“演技派”ジャニーズの原点! 演劇界の鬼才・蜷川幸雄氏の指導を受けた8人の演技論を収めたフォトレポート!

 『松本潤』『二宮和也』『亀梨和也』『上田竜也』『木村拓哉』『森田剛』『岡田准一』『生田斗真』。
 演劇界の鬼才・蜷川幸雄氏の厳しい指導のもと、俳優として花開いた“演技派”ジャニーズアイドル。
 エンターテインメント界のメインストリームを疾走する8人の蜷川“遺産”を大特集!

・松本潤:04P~
・二宮和也:22P~
・亀梨和也:40P~
・上田竜也:50P~
・木村拓哉:60P~
・森田剛:70P~
・岡田准一:80P~
・生田斗真:88P~

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あの入院シーンもオマージュだった? 極私的・HiGH&LOWと観たいアジア映画

――生コンを飲まされるコブラの画像が公開されたとき、その衝撃と共に話題になったのは、このシーンが韓国映画『新しき世界』のワンシーンに似ていることだった。同作をはじめ、アジア映画を愛して20年超のライター・西森路代氏が、ハイローと一緒に観たい“極私的”アジア映画を語る。

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衝撃の生コンシーンもアジア映画のオマージュか?(You Tube「HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION」 予告編 60秒verより)

『HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION』(以下、『FINAL MISSION』)の公開前、コブラが吊るされ、“生コン”を飲まされている場面写真が公開され、多くの人の度肝を抜いた。同時に、この場面が韓国映画『新しき世界』(2014/以下、すべて日本公開年)のワンシーンを思わせるというのも話題になった。これをきっかけに、同作を観たというハイローファンもいるのではないだろうか。

 かく言う私は公開当時、『新しき世界』にドハマりし、ツイッターのスクリーンネームで「新しき西森路代」と名乗っていた。当時は同じように「新しき」を名乗るファンが何人もいたのだ。ここにきて、そんな自分にとっての特別な映画と、現在ドハマりしている『HiGH&LOW』がつながったのはうれしかった。同時に、今まで20年以上も香港映画を観てきたこと、アジア各国のアウトローを描いたアクション作品が好きだった自分をさらに肯定できる気がして、胸が熱くなったものだ。私のほかにも、形は違えどそんな人はいるのではないだろうか。

『新しき世界』で“セメント”のシーンが出てくるのは冒頭だ。組織の中に“警察のイヌ”がいると判明し、疑惑をかけられた構成員がセメントを飲まされ、その後、ドラム缶に入れられたまま海に放り込まれて、その構成員は映画から退場する。ちなみに、『新しき世界』のファンは「生コン」ではなく「セメント」と言う。『HiGH&LOW』ファンの間では「生コン」という名称が定着したようなので、以下からはそう書く(『FINAL MISSION』の劇中でも「できたぞ、セメント」というセリフがあるので、やはりあれは「セメント」なのではないかと思いつつ……)。

『FINAL MISSION』で“生コン”を飲まされるのは、末端のキャラクターではなく、「全員主役」といわれる同シリーズの中でも主役中の主役であるコブラである。「生コンなんか飲んだら、食道や内臓の粘膜やられて、いくらコブラでも動けないよ!」と思ったら、そこはうまいこと展開してくれていてほっとした。

 さて、『HiGH&LOW』シリーズを見ていると、『新しき世界』以外にも「この映画へのオマージュなんだろうか」と思う作品がいくつも思い浮かぶ。本稿では、そうした作品をはじめ、『HiGH&LOW』とあわせて観ると楽しめるアジア映画を、個人的な視点で紹介していきたい。

琥珀&九十九の入院シーンもアジア映画へのオマージュか?

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『インファナル・アフェア』

 そもそも、『新しき世界』もまた、ある映画へのオマージュだといっても過言ではない。その映画とは、香港で制作された『インファナル・アフェア』(03〜)シリーズだ。アメリカでも『ディパーテッド』(07)というタイトルでリメイクされ、日本でも、西島秀俊&香川照之のコンビで『ダブルフェイス』(17年/TBS)というタイトルでドラマ化されたため、知名度は高いだろう。

『インファナル・アフェア』は、警察官が黒社会に潜入し、また黒社会の若い構成員が警察学校を卒業してそのまま警察官となって警察組織に潜入しているという二重の潜入捜査ものである。こうした斬新な設定は、その後の作品に影響を与えた。『新しき世界』もそのひとつである。

『インファナル・アフェア』の原題は『無間道』。これは「一度足を踏み入れたら戻ることのできない無限に続く地獄」を意味しているという。とすると、それにインスパイアを受けているだろう『新しき世界』のタイトルは、「無限に続く地獄への新しき世界が開けてしまった」という解釈もできる。『インファナル・アフェア』のアンディ・ラウ演じるラウ(警察に潜入したヤクザ)と、『新しき世界』のイ・ジョンジェ演じるジャソン(ヤクザに潜入した警察官)は、両物語の最後に“同じ景色”を見るのだ(ひとつの到達点にたどり着くとでも言えばいいだろうか。両作品の最後の最後のネタバレになるため、これくらいの表現に留めておきたい)。

 タランティーノが、チョウ・ユンファ主演の香港映画『友は風の彼方に』(91)からインスパイアされて『レザボア・ドッグス』(93)を作ったというのは、ファンの間では有名な話である。『新しき世界』もまた、『インファナル・アフェア』を見て、シーンを取り入れたり、物語を深く解釈して、ときにはキャラクターの立ち位置を反転させたり、ストーリーのどんでん返しの技を駆使したりしながら、新たなものとして作り出した作品であると感じるのだ。

 少し横道にそれるが、『HiGH&LOW THE MOVIE』には、『友は風の彼方に』を思い起こさせるシーンもある。『友は風の彼方に』は、チョウ・ユンファ演じる潜入捜査官が、ダニー・リー演じる裏組織の人間に、本来ならば感じてはいけない友情を抱いてしまうことが物語の肝になっているのだが、この二人が強盗決行前夜に隣り合ったベッドで横になりながら、語り合うシーンがある。このシチュエーションは、九十九と琥珀が共に入院して隣り合って寝ている回想シーンに重なって見える(カーテンは隔ててはいるが)。しかも、右側に寝ているチョウ・ユンファ演じる潜入捜査官は過去に大切な仲間を亡くした経験があり、そのことで苦しんでいる。そして今、絆を深めつつあるのが左で寝ているダニー・リー演じる裏組織の人間なのだ。『HiGH&LOW』では、回想シーンで右側に寝ていた琥珀が、現在は龍也という存在を失って苦しみ、左にいた九十九が相棒となりつつあるという点でも、このシーンは重なっているのだ。そもそも、『友は風の彼方に』は、その後の潜入捜査ものや男同士の絆を描いた作品のルーツになる映画でもあるから、『HiGH&LOW』に影響を与えていることは考えられなくもない。

悪人はゴルフクラブを握り打ってはいけない場所で打つ

 話を戻そう。『インファナル・アフェア』は、設定以外にもさまざまな面で後続の作品に影響を与えている。『インファナル・アフェア』には、潜入捜査官と刑事が屋上で落ち合うシーンがあるが、本作が公開されて以降、ドラマや映画で男二人が密会するシーンでは屋上が使われることが格段に増えた気がする。また、屋上からアンディ・ラウ演じるラウ刑事がゴルフの打ちっぱなしをするシーンは、まさに『FINAL MISSION』でもオマージュされている。

 考えてみれば、屋上から市街地に向かってゴルフの打ちっぱなしをしたら、地上を歩く人間に当たって死者が出るような危険な行為のはずだ。したがってこれは悪のメタファーでもある。屋上でゴルフをするような人は、物語の中では悪人なのだ。『FINAL MISSION』でも、屋上でゴルフに興じていたのは、無名街の秘密を隠蔽しようとする汚職にまみれた警察官僚や政治家、九龍の面々であった。

 さらに、『新しき世界』でも、ゴルフクラブを握るのは悪人だった。同作では屋上ではなく、建設途中のビルのワンフロアから、空中へとボールを打ちっぱなす。打っているのは、黒社会の組織の大物であり、非情な手段を使ってでも権力を握ろうとしている悪=イ・ジュング(パク・ソンウン)であった。悪とわかっていても、ジュングがゴルフクラブを持つ姿はなんともゾクゾクするものがある。彼がボールを打つと、周りの太鼓持ちの構成員から「ナイスショット!」と媚び媚びの声がかかるのだが、『FINAL MISSION』でも、岸谷五朗演じる善信にこの媚びた「ナイスショット!」の声がかかる。ここでジュングと善信(そもそもこんな悪人が「善を信じる」という名前なのが皮肉だが……)がつながるのである。やはり『インファナル・アフェア』は『新しき世界』に影響を与え、『新しき世界』は『HiGH&LOW』に影響を与えているのである。

「立ち上がる人々」を描くジャッキーのダーク作品

『FINAL MISSION』では、SWORDが窮地に陥ってどん底の状態になり、そこからコブラたちが這い上がる姿が描かれている。劇中では、コブラが生コンを飲まされている姿とシンクロするように、SWORDの面々が九龍の手によって瀕死の状態にさらされている場面が映る。鬼邪高校やWhite Rascalsのクラブ「heaven」、達磨一家の拠点は、火を放たれ人々は死んだように横たわっている。山王街では、天井の骨組みから人々が縄で縛られ吊るされていた。

 このシーンは、SWORDが九龍によって最悪の状態に追い込まれたことを示す重要な場面である。「立ち上がるにも限度がある」というロッキーのセリフがこの状況を表しているが、ここまでのことをされたからこそ、コブラやSWORDの面々に再び立ち上がってほしいと観客に強く思わせることのできるシーンでもあるし、どん底のあとにこそカタルシスがある。そんなシーンを見て思い起こすのが、ジャッキー・チェン主演の『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(05)だ。

 本作は、ジャッキー・チェン映画の中でも、ダークな部類に入る作品である。ジャッキー演じる香港警察特捜班のチャン警部は、警察を混乱させて楽しむ凶悪な愉快犯たちの標的となる。チャン刑事を困らせるために、彼の部下たちは天井から吊るされる。両者がカンフーで手合わせをしてチャン警部がしくじるたびに、吊るされた部下たちはつながれた縄を切られ、その下にあるフェンスに激突して命を失ってしまうという、非常にやるせないシーンがあった。チャン警部はこの悲惨な経験から一時は自暴自棄にはなるが、そこから立ち上がるのだ。コブラたちのように。

『HiGH&LOW』がジャッキーの映画に影響を受けたのかどうかは、はっきりとはわからないが、一緒に観ると楽しめる一作としてこの『香港国際警察/NEW POLICE STORY』を推薦したい。『END OF SKY』と『FINAL MISSION』で監督を務めた中茎強氏も、インタビューで「『ロッキー』(1977)とか『グラディエーター』(00)のような、圧倒的に弱い立場のものが立ち上がっていきつつも、一番大事なものは身近な人たちだろっていう作品が好きだったんです」と語っている(東京ニュース通信社「CINEMA STARS vol.1」より)。立ち上がる人々を描いた作品は、『HiGH&LOW』を深掘りするのにふさわしいだろう。

 そもそも『HiGH&LOW』は当初から、アジア映画の影響の強さがよく指摘されていた。ドラマシリーズから監督を務めてきた久保茂昭監督は、韓国映画、香港映画好きを公言している。前出の「CINEMA STARS」のインタビューでも、ジャッキー・チェン、ドニー・イェン、ジェット・リーの名前がときおり挙がっていた。

 また、ロッキー役の黒木啓司や琥珀役のAKIRAらが所属するEXILE THE SECONDのドキュメンタリーで、楽屋に『新しき世界』ほか多くの韓国映画のDVDが積まれているのが、ファンの間で話題になったこともある。ノボル役を演じる町田啓太はインタビューで『友へ チング』『アジョシ』『悪魔を見た』『猟奇的な彼女』『哭声 コクソン』『お嬢さん』など、多くの韓国映画を観ていることを明かしている(ウェブマガジン「FILMAGA」17年8月15日掲載)。“達磨ベイビーズ”の雷太を演じるBOYS AND MENの田中俊介も、ブログでソル・ギョング作品や韓国のアクション映画監督、リュ・スンワンの『ベテラン』や『生き残るための3つの取引』が好きだと語っていた。私自身『HiGH&LOW』出演者への取材の中で、今年の春に公開された『アシュラ』や『哭声/コクソン』の名前を聞いたこともある。

 若手俳優、それも『HiGH&LOW』に出演するような俳優たちが憧れる世界観の映画は、韓国に多いということなのかもしれない。韓国映画では、男同士が緊迫した心理戦を繰り広げたり、アクションで魅せたり、どん底から立ち上がったりする作品が次から次へと生まれているのだから、当然と言えば当然である。

〝韓国のガンちゃん〟が〝達磨(?)サーフィン〟する快作

 今回の『FINAL MISSION』では、ほかにも韓国映画を思い起こす部分があった。『FINAL MISSION』は、腐敗した国家権力と九龍という組織にSWORDの面々が立ち向かう作品である。日本の昨今のメジャー作品では、権力と対峙する市民が描かれることはあまり多くないが、韓国には数多く見られる。特に近年では、イ・ビョンホン、チョ・スンウ主演の『インサイダーズ/内部者たち』(16)がこうしたテーマで大ヒットした。

 同作と『HiGH&LOW』にもまた、似たシーンが存在する。『END OF SKY』では、九龍の黒崎、カジノ推進法案担当大臣の篠原、警察官僚の波多野という3人が料亭で密談をしているシーンがあった。『インサイダーズ/内部者たち』では、腐敗した自動車会社社長や新聞記者の面々が料亭で密会するシーンがある。そこで行われるのは性接待であり、あの有名な“ちんゴル”(ビールなどを注いだコップの上に、強いお酒を入れたショットグラスを乗せ、男性器をゴルフクラブに見立ててショットしてショットグラスを下に落とし、混ぜて飲むことを一部のネットスラングでそう呼ぶようになった)が行われているのであるから、インパクトはデカい。

 だが『HiGH&LOW』も負けてはいない。『インサイダーズ』では隠蔽された事実をなんとかつきとめ、イ・ビョンホンがたくさんの報道陣に向けて告発するシーンがあるが、『FINAL MISSION』の告発のシーンは、政府主導の爆破セレモニーとの合わせ技であるから、こちらのインパクトもでかい。こうした荒唐無稽な発想こそが、『HiGH&LOW』を『HiGH&LOW』たらしめている場面なのではないかとも思える。今回の『FINAL MISSION』であれば、達磨一家の花火もそうしたシーンである。

 達磨一家は、『HiGH&LOW THE MOVIE』では日向がアメ車に箱乗りして観る者を面食らわせたし、『END OF SKY』では達磨サーフィンを披露。そして『FINAL MISSION』ではまた原点の箱乗りに戻ったかと思いきや、今度は車体自体が斜めになった状態で日向は登場した。

 達磨をはじめ、SWORDの面々がバイクや車で一堂に会するシーンは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)を思わせた。『HiGH&LOW』の久保監督が、『マッドマックス』(79)『マッドマックス2』(81)の影響を受けて作られたと言われている『爆裂都市 BURST CITY』(82)のファンを公言しているのも納得がいく。

『爆裂都市 BURST CITY』は、ザ・ロッカーズやザ・ルースターズ、スターリンなど、当時の若くてギラギラしていたバンドのメンバーたちが主演し、退廃的な架空の街にそんな若者たちが集まっている。映画に流れるアナーキーな部分に、久保監督は惹かれているのだというが、確かに『HiGH&LOW』も架空の都市が舞台で、若くてギラギラした今の俳優たちが出演し、ときにライブのシーンも挟み込まれる。

 架空の荒廃した街、ギラギラした男たち――アジア映画にも、そうした作品はもちろん存在する。チョン・ウソン、イ・ビョンホン、ソン・ガンホというビッグスターが共演した『グッド・バッド・ウィアード』(09)も、『HiGH&LOW』とあわせて観てほしい映画のひとつだ。

 本作の舞台は1930年の満州ではあるが、さまざまな民族がまじりあった無政府的な街が描かれているし、また『マッドマックス』のように、砂漠の中を進む列車やジープや馬などが出てくる。韓国のガンちゃんことソン・ガンホが、達磨サーフィンよろしく、ジープに縄でつかまって滑走する姿も見られるのだ。砂漠の中に存在する荒廃した街は、リトル・アジアのようでもあり、無名街のようでもある。日本軍の指揮官として、『HiGH&LOW THE MOVIE』で張を演じた白竜も出演している。

死んだ人がケロッと帰ってくる!『古惑仔』は香港版「ハイロー」だ

 最後に、本当に極私的な観点ではあるが、『HiGH&LOW』を観ると思い出す香港映画を紹介したい。それは、『インファナル・アフェア』シリーズを監督したアンドリュー・ラウの出世作『欲望の街・古惑仔(コワクチャイ)』(97〜)シリーズである。

 本作は、香港の団地出身のチンピラたちを描く青春群像映画であり、主演は歌手としても活躍するイーキン・チェンや、ダンスグループ「風火海(フォンフォーホイ)」の3人であった。彼らの前に立ちはだかる非道で強烈な悪役を、『インファナル・アフェア』で刑事を演じたアンソニー・ウォンなど、当時の脂の乗った中堅俳優が演じている。彼の上にはさらに組織の上位の面々も存在しており、いわば九龍の幹部会のようなものも開かれる。この悪役中堅俳優の演技が過剰なうえに、やることなすこと極悪非道なため、私はこのシリーズを観てから3年、いや5年くらいは、アンソニー・ウォンのことが嫌いで仕方なかった(今ではファンだが)。この人はほかにも、人肉を饅頭にして売っていた犯人の実話映画『八仙飯店之人肉饅頭』(93/日本では04年以降に映画祭などでのみ公開)や、架空のエボラウイルスに感染した男が人に感染させまくる映画『エボラシンドローム 悪魔の殺人ウィルス』(97)などに出ていたのだから仕方ない。そんな姿と、『HiGH&LOW』での髙嶋政宏(源龍海役)や、岸谷(善信役)の怪演が重なった。

 さて、この『古惑仔』シリーズは6作まで作られたほか、女性キャラクターたちを描いた『洪興十三妹』(日本では99年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映)や、悪役のン・ジャンユー主演の『旺角 Fit人』(96年香港公開/日本未公開)、同じく悪役のアンソニー・ウォンが主演の『古惑仔激情篇洪興大飛哥』(99年香港公開/日本未公開)、そしてニコラス・ツェーやサム・リー、ダニエル・ウーといった香港の新しいスターたちを生んだ『硝子のジェネレーション 香港少年激闘団』(00)など、次々とスピンオフ作品が作られた。これらの作品は、『正外伝』と『外伝』とに分けられている。つまり、ひとつの『古惑仔』という世界から、無数の作品が生まれたのである。これは登場人物のキャラクターがそれぞれ魅力的だったことを意味している。そしてその中でも、悪役が特に魅力的だったのである。

 こうした『古惑仔』シリーズの試みは、『HiGH&LOW』プロジェクトと重なって見える。正規のシリーズがあり、『HiGH&LOW THE RED RAIN』のようなスピンオフ映画があり、本編では悪役のMIGHTY WARRIORSを主役とした『HiGH & LOW THE MIGHTY WARRIORS』のようなスピンオフが作られていることとも重なる。今となっては、テレビシリーズもスピンアウト作品に思えるほどだ。まだ脚本家・平沼紀久とキャストの口約束の段階ではあるが、「鬼邪高校のスピンオフを作る」というやりとりもあった。前述の通り『古惑仔』シリーズには、女性だけで描かれるスピンオフもあったし、新人俳優だけで構成される作品も存在したわけで、こうした可能性は、『HiGH&LOW』に「も無限に広がっていると思っていいだろう。

 なお、何度も本稿に登場したアンドリュー・ラウについていえば、実は琥珀を演じているAKIRAは、『レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳』(11)で日本軍の暗殺隊長・佐々木役で彼の監督作品に出演済みである。この作品で、AKIRAは主演でアクション監督を務めるドニー・イェンにアクション指導もされている。もう一人のアクション監督は、『HiGH&LOW』シリーズの大内貴仁と関係の深い谷垣健治だった。本稿を書いていると、『HiGH&LOW』と香港映画、そしてアンドリュー・ラウの結びつきの深さを感じずにはいられない。

 アンドリュー・ラウは、アラン・マックやフェリックス・チョンと共同作業していることが多いのも、チームで制作する『HiGH&LOW』と重なる。また、チンピラや黒社会の世界を描きながら、どこかコミカルな部分や、突っ込める部分もたくさんあるのが初期アンドリュー・ラウの強みでもあった。

 さて、前述の『古惑仔』シリーズでは、平気で死んだはずの人が別のキャラでケロっと帰ってきたりするのがまた、作品の面白さを盛り上げていた。死んだ人がケロッと帰ってくるというのは、日本の『仁義なき戦い』や香港の『男たちの挽歌』などでも使われる、ヤクザモノのお約束なのである。しかしそれは、作品自体にエネルギーや勢いがあり、「とにかく次を作らないといけない」という意気込みの表れなのではないだろうか。だから『HiGH&LOW』でも、突っ込まれまくりな部分が今後どんどん発生していったとしても、それは作品を盛り上げるスパイスのひとつであって、なんの問題もないのではないかと思うのだ。アジア映画を愛する者としては、それくらいの気持ちで『HiGH&LOW』の次なる展開を待ち望みたい。

西森路代(にしもり・みちよ)
1972年、愛媛県生まれ。ライター。アジア系エンタメや女性と消費に関するテーマなどを執筆。著書に『Kポップがアジアを制覇する』(原書房)、『女子会2・0』(共著/NHK出版)など。

年末年始はホラーでしょ!! 「20年に1本」と称された映画『ドント・ブリーズ』DVDプレゼント

 映画『死霊のはらわた』チームが手掛けた、新感覚ホラー映画『ドント・ブリーズ』をご存じでしょうか? 本編の上映時間は88分と少し短めですが、それでも恐怖をたっぷり味わえる内容となっているそう。さらに、映画雑誌で「20年に1本のアメリカ発恐怖作!」とも謳われた今大注目のホラー映画なんです! そんな本作は、一体どんなストーリーとなっているのでしょうか。

 ティーンエイジャーのロッキー(ジェーン・レヴィ)は、幼い妹を連れて街から出るための資金を必要としていた。そんなある日、恋人のマニー(ダニエル・ゾヴァット)から、強盗に入る計画を持ちかけられる。その計画とは、地下に大金を隠し持っているとウワサの盲目の老人宅へ強盗に入るというもので、ロッキーは、マニーとその友人アレックス(ディラン・ミネット)と共に、犯行を決意する。しかし、そこにいたのは、目は見えないが、どんな音も聞き逃さない聴覚を持つ老人だった。どこにいても逃げ場がない状況で、果たしてロッキーらは無事に屋敷から出ることはできるのか……。

 本作は、数あるホラーの中でも、ずば抜けて“緊張感”のある作品! 思わず息を止めてしまうようなシーンが何度も出てくると評判のようです。そして、なんといっても本作の注目ポイントは、“恐怖”をも凌駕する“衝撃展開”でしょう。「まさか、地下室がこんなことになってるとは」と、ショックを受ける方も多いかと思います。とにかくこの老人、想像以上の曲者なんですよ!

 今回は映画『ドント・ブリーズ』のDVDをプレゼント。「年末年始と特に予定がない」「正月番組はくだらないものばっかり!」とお嘆きの方、ホラーで退屈しのぎをしてみては? サイ女読者の皆さま、奮ってご応募ください。お待ちしております!

※12月18日〆

ご応募はこちらから
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KAT-TUN上田竜也が『Love music』に登場! 12月10日(日)ジャニーズアイドル出演情報

――翌日にジャニーズアイドルが出演予定の番組情報をお届けします。見逃さないように、録画予約をお忘れなく!

※一部を除き、首都圏の放送情報を元に構成しています。
※番組編成、及び放送日時は変更になることがあります。最新情報は番組公式サイト等をご確認ください。

●TOKIO

11:25~11:55 『男子ごはん』(テレビ東京) 国分太一
15:05~15:49 『民謡魂 ふるさとの唄』(NHK総合) 城島茂
19:00~19:58 『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)

●KinKi Kids

13:30~14:00 『KinKi Kidsのブンブブーン』(フジテレビ系)

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“小保方騒動”の再来!?スパコン詐欺に揺れたNHK『仕事の流儀』と「局内の怪しいウワサ」

 スーパーコンピューター開発のベンチャー企業「PEZY Computing(ペジーコンピューティング)」の斉藤元章社長らが、国立研究開発法人から助成金約4億3,000万円を騙し取った詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕され、NHKは大慌てだ。

 1週間後の12月11日放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、この容疑者を「日本最速のスパコンを作った開発者」として特集する予定だった。逮捕を受けて、すぐに番組内容の差し替えが決まったが、局内では一部の番組関係者にも疑いの目が向けられている。

「必要以上に斉藤社長を持ち上げようとする担当者がいましたからね。スパコン事業には多くの尽力者がいて、斉藤社長ひとりの手柄ではないのに、やたらと的を絞ろうとしていたところがあって、局内では接待でも受けてるのかとウワサになっていたところ、この事件。国研がらみではSTAP細胞で教訓があったのに」(NHK関係者)

 世界中を混乱させたSTAP細胞の不正論文問題では、14年1月にその論文が発表されるやNHKなどメディアが大々的に研究者を取り上げた。中心人物の小保方晴子氏については「リケジョの星」などと持ち上げ、当時のNHK『ニュース9』などでは「小保方さんは実験中は割烹着を着ている」などと本題に無関係な話を取り上げ、リポーターが同じ格好をして東京・巣鴨での割烹着特集をする始末だった。

 結局、こうした放送の直後、論文や研究不正の疑義が発覚したのだが、そこで浮上したのは、研究を進めた理化学研究所が、莫大な補助金が出る特定国立研究開発法人の指定を目指していたことで、不正騒動がなければ1,000億円もの助成金を獲得できたという見方もあった。スパコン特集の担当は経済・社会情報番組部で、STAP特集をした部署ではないというが、「助成金がらみのベンチャーの後押しをすると、公平な民間競争を妨げることになりかねないので、より慎重さが求められるべきだった」とNHK関係者。

 助成金詐欺で逮捕された斉藤容疑者は、PEZY社開発の「暁光(ぎょうこう)」が世界の計算速度ランキングで4位に入って、スパコン開発の注目人物だった。しかし、虚偽の実績報告書を提出し費用を水増し、助成金を会社名義の口座に振り込ませた疑いがあり、その書類提出はまさにSTAP細胞問題が持ち上がった14年2月だったのである。

 NHKで放送予定だった『プロフェッショナル~』では、PEZY社が「少ない人員や予算で国家プロジェクトや大手企業を上回った」という部分を強調する番組構成になる予定だった。世界各国が国家プロジェクトとしてスパコンに取り組む中、参加者25名ほどの少数精鋭のベンチャー企業が「わずか3年半で快挙を達成した」その主役として斉藤容疑者にスポットを当て、「中国一強」ともいわれる世界に挑んでいるという切り口だ。

「この番組を見れば、政府がその研究に大金を投資しても当然だという感覚になるでしょう。実際そういえる部分があるのも確かですが、当事者はセコい詐欺をやってしまったわけで、所詮こうした研究は莫大な助成金目当てだと裏付けられたようなもの」(同)

 スパコンといえば、民主党政権時代、蓮舫議員が「2位じゃダメなんですか?」と、事業仕分けで予算を大幅カットして完成を遅らせたともいわれる。現政権では、首相御用ジャーナリストともいわれる元TBS記者の山口敬之氏が巨額助成金の仲介をしていたと報じるところもあり、極端な癒着構図の匂いも出てきている。

 NHK関係者は「PEZYベッタリだった番組担当者も、その立場が危ないかも」と話している。
(文=片岡亮/NEWSIDERTokyo)

“小保方騒動”の再来!?スパコン詐欺に揺れたNHK『仕事の流儀』と「局内の怪しいウワサ」

 スーパーコンピューター開発のベンチャー企業「PEZY Computing(ペジーコンピューティング)」の斉藤元章社長らが、国立研究開発法人から助成金約4億3,000万円を騙し取った詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕され、NHKは大慌てだ。

 1週間後の12月11日放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、この容疑者を「日本最速のスパコンを作った開発者」として特集する予定だった。逮捕を受けて、すぐに番組内容の差し替えが決まったが、局内では一部の番組関係者にも疑いの目が向けられている。

「必要以上に斉藤社長を持ち上げようとする担当者がいましたからね。スパコン事業には多くの尽力者がいて、斉藤社長ひとりの手柄ではないのに、やたらと的を絞ろうとしていたところがあって、局内では接待でも受けてるのかとウワサになっていたところ、この事件。国研がらみではSTAP細胞で教訓があったのに」(NHK関係者)

 世界中を混乱させたSTAP細胞の不正論文問題では、14年1月にその論文が発表されるやNHKなどメディアが大々的に研究者を取り上げた。中心人物の小保方晴子氏については「リケジョの星」などと持ち上げ、当時のNHK『ニュース9』などでは「小保方さんは実験中は割烹着を着ている」などと本題に無関係な話を取り上げ、リポーターが同じ格好をして東京・巣鴨での割烹着特集をする始末だった。

 結局、こうした放送の直後、論文や研究不正の疑義が発覚したのだが、そこで浮上したのは、研究を進めた理化学研究所が、莫大な補助金が出る特定国立研究開発法人の指定を目指していたことで、不正騒動がなければ1,000億円もの助成金を獲得できたという見方もあった。スパコン特集の担当は経済・社会情報番組部で、STAP特集をした部署ではないというが、「助成金がらみのベンチャーの後押しをすると、公平な民間競争を妨げることになりかねないので、より慎重さが求められるべきだった」とNHK関係者。

 助成金詐欺で逮捕された斉藤容疑者は、PEZY社開発の「暁光(ぎょうこう)」が世界の計算速度ランキングで4位に入って、スパコン開発の注目人物だった。しかし、虚偽の実績報告書を提出し費用を水増し、助成金を会社名義の口座に振り込ませた疑いがあり、その書類提出はまさにSTAP細胞問題が持ち上がった14年2月だったのである。

 NHKで放送予定だった『プロフェッショナル~』では、PEZY社が「少ない人員や予算で国家プロジェクトや大手企業を上回った」という部分を強調する番組構成になる予定だった。世界各国が国家プロジェクトとしてスパコンに取り組む中、参加者25名ほどの少数精鋭のベンチャー企業が「わずか3年半で快挙を達成した」その主役として斉藤容疑者にスポットを当て、「中国一強」ともいわれる世界に挑んでいるという切り口だ。

「この番組を見れば、政府がその研究に大金を投資しても当然だという感覚になるでしょう。実際そういえる部分があるのも確かですが、当事者はセコい詐欺をやってしまったわけで、所詮こうした研究は莫大な助成金目当てだと裏付けられたようなもの」(同)

 スパコンといえば、民主党政権時代、蓮舫議員が「2位じゃダメなんですか?」と、事業仕分けで予算を大幅カットして完成を遅らせたともいわれる。現政権では、首相御用ジャーナリストともいわれる元TBS記者の山口敬之氏が巨額助成金の仲介をしていたと報じるところもあり、極端な癒着構図の匂いも出てきている。

 NHK関係者は「PEZYベッタリだった番組担当者も、その立場が危ないかも」と話している。
(文=片岡亮/NEWSIDERTokyo)

イグ・ノーベル賞、感動的コメディとなった「動物になってみる」男たちの偉業

 あまりにも寒くて外に出たくない日や、気持ちよさそうに飛ぶ鳥を見たとき、「人間以外の動物になってみたい」と思ったことがある人は多いだろう。普通なら、一瞬空想するだけだが、中には真剣に他の動物になろうと試みる人がいる。今回は、人間以外の動物になろうとして、2016年のイグ・ノーベル賞(生物学賞)を受賞した2冊のサイエンス・ドキュメントを紹介する。

『人間をお休みしてヤギになってみた結果』(新潮文庫/著: トーマス・トウェイツ )yagininattemita1201

『人間をお休みしてヤギになってみた結果』は、就職活動がうまくいかないフリーランスのデザイナー33歳男性が、“ヤギになって人間の悩み事を忘れ、草を食べながら、のんびりアルプス山脈をわたる”ために、試行錯誤を重ねたサイエンス・ドキュメント。

 笑えるエッセイを読むような、完全現代口語訳も巧みなテキストで、四足歩行するための装具や芝生から栄養をとる装置を開発し、アルプス山脈でヤギの群れと共に草を食べた日々を綴り、イグ・ノーベル賞を受賞した。

 著者は、2009年、ゼロからトースターを作ったレポート『ゼロからトースターを作ってみた結果』(新潮文庫)で、世界的にヒットを飛ばしたトーマス・トウェイツ。それから4年たち、「自分は一発屋ではないか」と将来の不安に襲われた彼は、なぜか、「数週間、人間を“お休み”して悩みを忘れ、本能だけで生きたい」と、他の動物になるプロジェクトに取り組み始める。

 時間把握能力を「切る」ために、脳に磁気ショックを与えてみたり、義足を作るためにヤギを解剖したり、草から栄養を取るための人工内臓を作ろうとしたり。著者の「ヤギになりたいし、なんとなくできる気がする」という、狂気を感じさせるほどブレない情熱が、家畜史、文化人類学、動物生理学、解剖学、脳科学などなどたくさんの分野の扉を開き、読者に複数分野の最新の知見を横断的に見せてくれる。

 著者は、各分野の最前線の現場で働く専門家や学者にアプローチをかけ、快活に切り込んでいく。獣医解剖学の権威に「ギャロップをしたい」と宣言して止められ、動物生理学の専門家に、ヤギの内臓にいる微生物の体内摂取を提案して「いやいやいや」と押しとどめられ、義肢装具士に再び「ギャロップをしたい」と言って「体がぶっ壊れる」とやっぱり止められ――。いい大人たちが「ヤギになれる可能性/ヤギになれない理由」について意見を戦わせるやり取りは、どちらも真剣なだけにコメディのようだ。

 それでも「なんとなくできる気がする」という著者の情熱に、多くの研究者が好奇心を刺激され(もしくは心配から)、今までに作られたことのない四足歩行用装具が作られ、ヤギの解剖も手助けされる。最終的に、スイスのヤギ農家に訝しまれながらも、アルプスのヤギの群れに加わり、草原を渡り、草を食べながらヤギから“形の変わった仲間”としてわずかにだが受け入れられる様子は、かなり感動的ですらある。

 人間は、今のところはまだ、何にでもなれるわけではないけれども、普通の人が想像する以上のことができる。と、書くのは簡単だが、実践してみせるのは並大抵のことではない。笑いにまぶしながらも、貴重な偉業を収めている本書は、読んだ人をきっと元気にしてくれるだろう。

『動物になって生きてみた』(著: チャールズ・フォスター/河出書房新社)doubutuninattemita1201

 『動物になって生きてみた』は、獣医師であり弁護士でもある著者が、「野生動物から世界がどう見えるかを知りたい」という一念で、実際にアナグマ、カワウソ、キツネ、アカシカ、アマツバメと同じように生きようとするノンフィクション。とにかく軽い筆致の『ヤギ~』とくらべると文体は硬質だが、こちらも面白味では引けをとらない。

 真剣に動物の生活を実践するという点では、『ヤギ~』と重なるところもある『動物になって生きてみた』だが、動物と同じスペックを装備しようとする『ヤギ~』に対して、素の人間でできる範囲で動物の生態をマネる、という手法を採っている。

 加えて『ヤギ~』は、専門家と著者の丁々発止のやりとりを、「ツッコミ」のように機能させることで、読者は「この人のやってること変だよね」と、ある意味安心して読むことができたが、『動物に~』の著者は、そういった点には全く頓着していない。一貫して冷静に、当たり前のように、街路樹の茂みを這って警察に職務質問されたり、四足歩行で走って近所の女性に心配されたりする。土の中でミミズを食べながら何週間も過ごし、シカとして猟犬に追われ、ツバメを知るために木に登って幼虫を口に入れ、12月に川の中を移動して凍えた自分に落ち込んだりしているのだ。

 著者は、変な行動をアピールしたいわけではなく、ただ純粋に研究しているので、そこに“ツッコミ”は必要ない。が、どうしてもおかしさがあふれてしまう。ついつい著者にツッコみながら読み進めることになる人も多いだろう。

 しかし、本書が最も強くインパクトを残しているのは、「野生動物が感じている(かもしれない)世界」の描写だ。キツネが知覚している「一瞬で100年を見渡す」世界、アマツバメが知覚する「水あめのような」世界。動物と行動を共にした経験と生理学の知識を併せ持った著者にしか書けない、想像を超えた不思議な景色が、豊かな筆力で、まるでファンタジー小説のように鮮やかに立ち上がってくる。

 彼がのぞいている豊潤な世界を垣間見れば、理解し難かった一見変な行動も、もうおかしくは見えなくなってしまう。そしてなにより、あらゆる動物を、読書前とは違う敬意と親近感をもって見てしまうことになる。読む前の感覚には戻れなくなるかもしれないが、それでもぜひ「動物が感じている世界」の一端を本書で堪能してほしい。
(保田夏子)

日本以外では不振が報じられる『ブレードランナー2049』は、人生のためにも観るべき作品だ

 10月末に日本公開された『ブレードランナー2049』。

 それは、すごい映画であった。あの『ブレードランナー』の続編が制作されていると聞いてから、一抹の不安はあった。もしや、名作の名前を借りたトンデモない駄作になってしまうのではないか。これまでのさまざまな続編作品へのトラウマが、そんな不安をも抱かせていた。……ちなみに、筆者の中でもっとも印象に残った続編は『ポセイドンアドベンチャー2』である(ネガティブなほうで)。

 考えてみれば、現代の30代半ばより上の世代は『ブレードランナー』によって知られるようになった近未来の世界観を享受してきたのではないか。個人的な体験だと『サイレントメビウス』を読んで『パトレイバー』を観て(新OVAの「その名はアムネジア」の回とか)、それからさかのぼるように『ブレードランナー』を観て、その世界にハマった。それからサイバーパンクの金字塔、ギブスンの『ニューロマンサー』にハマるくらいが、ある世代までの定番であった。

 それから長い年月が過ぎた。まだ、レプリカントはいない。高層ビルは建ち並んだけど、ギラギラとした広告や、うらぶれた屋台は観られない。「おかしいなあ~、まだ21世紀になっていないのか」と思いつつ、現代を生きている。

 そんな21世紀が登場した『2049』は、正当な続編であった。これからでも、未見の人に観てもらいたいのでネタバレは避けるが、前作の主人公であるデッカードの再登場はうれしかった。単に友情出演とかではなく、物語の根幹に関わっているのである。

 そして、前作との世界観の変容も見事。雨ではなく雪やら雷やらの降りしきる世界は、リアルなディストピア感を与えてくれる。

 そんな本気の続編。公開初日から、待ち構えていたファンたちの絶賛は続いた。続いたのだが……公開から1カ月半ほどを過ぎた現在。なんだか、熱気が失われているように見えるのだ。

 ふと我に返って思うのは「あれ、前作にハマった人しか、この映画を観ていないのではないか」ということである。実にそうなのだ。

 この映画は正当な続編。ゆえに前作を観ていないと、面白さがほとんど理解できない。同じことは『スターウォーズ』シリーズにもいえるわけだが、『2049』はもっとスパルタ感がある。ちゃんと観て、さまざまな解釈に基づいて知識を得ていないと凡庸な見方しかできない。

 筆者はこれまで、前作を10回ほど観ている。中でも20代の頃に、まったく客のいない深夜の名画座で『AKIRA』と前作のファイナルカット版を2回ずつ上映という、よくわからない企画で観賞したのは思い出深い。とはいえ10回程度で、ファンというには、おこがましいような気もする。

 でもね、やはり『ブレードランナー』は面白い作品である。だからこそ、ぜひ多くの人に『2049』は観てもらいたい。ようは、もっと「にわか」で観る人に増えてもらいたいのだ。

 でも「にわか」でもいいから、ちゃんと前作を観て映画館に足を運ぶべきは、日本以外の国の人々の様子を見ても明らか。なにせ、アメリカでも中国でも興行成績では不振が続いていると伝わっているからだ。

 人生で「いやあ、いい映画を観たな」と感慨に浸れる機会というのは実は少ないもの。世界のファンには、仲間うちで語り合うだけではなく、布教にいそしんでもらいたいものだ。
(文=昼間たかし)

日本以外では不振が報じられる『ブレードランナー2049』は、人生のためにも観るべき作品だ

 10月末に日本公開された『ブレードランナー2049』。

 それは、すごい映画であった。あの『ブレードランナー』の続編が制作されていると聞いてから、一抹の不安はあった。もしや、名作の名前を借りたトンデモない駄作になってしまうのではないか。これまでのさまざまな続編作品へのトラウマが、そんな不安をも抱かせていた。……ちなみに、筆者の中でもっとも印象に残った続編は『ポセイドンアドベンチャー2』である(ネガティブなほうで)。

 考えてみれば、現代の30代半ばより上の世代は『ブレードランナー』によって知られるようになった近未来の世界観を享受してきたのではないか。個人的な体験だと『サイレントメビウス』を読んで『パトレイバー』を観て(新OVAの「その名はアムネジア」の回とか)、それからさかのぼるように『ブレードランナー』を観て、その世界にハマった。それからサイバーパンクの金字塔、ギブスンの『ニューロマンサー』にハマるくらいが、ある世代までの定番であった。

 それから長い年月が過ぎた。まだ、レプリカントはいない。高層ビルは建ち並んだけど、ギラギラとした広告や、うらぶれた屋台は観られない。「おかしいなあ~、まだ21世紀になっていないのか」と思いつつ、現代を生きている。

 そんな21世紀が登場した『2049』は、正当な続編であった。これからでも、未見の人に観てもらいたいのでネタバレは避けるが、前作の主人公であるデッカードの再登場はうれしかった。単に友情出演とかではなく、物語の根幹に関わっているのである。

 そして、前作との世界観の変容も見事。雨ではなく雪やら雷やらの降りしきる世界は、リアルなディストピア感を与えてくれる。

 そんな本気の続編。公開初日から、待ち構えていたファンたちの絶賛は続いた。続いたのだが……公開から1カ月半ほどを過ぎた現在。なんだか、熱気が失われているように見えるのだ。

 ふと我に返って思うのは「あれ、前作にハマった人しか、この映画を観ていないのではないか」ということである。実にそうなのだ。

 この映画は正当な続編。ゆえに前作を観ていないと、面白さがほとんど理解できない。同じことは『スターウォーズ』シリーズにもいえるわけだが、『2049』はもっとスパルタ感がある。ちゃんと観て、さまざまな解釈に基づいて知識を得ていないと凡庸な見方しかできない。

 筆者はこれまで、前作を10回ほど観ている。中でも20代の頃に、まったく客のいない深夜の名画座で『AKIRA』と前作のファイナルカット版を2回ずつ上映という、よくわからない企画で観賞したのは思い出深い。とはいえ10回程度で、ファンというには、おこがましいような気もする。

 でもね、やはり『ブレードランナー』は面白い作品である。だからこそ、ぜひ多くの人に『2049』は観てもらいたい。ようは、もっと「にわか」で観る人に増えてもらいたいのだ。

 でも「にわか」でもいいから、ちゃんと前作を観て映画館に足を運ぶべきは、日本以外の国の人々の様子を見ても明らか。なにせ、アメリカでも中国でも興行成績では不振が続いていると伝わっているからだ。

 人生で「いやあ、いい映画を観たな」と感慨に浸れる機会というのは実は少ないもの。世界のファンには、仲間うちで語り合うだけではなく、布教にいそしんでもらいたいものだ。
(文=昼間たかし)

『先に生まれただけの僕』瀬戸康史の演技に「キモすぎる」「ストーカー」と話題集中!

 12月9日の夜10時から第9話が放送される、嵐・櫻井翔主演の『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)。視聴率は初回10.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2話7.5%、第3話10.5%、第4話~第8話は7~8%台と、低空飛行を続けている。

 同作は、総合商社・樫松物産に勤める鳴海涼介(櫻井)が主人公。抜群の営業力で成績も優秀だったが、会社の傘下にある赤字続きの私立京明館高校の経営再建を任され、35歳の若さで商社マンから校長先生に転身する。

 第8話では、ちひろ(蒼井優)が担当する進学クラスの生徒・大和田達也(伊能佑之介)の成績が急降下していることを知った達也の父・和宏(升毅)が激怒し、学校にクレームをつけにやってくる。達也の現在の成績は、クラス最下位で特進クラスの基準を下回っており、このままでは進級時に進学クラスから普通クラスに移らなければならない。それを知った和宏は、息子の成績が落ちたのは学校の責任だと主張する。

 後日、達也と両親を招いて相談の場を設けた際、成績急降下の思わぬ原因が判明。達也は、勉強そっちのけで棋譜の勉強に励みながら、プロになるための努力をしていたのだった。しかし和宏は、達也を説得して将棋をやめさせてほしいと、ちひろに相談する。ちひろは、「生徒から夢を奪うことは正しいことなのか」「無責任に夢を応援するは生徒のためになるのか」と悩み、頭を抱えるのだった。

「夜の職員室でちひろが悩んでいると、ちひろに好意を寄せている英語教師・島津(瀬戸康史)が、『晩ご飯一緒にどうですか?』とちひろを誘っていました。ちひろは仕事を理由に断るのですが、島津は『手伝おうか?』とタメ口を交えてウインクまで披露。島津は一度ちひろと食事をしてからというもの、時折彼氏面してちひろに接近していますが、視聴者からは『キモすぎるよ』『瀬戸康史じゃなかったらストーカー』『イケメンだからギリ許される』『キモ男なら逮捕』と話題になっています」(芸能ライター)

 第9話では、来年度の入学試験を議題に職員会議が行われる。そこで決まった目標は、「1,000人の受験生に個別相談に来てもらう」というものだった。教師たちはこれを実現するべく、それぞれアイデアを出し合うことに。

 一方で、鳴海と彼の婚約者の聡子(多部未華子)は、いまだすれ違いの関係が続いており、聡子は漠然とした不安を抱えていた。しかし鳴海は、そんなこともつゆ知らず仕事に没頭し、ちひろの発言によって婚約指輪を渡していないことに気づく。そして、密かに鳴海への好意を募らせているちひろに向かって「彼女の指輪のサイズを知らないため、どうすべきか」という悩みをこぼしてしまう。

「聡子は鳴海がちひろと仲良くしていることに嫉妬していますが、婚約指輪をもらえば、その不安な気持ちはおさまりそうです。しかしそうなるとちひろの恋が終わりを告げることになるので、指輪渡しイベントは一筋縄ではいかないかもしれませんね」(芸能ライター)

 果たして聡子とちひろの恋の行方はどうなるのだろうか? また、島津の恋に可能性はあるのだろうか?