&タマゴサンド、うもうございました……。

東銀座 喫茶アメリカン 「パストラミビーフサンド」600円

SNS映え  ☆☆☆!
味     ☆☆☆
雰囲気   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

どう食えばいいんだ……サンドイッチなのにサンドできないサンドイッチ

 飽食から美食の時代に変わったニッポングルメ。ラーメン屋だってカレー屋だってパン屋だって、おいしくて当然! でも、舌だけじゃなくて目でも楽しめたら、もっとおいしくないか!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメでお願いしますぅ~。

 パストラミビーフサンド頼んだのに、ぜ~んぜんサンドされてないんだよ~~!!

 しかもだよ、薄く削ぎ落とされた牛肉は半生で柔らかくて、頬張ると香ばしい燻製の香りが口の中いっぱいに漂うんだよ。これって、サンドイッチの領域じゃないよね。まるで高級料理だよ!

 それにパンも、レンガみたいに分厚いのに、赤ちゃんのお尻みたいにしっとりフッカフカ。香ばしいビーフとぴったりなんだよ。もう、写真撮ってるのによだれが口の中に溢れてたまらないよ!

 よだれをゴクッと飲み込んで肉をよけてみたら、ようやくサンドイッチっぽいのがあらわれたんだよね。

 それでもだよ、大きすぎて柔らかすぎて大盛りすぎて、片手で持つのもたいへ~ん! 両手で持ったらインスタに上げる写メも撮れね~し……。

 どうしようかと思ってコーヒー一口飲んで店内見回したらこれですよ。壁といい天井といい、絵とポスターだらけでメルヘンな雰囲気。どおりでお客さんは女子ばかり。オレの他にひとりだけいたおっさん客は、口のまわりをタマゴサラダだらけにしてるし……。

 そう、どうやらこの店、タマゴサンドも人気で、女子客さんのほとんどがタマゴサンドをパクついてるんだよ。あ~あ、オレもパストラミじゃなくてタマゴサンドにすればよかったかな~って思ったら、お持ち帰り用のがひとつだけ残ってるっていうんだよ。買ったよね。

 ってか、パストラミビーフサンドの方も一つは食べたけど、もう一つは食べきれなくて途方にくれてたら、優しい店員さんがお持ち帰り用のパックを持ってきてくれたんだよ。常連でもないのになんだよこの親切さは。横に置いてあるステープラーは、パックが開かないように止めるんだってさ。

 でさ、ウチに帰ってからタマゴサンド開けてみたらまたしてもこれだよ。パン、ほとんど見えねーし。

 で、うまいのかって? ったありめーだろ! 東銀座の歌舞伎座の裏っかわで35年間サンドイッチ作ってんだぞ。歌舞伎役者さんご用達だぞ。喫茶店なのにランチには行列ができるんだぞ。なのに、お持ち帰り用のタマゴサンドがたったの300円って信じられっか?

 もう、今後銀座でサンドイッチ食べたくなったらここ以外行かねーよ! 店主さん、「東京オリンピックまでガンバる」なんて言わねーで、その次の次の次のオリンピックまで頑張ってくれよな。

 パストラミビーフサンド&タマゴサンド、うもうございました……。

東銀座 喫茶アメリカン 「パストラミビーフサンド」600円

SNS映え  ☆☆☆!
味     ☆☆☆
雰囲気   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

計算づくのマリアージュ『ちらし鮨みたいなまぜ麺』

 

 飽食から美食の時代に変わったニッポン。ラーメン屋だってカレー屋だってパン屋だって、おいしくて当然! でも、舌だけじゃなくて目でも楽しめたら、もっとおいしくないか!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメでいいですぅ~。

 

 

 湘南にも近い藤沢で、美味しいと評判のラーメン店に、変わり種ラーメンがあるらしい。そう聞けば、名物の「しらす」を何かしらアレンジしているかと思うだろう。だが、目の前に着丼したのは、今まで見たことも聞いたこともないラーメンだった!

「ラーメン、つけ麺、僕イケメン」って、最近元気のない某芸人は言ってたけど、これはナニ麺に入るのだろうか?

 店構えからして「ザ・寿司屋」という雰囲気の店に入ると、店内にはL字型のカウンターと小上がりが。もはや、元寿司店というのは明らかで、以前、カウンターの上にあったであろうガラスのネタケースは、モザイクタイルと白木のカウンターにリニューアルされている。

 グルメな方なら、看板メニューの鮮魚出汁や鶏出汁のラーメンを頼むのだろうが、この企画はそっちじゃない。小さな券売機で買ったのは、「ちらし麺・竹」のチケットだった。果たしてどんなユニークラーメンが現れるのか……。

 

 

 ま、おおよその見当はついてましたよ。だって、「ちらし麺」てくらいだから。

 にしても、いくら元寿司屋だからって、「中華麺とのマリアージュはどうなの?」ってのが正直な感想だ。

「よく混ぜて食べてください」

 店主にそう言われ、普通のラーメンならまずはスープからズズッと行くところ、何が入っているのか具材の調査から開始した。

 最初に目に入ったのは、半分に切られた煮玉子。半熟よりは固めだ。

 

 その下にあるのは白ゴマの乗った細切りの油揚げ。だし汁が染みている。

 

 その下には、鮮やかなオレンジ色に染まった、とびっこが。

 

 そして、9時の方向にたっぷり盛られているのは、マグロの中落ち。こりゃうまそうだ。その他、つくねにネギ、海藻が乗っかっているその下にあったのは……、

 

 しらすでも酢飯でもなく、ちゃんと中華麺が隠れていた。

 綺麗に盛り付けられた麺を、店主が言う通り、丼の下にあるタレを持ち上げるように、よく混ぜ、混ぜ、混ぜると、中落ちもとびっこも海苔も一緒くたに麺に絡まってくる。

 

 

「これって、果たしてうまいのか?」

 中落ちは中落ち、麺は麺で食べた方が良かったかもと一瞬後悔した。しかし、創作者の意思を尊重して、ひと箸口に運んでみると……。

「あれ、おいしいじゃん」

 ピーナツの香り漂うオイルと、甘くてしょっぱくて少し酸っぱい絶妙なタレが麺と具材といい感じに混ざり合い、かなりうまいのだ!

「このマリアージュ、失敗じゃね?」

 と思っていたが、結果、大成功。冷やし中華とも違う、和風の魚介まぜ麺で、特に、麺に絡みついたとびっこの食感がバツグン! コリコリカリカリと奥歯から軽やかな音楽が聞こえてくるようだ。

「松」にはその日次第で刺身やホタテが入るようだが、筆者は竹で十分、ちらし麺は楽しめると感じた。次回はぜひ、企画は抜きにして温かいラーメンを食べに来てみたい。ちらし麺、うもうございました。

 

藤沢 鮮魚鶏出汁麺 沢むら 「ちらし麺 竹」900円

SNS映え  ☆☆
味     ☆☆☆
雰囲気   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

計算づくのマリアージュ『ちらし鮨みたいなまぜ麺』

 

 飽食から美食の時代に変わったニッポン。ラーメン屋だってカレー屋だってパン屋だって、おいしくて当然! でも、舌だけじゃなくて目でも楽しめたら、もっとおいしくないか!? そんな変なグルメ、おもしろグルメを探訪する! B級グルメなんて恐れ多い。珍級グルメでいいですぅ~。

 

 

 湘南にも近い藤沢で、美味しいと評判のラーメン店に、変わり種ラーメンがあるらしい。そう聞けば、名物の「しらす」を何かしらアレンジしているかと思うだろう。だが、目の前に着丼したのは、今まで見たことも聞いたこともないラーメンだった!

「ラーメン、つけ麺、僕イケメン」って、最近元気のない某芸人は言ってたけど、これはナニ麺に入るのだろうか?

 店構えからして「ザ・寿司屋」という雰囲気の店に入ると、店内にはL字型のカウンターと小上がりが。もはや、元寿司店というのは明らかで、以前、カウンターの上にあったであろうガラスのネタケースは、モザイクタイルと白木のカウンターにリニューアルされている。

 グルメな方なら、看板メニューの鮮魚出汁や鶏出汁のラーメンを頼むのだろうが、この企画はそっちじゃない。小さな券売機で買ったのは、「ちらし麺・竹」のチケットだった。果たしてどんなユニークラーメンが現れるのか……。

 

 

 ま、おおよその見当はついてましたよ。だって、「ちらし麺」てくらいだから。

 にしても、いくら元寿司屋だからって、「中華麺とのマリアージュはどうなの?」ってのが正直な感想だ。

「よく混ぜて食べてください」

 店主にそう言われ、普通のラーメンならまずはスープからズズッと行くところ、何が入っているのか具材の調査から開始した。

 最初に目に入ったのは、半分に切られた煮玉子。半熟よりは固めだ。

 

 その下にあるのは白ゴマの乗った細切りの油揚げ。だし汁が染みている。

 

 その下には、鮮やかなオレンジ色に染まった、とびっこが。

 

 そして、9時の方向にたっぷり盛られているのは、マグロの中落ち。こりゃうまそうだ。その他、つくねにネギ、海藻が乗っかっているその下にあったのは……、

 

 しらすでも酢飯でもなく、ちゃんと中華麺が隠れていた。

 綺麗に盛り付けられた麺を、店主が言う通り、丼の下にあるタレを持ち上げるように、よく混ぜ、混ぜ、混ぜると、中落ちもとびっこも海苔も一緒くたに麺に絡まってくる。

 

 

「これって、果たしてうまいのか?」

 中落ちは中落ち、麺は麺で食べた方が良かったかもと一瞬後悔した。しかし、創作者の意思を尊重して、ひと箸口に運んでみると……。

「あれ、おいしいじゃん」

 ピーナツの香り漂うオイルと、甘くてしょっぱくて少し酸っぱい絶妙なタレが麺と具材といい感じに混ざり合い、かなりうまいのだ!

「このマリアージュ、失敗じゃね?」

 と思っていたが、結果、大成功。冷やし中華とも違う、和風の魚介まぜ麺で、特に、麺に絡みついたとびっこの食感がバツグン! コリコリカリカリと奥歯から軽やかな音楽が聞こえてくるようだ。

「松」にはその日次第で刺身やホタテが入るようだが、筆者は竹で十分、ちらし麺は楽しめると感じた。次回はぜひ、企画は抜きにして温かいラーメンを食べに来てみたい。ちらし麺、うもうございました。

 

藤沢 鮮魚鶏出汁麺 沢むら 「ちらし麺 竹」900円

SNS映え  ☆☆
味     ☆☆☆
雰囲気   ☆☆☆

(写真・文=よしよし)

食の価格破壊に驚く!! 県庁所在地なのに寂れている街・秋田と「ドジャース食堂」の真実

 東京を起点に見ると、秋田はたどり着くのも一苦労な街である。

 まず、交通手段は限られていて、高額だ。新幹線なら通常運賃は1万7,800円。購入日によって値段の上下がある飛行機の平均価格と、ほぼイコール。金券ショップで購入すれば、幾分かは安くなるが、それでも割高感は否めない。

 今や、北海道や沖縄、あるいは、近隣の海外へ出かけるよりも、秋田に行くほうがお金がかかるという、奇妙な状況である。確かに、安く済ませようと思ったら手段はある。深夜の高速バスがそれだ。ただし、翌日は身体がほとんど使い物にならなくなるわけだが……。

 今回、ある取材のために乗った土曜日の秋田新幹線・こまち。驚いたことに、座席は満席であった。でも、それは秋田は秋田でも、秋田市に行く人々ではない。

 盛岡駅で東北新幹線と切り離された後、秋田駅へと走る新幹線。田沢湖駅・角館駅と、続々と乗客は降りていく。

 大曲駅を過ぎ、いよいよ次は秋田駅となると、満席だった車内はガラガラである。

 それはもちろん、飛行機を利用している人もいるからだろうが、秋田市は、県庁所在地ながら、特に用事のない街となっているようだ。

 そんな魅力のなさそうな秋田市。確かに、駅前にも人の数は少ない。ちょうど、駅周辺の繁華街ではイベントが開催されてにぎわっていた。そのにぎわいも、決して目を見張るようなものではない。商店や百貨店などを見ても、とにかく客の姿が見えないのである。

 

 もう、何年にもわたって「県庁所在地なのに寂れている」と揶揄される秋田市。確かに、ほかの地域からわざわざ訪れるような魅力は少ない。田沢湖のような観光地に比べると、圧倒的に見るべきものがないのだ。

 

 駅近くには、藩主・佐竹氏の居城であった久保田城がある。公園になった城跡は、市民の憩いの場になっている。けれども、わざわざ見に来るものかといえば、魅力には乏しい。秋田には、ほかにも秋田城という名城がある。こちらは、奈良時代に作られた古代の城柵。むしろ、こっちのほうが歴史的な価値がありそうだけど、残念なことに市街地からは、随分と遠い。

 そんな、なんだかネガティブな雰囲気ばかりの秋田市。でも、今回一日歩いてみて、思った。

「何もない、寂れていると聞いてはきたが、やたらと栄えているではあるまいか!」

 

 まず、おっ!! と思ったのが、久保田城の前に秋田名物の「ババヘラアイス」の露店が出ていること。多くは街道沿いで、車で移動する客相手と聞いていた。ここの露店は、要は観光客目当てというわけだが、それにしても地元名物が200円という商売っ気のなさには、呆れながらも興奮する。

 

 実は、あまり知られていないが、秋田市というところは食の価格破壊がやたらと目立つ街である。スーパーに入ってみても、総菜コーナーがやたらと安い。とりわけ、パック寿司は東京のスーパーにあるものに比べると雲泥の差。よくもまあ、こんなネタを500円台で……。しかも、閉店近くなると半額とかで売っているのだ。

 そんな秋田市内の食の価格破壊の象徴が、秋田駅東口から徒歩5分くらいのところにある「ドジャース食堂」である。

 この食堂に一歩足を踏み入れた時、筆者は思った。近所にあるなら、住める……と。

 

 ここ、名前の通り食堂である。メニューは、一番安いもので550円。高いもので700円程度。ラーメンからトンカツなどなど、食堂らしくメニューは豊富である。

 そして、食堂の中には高校生や大学生がいっぱい。その理由は明白である。ここ、ごはん・味噌汁・コーヒーが、おかわり自由の食堂なのである。

 しかも、おかわり自由の幅が広い。たいていの地域では、「おかわり自由」と書かれていても、「丼物は除く」などとあるもの。でも、ここは違う。様子を見ていると、カツ丼か何かを注文した若者が、途中から茶碗に、ご飯を山盛りでついできて、丼に追加している。別の若者は、チャーハンと唐揚げを注文。チャーハンを食べた後で、大盛りごはんで、唐揚げを食べ始めるではないか!!

 なんとも、食うには困らない街。さすが、米どころ。それが秋田の真実だった。

 

 なお、腹ごなしがてらに、大鵬の奥さんの実家であるお菓子屋の二階にある「東海林太郎記念館」は、ぜひ訪れておきたいスポット。懐メロが流れ続ける館内で、ほぼマンツーマンで相手してくれるぞ。ええ、秋田の人は基本的に親切だった。
(文=昼間たかし)